錬成七剣神(セブンスソード)

奏せいや

プロローグ

 ――最強が必要だった。誰もが納得するような最強が。
 
 少年は胸の内で渦巻く感情を必死に堪えていた。

 夜の空に伸びる摩天楼の一角にある、大きなスクランブル交差点で少年は今一度剣を握りしめる。

 それは見る者を惹きつける黄金の剣だった。ただの飾りではない。スパーダと呼ばれるその剣は七つ作られた最強を形作るためのピースだ。

 しかしそれを握る少年に歓喜はない。むしろ湧き上がる憤怒と増悪に今にも叫び出しそうだった。

 なぜ、こんなことになったのか。どうして、こんな未来を回避できなかったのか。

 その原因である自分に嫌悪して、その元凶である男に怒りを向けた。

魔来名まきな、なぜ香織さんを殺した!?」

 少年は叫び、男をにらみ付けた。

 少年の目の前には一人の青年がいる。白の外套を身に纏った美形の男だ。その手には刀が握られ、殺意すら放つ少年を冷酷な表情で見つめ返していた。

 この街には少年と青年の二人しかいない。街は静まり返り、舞台装置として作られた己の役目を全うせんと二人を見守り続ける。

 無言の街で、二人はにらみ合った。を握り、最後の一戦へと臨もうと。多くの仲間と敵はすでに消え、残された二人が生き残りをかけて戦う。

 最強創造の儀式、錬成七剣神セブンスソード

 それは文字通り最強を作り出すための儀式だった。二人は選ばれた。けれどなぜ戦うかは自分で選べる。

 この儀式が意味する世界の命運も、最強も、この一戦には関係ない。

 二人はただ己の信念を貫くために剣を振ろうとしていた。

 真に大切なのは絆か、それとも信念か。

 この戦いで、すべてが決まる。

 錬成七剣神セブンスソード。その終決と完成が、すぐそこまで差し迫っていた。

コメント

  • ノベルバユーザー602658

    話の繋がりもおもしろいし、読みごたえがありました。

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  • 奏せいや

    >綾崎真澄さんへ
    たくさんのコメントありがとうござます! とても嬉しかったです。全部のコメントに返信するのもいいのですが数が多くなってしまうのでここで合わせてお礼をさせていただきます。ありがとうございました。
    真・錬成七剣神に関しましては錬成七剣神のリブート作品となっておりどちらが先でも構わないのですが、作者としては真・錬成七剣神の方が面白いのではないかな? と思っております汗。ただ錬成七剣神はすでに完結しており量も文庫1.5冊分くらいなので完結作品を読みたいということでしたら錬成七剣神の方がおすすめです。
    読者が読んで思っていることを知れるのは作者の大きな喜びです。
    この度はたくさんの感想ありがとうございました。

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