錬成七剣神(セブンスソード)
決戦9
聖治の頬を涙が零れ落ちていく。魔来名は訝しむが聖治は気にしない。
何故ならば、そう、何故ならば。
「……何故だ」
聖治は聞いた。目の前にいる男、魔堂魔来名を見つめて。
「どうして、俺たちは味方じゃなかったんだ!?」
それは存在しなかった、もしの話。魔堂魔来名が敵ではなく、セブンスソードを共に戦う味方だったなら。
それを考えてしまった瞬間、聖治は涙が溢れた。
「そうしたら! 星都も力也も死ななくて、此方も日向も守れたかもしれない。香織さんだって、死なずに済んだ! 皆無事で、生き残れたかもしれないんだぞ!」
絶望の中、団結し。
価値ある希望、追い求め。
苦しむ時も助け合い、
かつての記憶を思い出せたなら。
「皆で頑張れば、魔卿騎士団にだって、勝てたかもしれないのに!」
みな、一人じゃない。
絆が作る未来、その先へ。
全員で、行けたはずなのに。
「俺には、駄目だったんだ……!」
聖治は、語るにつれて思い出す悔しさに涙が零れた。
「俺は弱かった。だから、皆を守れなかった。約束したのに、誓ったのに! 誰一人、……救えなかった……! だから、あんたが羨ましいよ! それだけ力のあるあんたが!」
力こそ全て。力がなければ何も成せない。誓いも約束も、絆を守ることすらも。それは魔来名が言った言葉だ。自分に力がなかったから、仲間は死んでいったのだと。
だが、力だけでは意味がない。そこに、欠けていてはならないものがある!
「だけど、あんたには人を救う意思がない!」
力があるが他人を救う意思のない魔来名。仲間を思いやる心を持つが守れるだけの力がない聖治。
故に、二人が仲間だったなら、セブンスソードという名の地獄はもしかしたら違った結末を迎えていたのかもしれない。
「どうしてだ!? なんであんたはそこまでして力を求める? 何があんたをそこまで駆り立たてるんだ!?」
聖治は感情を魔来名にぶつける。
「…………」
聖治の心からの叫びに、けれど魔来名は答えなかった。代わりに彼は考えていた。答えの所以を。
『あなたは、弟のために戦っていたんだよ?』
それはかつての彼女の言葉。
『あれほどまで家族を思い、戦ってきたあなたなんだから!』
自身でも不明な力への渇望。それを説明する、彼女の必死な表情。
『だから、考えて。あなたが何故力を求めるのか。なんのために力を欲しているのかを……』
「俺は……」
魔堂魔来名が力を求める理由。それは守るため。
力をつけて、次こそは大切な家族を守り通してみせると魂に刻んだから。
そしてその相手は、今目の前にいるのだ。
「……黙れ」
魔来名は僅かに浮かんだ思いを押し殺す。
「なぜだ!」
「!?」
だが、目の前の男が吠える。理由を尋ねる。守りたかったはずの、大切なものが――
「黙れぇえええ!」
魔来名は天黒魔を構えた。そうしなければ、己が崩れそうな危機感があったから。
「なぜだ!? 俺たちは仲間だろう!? 兄弟だったんだろう! なのに、なんでこんなことになるんだ!」
絶叫が夜空に響く。無情な叫びは、けれど相手には届かない。
「くだらん! 仲間など、絆など! 今のお前はどうだ!? お前のどこに仲間がいる? 仲間がいなければ、絆に意味などない!」
「あるさ!」
魔来名からの力強い否定。しかし、それをさらに否定する。
「たとえ仲間が死んでしまっても、絆は残り続ける。いつだって! この胸に、俺の魂に宿ってる! 絆に意味がないなんて言わせない!」
聖治は己の胸に手を当て叫ぶ。
「たとえ別れても、絆は無くならない! 教えてやるよ魔来名! これが、俺たち絆の力だ!」
叫び、片手を翳した。
何故ならば、そう、何故ならば。
「……何故だ」
聖治は聞いた。目の前にいる男、魔堂魔来名を見つめて。
「どうして、俺たちは味方じゃなかったんだ!?」
それは存在しなかった、もしの話。魔堂魔来名が敵ではなく、セブンスソードを共に戦う味方だったなら。
それを考えてしまった瞬間、聖治は涙が溢れた。
「そうしたら! 星都も力也も死ななくて、此方も日向も守れたかもしれない。香織さんだって、死なずに済んだ! 皆無事で、生き残れたかもしれないんだぞ!」
絶望の中、団結し。
価値ある希望、追い求め。
苦しむ時も助け合い、
かつての記憶を思い出せたなら。
「皆で頑張れば、魔卿騎士団にだって、勝てたかもしれないのに!」
みな、一人じゃない。
絆が作る未来、その先へ。
全員で、行けたはずなのに。
「俺には、駄目だったんだ……!」
聖治は、語るにつれて思い出す悔しさに涙が零れた。
「俺は弱かった。だから、皆を守れなかった。約束したのに、誓ったのに! 誰一人、……救えなかった……! だから、あんたが羨ましいよ! それだけ力のあるあんたが!」
力こそ全て。力がなければ何も成せない。誓いも約束も、絆を守ることすらも。それは魔来名が言った言葉だ。自分に力がなかったから、仲間は死んでいったのだと。
だが、力だけでは意味がない。そこに、欠けていてはならないものがある!
「だけど、あんたには人を救う意思がない!」
力があるが他人を救う意思のない魔来名。仲間を思いやる心を持つが守れるだけの力がない聖治。
故に、二人が仲間だったなら、セブンスソードという名の地獄はもしかしたら違った結末を迎えていたのかもしれない。
「どうしてだ!? なんであんたはそこまでして力を求める? 何があんたをそこまで駆り立たてるんだ!?」
聖治は感情を魔来名にぶつける。
「…………」
聖治の心からの叫びに、けれど魔来名は答えなかった。代わりに彼は考えていた。答えの所以を。
『あなたは、弟のために戦っていたんだよ?』
それはかつての彼女の言葉。
『あれほどまで家族を思い、戦ってきたあなたなんだから!』
自身でも不明な力への渇望。それを説明する、彼女の必死な表情。
『だから、考えて。あなたが何故力を求めるのか。なんのために力を欲しているのかを……』
「俺は……」
魔堂魔来名が力を求める理由。それは守るため。
力をつけて、次こそは大切な家族を守り通してみせると魂に刻んだから。
そしてその相手は、今目の前にいるのだ。
「……黙れ」
魔来名は僅かに浮かんだ思いを押し殺す。
「なぜだ!」
「!?」
だが、目の前の男が吠える。理由を尋ねる。守りたかったはずの、大切なものが――
「黙れぇえええ!」
魔来名は天黒魔を構えた。そうしなければ、己が崩れそうな危機感があったから。
「なぜだ!? 俺たちは仲間だろう!? 兄弟だったんだろう! なのに、なんでこんなことになるんだ!」
絶叫が夜空に響く。無情な叫びは、けれど相手には届かない。
「くだらん! 仲間など、絆など! 今のお前はどうだ!? お前のどこに仲間がいる? 仲間がいなければ、絆に意味などない!」
「あるさ!」
魔来名からの力強い否定。しかし、それをさらに否定する。
「たとえ仲間が死んでしまっても、絆は残り続ける。いつだって! この胸に、俺の魂に宿ってる! 絆に意味がないなんて言わせない!」
聖治は己の胸に手を当て叫ぶ。
「たとえ別れても、絆は無くならない! 教えてやるよ魔来名! これが、俺たち絆の力だ!」
叫び、片手を翳した。
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