クラス転移で俺だけずば抜けチート!?コミカライズ!

白狼

224話 暗闇の中で

 竜斗side
「……ん……んん……」
 俺は、目を覚まし体を起こす。
「ここは……どこだ?」
 辺りを見るとどこも真っ暗な空間だった。
 確か俺は、偽物に負けて偽物の一部になった……はず。
 ってことはここは、偽物の体の中ってことか?
 そうだ!ナビ、ナビはいるのか?
(はい、マスター。ここにいますよ。)
 俺は、ナビの声を聞き一気にホッとする。
 良かった、ナビがいてくれて。
(私とマスターは、共同体です。私がマスターから離れるわけはないのです。)
 そうなのか、良かった。
 それで、ここから抜け出したいんだが……なんかいい策ないかな?
(すいません、マスター。ここから抜け出すのは今のマスターでは無理です。マスターの力は、今、だいぶ抑えの込まれているせいで魔法が使えないのです。)
 やっぱりか。俺もそう思った。体に全く力が入らないからな。
 なら、ここから出る手段ってないのか?
(………一つだけあります。)
 マジか!どんな方法!?
(それは外からの力によってここの空間を開けてもらうのです。)
 外からの力?どういうことだ?
(今、マスターがいるのはマスターの偽物の中。もし、シェレールさんたちがこの体がマスターのものじゃないって思い、マスターの偽物にに大ダメージを与えられたらそこから私が無理やりこの空間に外に繋がる穴を開けます。)
 大ダメージ………か。
 それってどれくらい?
(マスターがこの偽物に最後に放った技と同等………は無理でしょうからそれより少し劣っているくらいがいいですね。)
 それって出来るのか?
(………分かりません。それにまずはシェレールさんたちがマスターが偽物だと気づく必要があるんです。)
 ああ、それなら大丈夫。心配はしてない。
(そうなのですか?)
 当たり前だろ?シェレールは、絶対に今の俺が偽物だって気づいてくれるはずだ。
(………そうですね。それにもうシェレールさんは、マスターのことを少し疑っていますよ。)
 おお!本当か!?
 やっぱりシェレールは、俺をちゃんと分かってるんだな。
 でも、シェレールだけじゃ絶対に無理だからな。他のみんなにも気付いてもらわないと。
(マスター、シェレールさん以外にあとクロムさんも少し調査をしています。)
 クロムもか!ちゃんとクロムも俺の事を見ていてくれたのか。
(ですがクロムさんの方は、シェレールさんに言われて少し疑い始めました。でも、クロムさんはただの気の所為と思っているらしいですが。)
 まぁ、それでもいいよ。ちゃんと見ててくれたら偽物だって気づいてくれるはずだから。
(マスター、外の景色を見てみますか?今、ようやく外の景色が見られるようになりました。)
 おお!本当か!?
(はい、今までずっとこの空間のことを私が調べてようやくできるようになりました。)
 ありがとう、ナビ。いつもいつも俺を助けてくれて。
(いえ、それが私の仕事ですからね。それでは映しますね。)
 ナビがそう言うと俺の目の前にパッと四角い画面が現れてその中にシェレールたちと俺の偽物が映っていた。
 シェレールは、俺の事を疑っているのかいつもの距離より一歩離れたところにいる。
『シェレール、どうしたの?なんか今日は微妙に竜斗との距離が遠いけどまた喧嘩でもしたの?』
 映像の中からユイの声が聞こえた。
『いえ、そういうわけじゃないんですが……ちょっと気になることがあって。』
『ん?気になること?どんなこと?』
『あ、あまり気にしないでください。もしかしたら私の気のせいかもしれないので。』
『そう?でも、本当に困った時はちゃんと相談するのよ?』
『はい、ありがとうございます。』
「ああ!ちょ、その気なってること、合ってるから!みんなに相談しようぜ!」
 俺は、そう画面に叫ぶが俺の声はシェレールには届かない。
 それからみんなは朝食を食べた後、昨日、俺が戦ったところの片付けをしている。
『ごめんな、みんなにも手伝ってもらって。』
 偽物の俺がみんなに面目なさそうな顔をしながら謝る。
「くそぉ!あの野郎!俺の真似をしてみんなを騙しやがって!」
『いいんだよ、これくらい。竜斗殿は、儂たちの街を救ってくれた英雄なんだからな。』
 ジゼルさんは、俺が偽物とも思わずいつも通り普通に話す。
 あれ?そういえばなんであの偽物、俺の話し方とか知ってるんだ?
(それはマスターの記憶を探って調べたようです。)
 うわっ、勝手に人の記憶を探ったのかよ。
 それじゃ、今のあいつは完璧に俺になってるってことか。
(はい、そういうことです。)
 でも、なんでシェレールに疑われてるんだ?
(それは、この映像を見ていただければ分かるかと。)
 ナビは、そう言って今さっきまで映っていた映像が変わり俺の部屋の中が映し出される。
 あの偽物、シェレールがいないところでクロムの行為に甘えて色々としてやがる!そして、それがシェレールにバレて疑われたのか。
 ほほう、なるほど。あの偽物も詰めが甘かったな。
「シェレール、クロム、それにみんな、俺を救ってくれるのはみんなしかいない。頼むぜ!」

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