外れスキルのお陰で最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜

血迷ったトモ

第4話 魔王様の説明 (2)

「さて、次はスキルについてだったな?」

「はい。」

トイフェルは難しい顔で頷きながら、口を開く。

「余のスキルは特殊だ。だからまずは一般的なスキルについて説明をしよう。」

「お願いします。」

「まずスキルには、レベルが1から10まであり、1から3が初心者、4から7が中堅から上位、8と9は達人、10は神域であるとされている。」

「つまり魔王様の攻撃系のスキルは初心者レベルで、【鉄壁】という防御系と【魔力操作】は神域に達しているという事ですか。」

聡は思案顔で毒を吐く。どうやら本人にはその気は無いらしい。
しかしトイフェルにしっかりと効いていたようで、何やら変な声を出している。

「ぐふ。」

「え?」

その声が、とても目の前のゴリゴリのイケメンが出すとは思えないものであったため、思わず聡は驚いて顔を上げる。

「?どうかしたか?」

一方のトイフェルは、いきなり顔を上げた聡を見て不思議そうにしている。

「い、いえ。何でもありません。」

そのトイフェルの表情から、聞き間違えであったと自分に言い聞かせ、聡は首を振る。

「そうか?気になった事があれば、何でも聞けよ?」

まさか『お前さっき変な声出したろ!?』などと聞くほど無神経では無いため、聡は大人しくコクコクと頷くだけであった。

「では説明に戻ろう。スキルとはその者が習得している技術や属性魔法の適性の事だ。余の場合は魔王になる際に、謎の意志からの問い掛けで、どういったスキル構成にするかある程度選ぶ事が出来た。だが普通なら、武術や技術に関してはその者の努力で習得でき、魔法適性については生まれつきで決定している。」

「ふむふむ。…大体理解出来ました。後は自分の頭の中で、大体補填出来そうです。ですので、次は特殊なレベル表示が無いスキルについてお願いします。」

剣術と闇属性魔法については、魔王化によりレベルの制限が、防御系のステータスに関してはスキルで上限をぶっちぎたんだろうなと予測のついた聡は、円滑な情報収集のため取り敢えず理解したと頷く。

「あい分かった。レベル表示が無いスキルは、この世界では最高位スキルと呼ばれているものだ。」

「最高位、ですか?」

聡の呟きに、トイフェルは御丁寧に頷きながら説明を続ける。

「あぁ。普通のスキルにはレベルがあるが、それらの最上位互換である最高位スキルにはレベルは存在しない。その分最高位スキルは、とても強力なものだ。1つ習得していれば、それだけで国の英雄になれるだろう。まぁ、余の場合は魔王になった際に、元々持っていた普通のスキルが変化したものであるのだが。」

「なるほど。種族が最上位種になったボーナスで、スキルの格上げがされたという事ですか。」

「あぁ、そうだ。理解が早くて助かる。因みに物理無効と全属性魔法無効、全状態異常無効はそれぞれの耐性系スキルが変化、【無敵(仮)】と【超回復(条件付き)】は、新たに手に入れたスキルだ。」

「その(仮)と(条件付き)ってどういったものなんですか?」

「【無敵(仮)】については、話の順序の関係から少し説明を待ってもらうが良いか?」

「えぇ、大丈夫です。」

「助かる。【超回復(条件付き)】では、通常の超回復には無かった条件がつき、30秒間ダメージを受けていない事を条件に、スキルが発動し、HPとMPを全回復するというものだ。何故条件が付いたかは分からん。」

トイフェルはそう言って、一旦言葉を切る。
そして数瞬の間の後、再びを説明を再開する。

「じゃあ、最後に称号についてだな。まぁ、貴様なら何となく察しはついているであろうが、称号は世界から与えられたもので、その者の生き様や状態によって贈られる。称号には特殊な効果を持つものもあるが、一般的にはそうある事では無い。余が今持っている称号は、全て効果は無い。見ての通りの意味だが、分からないものはあるか?」

「えっと、ではこの【奇跡の存在】という称号の獲得条件についてお願いします。」

本当は、その隣が気になったのだが、それを聞く勇気が無いので聡は普通に疑問に思った事を聞く。

「【奇跡の存在】というのはだな、恐らく、ここまで防御系に偏った生物は、普通存在しないという意味であると余は解している。魔王化の直後に授かったものだからな。それ以外では予想がつかないしな。」

「そうですね。私も今の説明を聞く限りでは、そうとしか考えられないと思います。」

「大体余のステータスについては答えたが、それ以外に聞きたいことはあるか?」

そんなトイフェルの問いに、少し考え、緊張しながら聞く。

「…えっと、異世界人である私にも、ステータスは存在しますか?」

「あぁ、勿論あるぞ。何せ召喚時に、ある程度のスキルの方向性が決められるのだからな。」

「ほ、本当ですか!?よっしゃあ!!」

今度こそ完全に気持ちを抑えきれなくなった聡は、全力でガッツポーズしながら叫ぶのだった。

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