虐められていた僕は召喚された世界で奈落に落ちて、力を持った俺は地上に返り咲く

黒鉄やまと

第22話 侵入と再会


母親が僕を殴る。

ーー痛いよ!

ーー黙れ!!

僕は殴られ続ける。

どうして……どうして……

……や……や……シンヤ!

そこで俺は目が覚めた。
全身汗だくである。目の前にはステラがいる。

「大丈夫?すごいうなされてたけど」

「…………」

「シンヤ?」

「あ、ああ。大丈夫だ。ありがとな」

「昔の夢見たの?」

「……ああ。」

「私にできることがあるなら言ってね。」

「ありがとう。じゃあ、しばらくこのままで。」

「うん。」

俺はステラに手を繋いでもらってベットに入った。しばらくするとステラの小さな手に安心感を感じながら睡魔に襲われて寝てしまった。




朝起きると目の前にはステラの寝顔があった。

え?どういう状況?えっ?えっ?

俺は昨日何があったか思い出す。

(そうだった。夢を見て起きたらステラがいてまた寝る時に手を握ってもらったんだっけ……今思うと恥ずかし!)

そこでステラが起きた。

「ん〜〜」

「あ、お、おはよう……」

「ん〜?ん?えっとこれは……」

少し考え事をしたあとにどんどん顔が赤くなっていく。どうやら何があったのか思い出したようだ。

「ところでなんでステラは俺の布団に?」

「えっと……あのあとシンヤの寝顔見てたら私も寝ちゃって……」

「…………」「…………」

「起きようか」

「うん」

俺たちはベットから出て着替えたあと、1階に朝食を食べに行った。

「あ、シンヤさん。ステラさん。おはようございます」

「ああ、おはよう。」

「おはよう。ハルちゃん」

「朝食ですよね。食堂で、食べられますよ」

「ありがとう」

俺たちは食堂で朝食を食べたあと部屋に戻ってきた。ついでに朝食はとても美味しかったです。

「ステラ。これ」

俺は金貨を10枚渡した、

「昼は自分で食べてもらっていいか?」

「わかったわ」

「じゃあ行ってくる」

「行ってらっしゃい。程々にね」

「ああ」

俺は宿を出て王城の方へ向かった。
途中路地裏に入り、時空魔法で異空間を作り服を着替える。もちろん隠密神シリーズと武器だ。着替えた俺は隠密のスキルをフル活用して異空間から出た。
周りは気づかない。
そして、そのまま城門の前に行った。城門の前には門番の兵士が2人たっている。その後には部屋があり、そこにも何人かいるようだ。俺は堂々と城門をくぐる。そしてそのまま城の入口を開けて入る。それでも門番は気づかない。まずは、この城の1階を調べる。1階には主に宴会場や客室、食堂などがある。ここはあまり使われることはないが、食堂は使用人や兵士が、ここで食事をとる。今は朝食時だ。俺は食堂に忍び込み自分の朝食を食べながら周りの話を聞く。
そして、大体はどうでもいい話だった。しかし、ひとつの話が耳に届く。
「しかし、前騎士団長は魔物・・から勇者を守ったって話だろ?」
「ああ。その時死んじまったけどその姿はまさに英雄のようだったそうだぜ」
「今はアルバさんが騎士団長についたけど。前騎士団長の跡を継いでしっかりやってるな」
レイラさんは魔物に殺された……?
アルバが騎士団長……?
たしかに勇者だった頃の俺を守って死んだ。けど、魔物じゃない。アルバだ……。それを考えた瞬間フツフツと俺の中で殺意が湧いてきた。俺はイライラしながら周りを見ると懐かしい顔があった。

(アリス……)

そう、俺についていたメイドのアリスだ。その顔は少しくらい。
少し離れたところでほかのメイドがコソコソと話している。

「まだ、あのこと引きずってるの?」
「仕方が無いわよ。自分が着いた勇者が死んだんだから」
「けど引きずりすぎじゃない?」

アリスは俺がいなくなったことを悲しんでくれているようだ。近くにもいたんだな…
俺は食堂を出て、2階に行った。2階は勇者の部屋があり、俺の部屋だった場所もそこにある。ほかには騎士団長や魔法師団長の執務室がある。俺はまず、昔俺が使っていた部屋に行った。

「久しぶりだな……。1週間しかいなかったのに感慨深いものがある。」

俺は扉を開けて中を見渡す。

5分ほどたって出ようとした時、ある声が聞こえた。

「あれ?なんであいてるの?誰かいるのかな?」

アリスだった。俺は迷う。悲しんでくれた人に生きているかを教えるかを……

「すみませーん。誰かいますか?」

アリスが入ってきた。俺はアリスの手を掴み中に引き込む。

「きゃ!」

そして、隠密を解除し、扉を閉める。

「だ、誰!」

流石に仮面をしていては分からないようだ。まあ、髪の色も変わっているから仕方がない。仮面を外しながら言った。

「久しぶりだな……アリス」

俺は変装をとくと、見せかけて髪の色と瞳の色を黒に変える。

「ど……う、して……。あなたは死んだのでは!」

大きく目を見開きアリスは言った。

「しっ!バレたらめんどい。静かに」

俺はアリスの口を塞いでいった。

「静かにできるな?」

アリスはこくこくと頷く。
俺は手を離した。

「一体どういうことですか?本当に闇瀬様なのですか?」

「ああ俺は闇瀬神夜だ。正真正銘な。これから真実を話す。よく聞くんだ」

そして、俺は語る。ダンジョンで何があったかを。まあ、大魔神やステラのことは話さないが……

「そんな……じゃあ騎士団長様は」

「そうだ。俺を庇ってアルバに殺された。」

「神夜様はどうしたいのです?」

「俺の目的は復讐だ」

「復讐……」

「そう。俺は俺を貶めた国王も、いじめていた勇者も、レイラさんを殺したアルバたち騎士団と魔法師団を許さない。」

「どうして私に?」

「俺が死んだと聞いて、悲しんでくれていただろ?」

「っ!」

「けど、俺は俺のことを少しでも想ってくれている人を悲しませたくない。だから、言った。」

「……わかりました。私はこのことを誰にも言いません。」

「ありがとう」

「これからどうするつもりですか?」

「城内を探索するよ。」

「そうですか。……また会えますか?」

「さぁ、けど会えると思うよ」

そう言って俺はまた変装をして、部屋を出ていった。最後に
「生きていてくれて……ありがとうございます……」と聞こえた。

(まさか、アリスにあって生きているのことを伝えるとは思わなかった)

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