クラス転移で俺だけずば抜けチート!?コミカライズ!

白狼

220話 アンデット化

 俺たちは、急いでリライトが見えるところへと向かった。
「っ!?……あ、あれは……」
 そして、俺たちが見たものはこの前俺が戦った竜王だった。
 だが、その姿は前とは完璧に違った。体はボロボロで鱗もほぼ剥げている状態だった。
 あんな状態で俺に挑もうというのか?
 というかあれは放っておいてもいつかは死ぬんじゃないのか?
 まぁ、まずは近寄ってみるか。
「ジゼルさん、俺、ちょっと行ってきます。」
 俺は、そう言って飛行のスキルを使用しボロボロの竜王のところへ向かった。
 あんまり近づきすぎたら攻撃されるかもしれないから少し離れたところでいいだろう。
「ぐぉぉぉぉぉおおお!!!」
 うおっ!ものすごい威圧だな。前の時よりも力が上がってるんじゃないか?
「おい!竜王!ここじゃ街に被害がでる!場所を移すぞ!」
「ガァァァァァァァ!!!」
 っ!?
 竜王は、なんの言葉も発さず俺にブレスを吐いてきた。それも前よりも格段に威力が上がったと思える。
 避けたら後ろにいるみんなに被害がでる。
 だったら、結界で防ぐか。
 俺は、前方に結界を作り出しブレスを防ぐ。
 ピキっ
 っ!?
 だが、結界がそのブレスに耐えきれず崩壊してしまった。
 そして、ブレスはそのまま俺に直撃する。
「がはっ!?」
 俺は、そのまま地面に飛ばされた。
「痛てぇ……ったく、どうなってんだよ、あいつ、あんなにボロボロなのになんで前よりも強いんだよ……」
(マスター、あの竜王の正体がわかりました。)
 正体?どういうことだ?
(あの竜王は、一度マスターによって死にました。)
 え!?じゃ、じゃあ、あれはなんなんだよ?
(竜王は、マスターの手によって一度死にました。ですが、その後、本当に稀に起こるアンデット化をしたのです。)
 アンデット化?それって生き返ったってことなのか?
(生き返ったと言うよりも死んだ状態のまま、肉体だけが動いている状態です。暴走をしているのです。)
 暴走……か。
(そのため、意識を失った代わりに竜王に出せなかった力、潜在能力を全て出せるようになったのです。)
 うわっ、なんだそれ!
 前戦った時もすごい手こずったのにさらにパワーアップして戻ってきたっていうのかよ。
 な、なぁ、ナビ、今の俺に倒せると思うか?
(………後ろにいる皆さんを庇っていてはまず不可能です。ですが、場所を移動してマスターの全ての力を出せば何とかなると私は思います。)
 場所を移す……か。今の竜王に近づいて転移をすればいけるか?でも、今は近づくことさえ難しいんだよな。
 何とか気を反らせればいいんだけど………
(今の竜王には難しいでしょう。)
 やっぱりか。
 こうやって考えても仕方ない。怪我を承知で突破するか。
 でも、なるべく本気を出す前に怪我はしたくないな。
 俺は、意を決して竜王に突っ込む。
「ぐぉぉぉぉぉおおお!!!」
 俺と竜王の間の距離が10メートルくらいになった時、竜王が俺を地面に叩き落とそうと腕を振りかざした。
「っ!」
 俺は、その腕に当たる直前に転移のスキルを発動し竜王の背後をとる。
 よし!いける!
 そう思った瞬間、竜王の尻尾が俺に直撃した。そして俺は、再び地面に叩き落とされた。
「……ハァハァ、な、なんだ、俺の移動先が読まれたのか?」
(先を読んだというよりカンが当たったみたいな感じです。)
 カンが当たった?ってことはまぐれなのか?
(いえ、あの竜王、潜在能力が解放されたことで直感が鋭くなりマスターの位置が分かったのです。)
 マジかよ、なら、なおさら隙をつくなんて無理じゃないか。
 俺がナビとそんなことを話していると竜王は、いつの間にか上空に光の玉を作っていた。
「おいおい、そんなもの、どうするつもりだよ!?」
 俺は、冷や汗を流しながらその光の玉が俺に向かって落ちてくるのを防ごうと前方に結界を何重にして作る。
 だが、そんな結界は全て破壊され俺の目の前まできた。
 俺は、転移をしようとしたが間に合わず、手を前に出しその光の玉を受け止めようとする。
「うぉぉぉぉおおおおお!!!」
 俺は、数秒間なんとか耐えたが光の玉の落ちてくる勢いがすごくて地面が耐えきれなくなり俺の体ごとどんどん奥にめり込んでいく。
 少し体の体制を崩してしまい腕に力を込めていたのだが、そのせいで力が一瞬散漫してしまい、一気に光の玉に飲み込まれてしまった。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品