クラス転移で俺だけずば抜けチート!?

白狼

167話 説得

 ゆっくりと扉が開いた。
 そして魔王様の顔が見え………なかった。
 一瞬だけ、人影が見えたがそれだけで、扉が勢いよく閉まってしまった。
「………あ……あの……」
「はぁ……悪い、魔王様はすごく人見知りでな、突然の来訪者にはいつもああなんだ。」
「そうなんですね。」
 人見知りの魔王様もいるんだな。
 でも、なんかそっちの方が人らしくていいな。
「それで慣れるくらいにどれくらいかかりそうですか?」
「そうだな……ざっと6ヶ月ってところか。」
「ろ、6ヶ月!?そんなにかかるんですか!?」
「申し訳ない。」
 どうしよう……俺は、そう思いシェレールの方をチラッと見た。
 シェレールの顔は、俺に任せると言った表情だった。
「………あの、俺も魔王様に会いに行ってもいいでしょうか?」
「え?……あ、えっと……やめておいた方がいいぞ。無理やりに近づけば必ず魔王様は暴れる。そうなればお前は、無事では済まない。」
「………でも、こっちから歩み寄らないと何も変わりません。危なくなったら逃げるのでちょっと行ってみます。」
「あ、竜斗、私も行きます。」
「二人とも、大丈夫なのですか!?本当にタダじゃ済まないかもしれませんよ!」
 ジゼルさんは、俺たちが行くのを止めようとする。そこまで心配してくれるんだな。やっぱりいい奴らじゃないか、魔族って。
 だが、俺は、そんなジゼルさんに向かって笑顔でこう言った。
「怖がっている人がいれば助けてあげたいんです。俺は助けてもらえない苦しみを知っています。だから、そんな苦しみを味わっている人がいれば俺は助けてあげたい。救ってあげたいんです。」
「………竜斗……ふふっ、そうですよ。ジゼルさん、私たちなら大丈夫です。竜斗なら絶対になんとかなります。」
「リュウ殿、シェル殿………それでは、お願いします。」
 ジゼルさんは、俺たちにぺこりと頭を下げた。
 俺たちもそれに一礼して魔王様がいる部屋の扉の前へ来た。
 まずは、扉をノックっと。
 コンコンコン
 …………
 反応無しっと。
 じゃあ次は、少し話しかけてみようかな。
「あの、魔王様、初めまして、俺は、人間のリュウって言います。魔王様と話がしたくて来ました。ほんの少しでいいので会えないでしょうか?」
 …………
 また、反応はないか。
「竜斗、私も話しかけてみます。」
「あ、ああ、頼む。」
「魔王様、私はリュウと同じ人間のシェルと申します。ほんの少しでいいのでお顔を見せてもらえないでしょうか?大丈夫ですよ、私たちは何もしません。約束します。」
 シェレールもそう言うが部屋からは、何も音がしない。
「………仕方ない……強引に行くか。」
「だ、大丈夫ですか、そんなことして?」
「こういう時は、だいたい人の言葉を信じようとはしない。だから、強引にでも会って話すしかない。」
 俺は、そう思い扉のドアノブに手をかけ扉を開ける。
 あれ?てっきり鍵は閉まってると思ったけど開いてるんだな。
「シェレールは………」
「行きます!」
「だよね。」
 俺とシェレールは、部屋の中に入った。
 部屋の中は、だいぶ暗くて荷物も多くある。物置部屋かなんかか?
「魔王様〜いますか〜?」
 俺は、辺りを見渡すが誰もいない。
 いや、待て。一つだけ妙にプルプル動いている箱がある。
 ま、まさかここに入ってるのか?
 その箱は、リルくらいの子どもが入れるくらいの大きさだ。
 俺とシェレールは、その箱の前に行く。
 別に無理やり取って、顔を見ようとはしない。ただ、少しだけ話を聞いて欲しいだけ。
 俺は、その箱の前に屈み込んだ。
「魔王様、聞こえますか?リュウです。」
 俺がそう言うとその箱がビクンと動いた。
 俺は、そのまま話す。
「魔王様は、人見知りってジゼルさんから聞きました。だから、俺らのことも怖いんですよね?分かります。俺もそんな時期がありましたから。」
 俺がそう話すとプルプル動いていた箱の動きが少しだか落ち着いた。
 やっぱり正面から話すのがいいな。
「人が怖くて怖くて堪らない時期があって………家も外も全て敵に見えたんです。俺の事を誰も助けてくれない。泣いていてもみんな無視をする。いや、俺の場合はもっと泣かされました。」
 話しているうちにいつの間にか箱の動きが完全になくなった。
「正直、もう生きてても仕方ないって思いました。もう死のうかと悩んでいた時に………シェレール……かけがえのない人に会いました。それからというもの、俺の人生が変わったような気がしたんですよね。だから………だから、俺たちは、魔王様のかけがえのない人になれないかなって思ってるんです。1度だけ話してみてもらえませんか?」
「…………」
 箱は、全く動かない。声も何もしない。
 ………やっぱりダメか。
「シェレール、もう戻ろう。伝えたいことは伝えた。シェレールは、なにか伝えたいことってある?」
「いいえ、竜斗に全部言われちゃいましたから。」
「じゃ、戻るか。」
 俺たちが扉に向かって歩き出した瞬間、後ろからなにか音がして、
「待って!」
 という声に俺たちは、振り返った。

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