錬成七剣神(セブンスソード)

奏せいや

出発9

 そこへ此方こなたが割って入って来る。日向ひなたの腕を引っ張って聖治から離すと、鋭い目つきで睨んできた。

「私も、この子もセブンスソードはしたくなかった。だからあなた達について行く。けれど、もし私たちを裏切ったら、その時は躊躇いなくお前を切るからな……!」

 気迫が瞳を通じて押し付けられる。年下の女の子とはいえ意思の強さが伺える。

「ああ。その時はひと思いに斬ればいい。だが、俺は絶対に裏切らない」

「…………どうだか」

 此方こなたは睨み上げてきたが、しばらくすると目を伏せた。

「お、お姉ちゃん。一緒に頑張るんだから、そんな態度じゃ悪いよ」

 聖治と此方こなたを心配して日向ひなたが注意するが、此方こなたは視線を合わせなかった。黙ったまま離れて行ってしまう。

「あの、ごめんなさい。お姉ちゃんは言葉がキツイ時があって。でも、本当は優しい人なんです。だから、嫌いにならないでください」

 日向ひなたが聖治を見上げる。心配そうな顔をしているが、聖治は少しだけ口調を明るくして言ってあげた。

「分かっているさ。彼女の意志は君を守ることだ。自分のことよりも君のことを大切にしている。優しい子だよ」

「は、はい! ありがとうございます!」

 日向ひなたは一度大きくお辞儀すると離れて行った此方こなたに向かって走り出した。
「それで聖治、これからどこに向かうんだよ?」

 星都せいとから質問が飛ぶ。まずは来た道を戻っている聖治一行だが行先はまだ決まっていない。

 なんとかスパーダの二人を仲間に入れられたが、肝心の残り一人の居場所は分からないのだ。錬成七剣神セブンスソードを生き残ろうと思えば七人全員の力は必要だ。

 聖治は考える。

「そうだな……。どこにいるかは確かに分からない。こうなったらしらみつぶしに可能性が高い場所から探すしかない」

「なら中心部か? 人が集まる場所といえばあそこだろ」

「そうだな。他に意見のある人はいないか?」

 聖治は皆を見渡し確認するが、反対の意見はなかった。

「よし。まずは水門みなと市中心部に行って、最後の一人を探そう」

 聖治は頷き中心部へと行き先を決めた。他の皆も進んで行く。

 まだ太陽は頭上高くに輝いている。地面に視線を移せば人影が二人分増えている。

 新たな仲間ができた。その実感を見る度に、聖治は小さな笑みを浮かべるのだった。

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