錬成七剣神(セブンスソード)

奏せいや

決戦5

 聖治は防ぐのではなく光帝こうてい剣の移動スピードでこれを回避する。なんとか攻撃を躱したものの、魔来名まきなはまたも姿を消してしまう。

「なんだと!?」

「死ぬがいい」

 聖治は光帝こうてい剣で周囲を走り回る。その後を追うのは空間転移で追撃してくる魔堂まどう魔来名まきな

 攻撃を躱される度、真横、正面から突然現れては居合斬りを放ってくる。空間転移で移動しているため次の攻撃が予想出来ず、不意打ちの連続だった。

 聖治は地上を疾走し魔来名まきなは空間を縦横無尽に駆け抜ける。

 聖治は路地裏を通って表通りへと場所を移した。

 それは魔卿まきょう騎士団が母体の水門みなと市を代表する複合企業本社ビルの正面だった。

 本社ビル正面はちょうど巨大なスクランブル交差点となっており、屹立きつりつするビルに囲まれた平地のようだった。

 そこには誰一人おらず、無人の街が二人を迎える。

 錬成七剣神セブンスソード。それだけを行なうためだけに設けられた水門みなと市、その中心であり二人専用のバトルフィールド。

 まるで本社ビルが決闘の場であったかのように、ここには二人を邪魔するものは何もない。

 聖治は交差点の中央に立つと上空から迫る魔来名まきなの攻撃を転がって回避する。交差点の空気を震撼させるほどの爆音が響き渡り、アスファルトが四散する。

 聖治は起き上がり目の前に立つ魔来名を睨んだ。魔来名も直立すると睨み返し、交差点で二人は対峙した。

「フッ、少しはやるようだな」

「当たり前だ。俺は、一人じゃない!」

 余裕の態度で魔来名まきなは立ち、魔来名まきなの言葉に聖治は必死に答えた。

「俺には、仲間との絆がある!」

 魔来名まきなは未だ聖治を見下しているが、スパーダを六本所持している剣島聖治はすでに幹部を超えている。世界的にも倒せる者は滅多にいないだろう。

 そしてその全力、未だ見せてはいない。

「来い、姉妹愛スパーダ

 聖治は両手のスパーダを消すと片手を天に伸ばした。虚空に手を広げ、全スパーダ中最凶の剣(つるぎ)を呼び出す。

 ――其は生者を敷く絶対者。食物連鎖の必要悪が意思を持つ時、神の法則が書き変わる。摂理を棄却し暴虐の王よ、其を法則と化し世界を殺戮で染めよ!

魔皇まこう剣、カリギュラ!」

 スパーダ招来しょうらい時に発光する粒子が聖治の片手に集中する。しかし今回に限り、粒子の色が漆黒だった。

 それは天黒魔あくまを除けば最も凶悪な武威。所持者以外を殺すことしか出来ない破滅のスパーダ。

 聖治の右手が魔皇まこう剣を握り締める。漆黒の剣を構える聖治だが、手に収まる魔皇まこう剣の形状が以前とは変わっていた。

 成長している。まるで生きているように。カリギュラの刀身には血管のような管が浮かんでおり、その線が赤く光っていた。

 本当の血管のように管が脈動している。そのおぞましさ。これは剣ではなく天黒魔あくまと同じく呪具の類だ。

 人にとっては禁忌でしかなく、事実、これを視認したのが並みの者ならば発狂するだろう。

 それが産声を上げる。冥界から聞こえる歌声のように。地獄に引き摺り下ろす亡者の手のように。

 これを受けるもの、全て死ねと断じて謳う!

「発動、カリギュラァアア!」

 暴虐の風。刀身から発する破滅のオーラ。それは安神やすかみ此方こなたが使用していた時とは異なり、無色からどす黒い波動となって周囲に広がった。

 また、変わったのは見た目だけではなくその能力。

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