錬成七剣神(セブンスソード)

奏せいや

安神日向3

「そんなのどうだっていい。前世で兄弟だろうが誰であろうが。あいつは俺の大切な仲間を殺したんだ」

 聖治はぶり返す怒りに拳を握り締める。悔しさに奥歯がぎしりと鳴った。

「でも、兄弟、だったんですよね……?」

 そんな聖治へ、恐る恐るではあるが、日向ひなたは話しかけてくれた。それで聖治も落ち着いた。

「……結局、本物とか、そんなの関係ないんだ。たとえ偽りでも仲が良い姉妹ならそれが一番だ。……世の中には、仲が悪い兄弟もいる」

 聖治は顔を逸らしたまま、なんとか平静を取り戻し手を開いた。

「俺は、二人のことが好きだ」

「え!?」

 日向ひなたが驚く。しかし聖治は至って真面目な顔で話し続けた。

「互いのことを思い合える、本当の姉妹だ。死が怖いのは当然だ、俺だって怖い。それで何も出来なかったとしても、それで姉妹じゃないとはならない。たとえ日向ひなたが自分を悪く思っていても、俺はそんなことはないと信じている。そして守ってみせる」

 聖治はまっすぐと日向ひなたを見つめた。

日向ひなたは、俺の大切な仲間だ。絆の一つだ」

 その言葉を聞いてどう思っただろうか。日向ひなたはふっと安心したように小さな笑みを浮かべた。

「はい……」

 その笑顔は、恐怖と絶望しかないはずのセブンスソードで咲いた小さな花のようだった。可憐でか細い、けれど守るべき大切なもの。

 この笑顔を守ろうと、聖治は改めて心の中で誓っていた。

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