泡沫
冬
僕は微笑んだ。
水面がキラキラ空を反射するのを見て。
白鳥が羽を靡かせ飛ぶ姿に、胸が躍った。
君は微笑んだ。
好きな人からの電話の着信音を聞いて。
何気無い会話の一つ一つに、胸が躍った。
スマホを片手に僕の横を通り過ぎていく少年。
僕は知らない君の幸せ。
 君も知らない僕の幸せ。
僕は泣いた。 
映画の最後に、主人公の家族が消える瞬間を見て。
何度もその場面を思い出しながら目を瞑った。
君は泣いた。
友達に酷い事を言ったと後悔をして。
明日に不安を抱いて、落ち着かぬまま目を瞑った。
仲直りをして手を取り合う二人の少女。
僕は知らない君の悲しみ。
君も知らない僕の悲しみ。
きっと、これからも知る事はない。
僕は僕であって、君は君。
僕にとっての僕。
        それが、この世界で一番確かなもの
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