生産職を極めた勇者が帰還してイージーモードで楽しみます

ヨナ

歌姫再会



扉をけ破る勢いで入ってきた瀬戸愛佳。大人になりきれていないながら子供らしさが抜けてくる年頃特有の可愛らしさがある。胸は日本人体型でささやかだが口に出したりはしない。因みに母親の愛梨も胸はささやかだ。無くはないけど小さ、、、やめよう。どこからか鋭いさっきが飛んできた。
俺が座ってるソファはちょうど扉に背中を向ける形になっている。


「こらこら愛佳。はしたないぞ」
「そうよ。女の子なんだから」
「ごめんなさ〜い」
両親が困ったように叱って、愛佳が悪びれた様子もなく謝る。威厳があった爺さんと婆さんも優しい目をして愛佳を見ている。
爺さんなんかちょっと目が潤んでいる。よっぽど喉が治ったのが嬉しかったんだろう。

「すいませんね、逆巻さん」
「ああ、いや、気にしなくていい。子供はあれくらい元気な方がいい」
申し訳なさそうに謝ってきた直次に答えた瞬間、

ゴンッ!

「あう!」
「がっ!」
後頭部に衝撃が走った。何事かと振り返ってみると額を赤くして涙目になっている愛佳の姿があった。何故か愛佳に頭突きされたみたいだ。

「貴方がリバース様ですね!!」
ちょっと涙目のまま俺を指差してそう言った。
「お、おお。そうだがよくわかったな」
「えへへ。私は一度聞いた声は忘れないんです!絶対音感というやつです!」
「絶対音感ってそういうものだったか?、、、、、まぁ、いいや。確かに悪魔のフリをしたことは悪かったが頭突きされるほどか?」
俺が後頭部をさすりながらそう聞くとアワアワしながら答える。
「違うんです!まだ片眼に慣れてなくて遠近感が掴めなくて目測を誤りました!ごめんなさい」
頭突きをしたんじゃなくて飛びかかってきたら目測を誤ったらしい。


「えっと、それで、リバース様は、人間?ですか?」
「あー、、、、まぁそうだな」
勇者として鍛えまくった結果、人外の力を手に入れてジョブも神になったからはっきりと人間とは言いづらい。
「マスター。マスターは人間と呼ぶには些か、、、」
「いいんだよ。大きい枠で言えば人間だろ」
ミシェが怪訝な顔で口を挟んでくるが口を塞ぐ。

「あの、リバース様。この子は?」
「あー、俺の本名は逆巻雄吾だ。そっちで呼んでくれ。で、こいつは娘のミシェだ」
俺が紹介してやると愛佳はジッとミシェを見る。
「私はミシェです。今はマスターの娘です。その前は秘書でその前は従者でしたがマスターを支えることが私の生きがいであることに変わりはありません」
「私は愛佳です。よろしくお願いします、さか、、雄吾さんの娘さん・・・
なんだか対抗心を燃やしてる感じだな。


「はぁ。愛佳、とりあえず落ち着きなさい。ほら、ここに座って」
「あ、はぁい」
直継が眉間を抑えて溜息を吐く。歌姫なんて呼ばれてるがかなりのお転婆なのだろう。だからこそ両親は可愛いのか。

「ああそうだ、逆巻さん。今後のことを考えて連絡先を伺ってもいいですか?」
「私も!私も雄吾さんと連絡先交換したい!」
そう言ってもらえて携帯を出されるが
「あー、悪いな。俺達は携帯を持ってないんだ。大抵のことは俺とミシェの2人でできるし、俺達は大抵一緒にいるから連絡手段も必要なかったしな。
そうか。今度は携帯でも買うか。俺はアレだからスマホ?とかあんまり使いこなせる気がしないんだが」
「今は簡単なのが出ていますから大丈夫ですよ。手続きが面倒でしたら逆巻さんの名義で契約した携帯を届けさせますよ?」
「ん、頼めるか?」
「はい」
直継に任せることにした。色々機能がある最新型のは使いこなせる気がしないが自分が使いやすいように魔導工学で改造すれば問題ないか。


「ふむ。では今日はこの辺で終いとしよう。長時間拘束するのも悪いしの」
「そうだな。俺達はまだ暫くこのホテルにいるから用があるときは来てくれ」
「雄吾さん!今度遊びに行きますね!」
そう言って俺とミシェは自分たちの部屋に戻る。瀬戸一家は愛佳がもう一度精密検査のために病院に戻ったが他の4人はまだ話し合いがあるそうだ。



エレベーター内で

「ミシェ。愛佳のことどう思う?」
「マスターに好意を持ってると思います。異性として」
「やっぱりか〜。俺はルシアを愛してるんだがなぁ」
ルシアというのは向こうの世界で出会った俺の愛する人だ。既に病で死んでしまっているが。その時の後悔で薬学を極めてエリクサーを創れるようになった。

「ですがマスター。そのルシア様は喜ぶのでは?
ルシア様は常々『魅力的な雄に複数の雌が群がるのは当然のことだ。だから私が愛した雄吾が多くの雌を侍らせるのは当然のことだ』と言っておられました」
「そうなんだよな〜」
ルシアは一夫多妻制に大賛成のやつだった。俺はルシアだけいればいいんだが時々自分の知り合いの女を勧めてくることすらあったのだ。

「マスターとルシア様は似た者同士で愛し合っていましたが男女間の価値観についてだけは意見が一致しませんでしたね」
「全くだ。浮気をして怒られるならわかるが浮気をしろと怒られるのは意味がわからん」


その日はミシェとルシアのことをずっと話していた。それから夜には瀬戸一家のそれぞれの連絡先が登録された携帯が俺とミシェの分、部屋に届けられた。





コメント

  • べりあすた

    何回でも読み返しちゃう!

    2
  • スグ

    面白かったです。
    続きを楽しみにしています。
    頑張って下さい。

    7
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