最弱になりすました最強

ちぃびぃ

華咲芽彩②

その透き通った声で続ける。

「むかし……わたしは闇の中にいた」

「闇?」

神扇かおうぎが聞き返すと芽彩はこくりと頷き再度口を開く。

●●●

芽彩は小さな村で生まれた普通の女の子だった。最初は。

普通ではないと自覚したのは6歳のときだった。
芽彩は一人で遊んでいたら魔物に出会った。体が大きく、目がギラギラとしていて、幼い芽彩は足が震え、尻もちをついた。
その魔物がこちらに気づき向かってきた。芽彩は逃げ出そうとしたが、体がいうことをきかなかった。魔物が襲ってきた。その瞬間芽彩は目を瞑り死ぬんだと予感した。だが 、芽彩は生きていた。不思議に思って目を開けるとそこには魔物が前に行くことが出来ず、何度も見えないなにか・・・にぶつかっていた。
芽彩はそれを黙って見ているしかなかった。やがて諦めたのかどこかに行ってしまった魔物に芽彩は安心した。そしてそのまま家に帰った。
家に帰った芽彩は両親になにも言わず、黙っていた。なぜなら気味悪がられたりしそうだったからだ。



それから4年後、芽彩の人生が変わる出来事が起きた。芽彩の村に魔物の大群が襲ってきたのである。
村人たちはパニックに陥り逃げ惑う。芽彩は無意識に魔法を発動していた。村全体が守られるように見えない壁が村の周りにでき、魔物達は入ってこれなかった。これを見た村人たちは驚き、一斉に芽彩を見た。このとき芽彩は知らなかった。魔法を使うと体が光る・・・・ということに。
芽彩を見たある村人が「ば、バケモノ……」と呟いた。そこからは伝染病のように瞬く間に広がり、村人みんな、両親も含めて「化け物はどっかいけ!」と繰り返した。そのとき芽彩の世界が暗く染まった。
自分が信じていたのはなんだったのか、自分が守りたかったのはなんなのか、失意に沈む芽彩を村人は何度も同じことを言う。そんなとき芽彩の目の前に妙齢の女性が近づいてきた。
その女性は芽彩にこう言った。「私のところにこないか?」と。芽彩はそれに頷いたかは記憶が曖昧だが多分行く、と言ったのだろう。

こうしてわたしは普通の少女ではなくなった。

●●●

「……そんなことが」

話を聞く限り酷い扱いだ。助けてもらったのに化け物扱いだなんて。

「……そんな、のはもう、へい、き」

「そうなの?」

「(こくこく)」

「出会っ、た女性、はここの、理事、長」

「えっ、そうなの!?」

「(こくこく)」

「そし、てこの出会、いがわたしのひと、つ目の光」

「一つ目の光?」

「そ、う」

「じゃあ、二つ目は?」

聞くと芽彩がじーっとこっちを見続けてきた。

「な、なに?」

「なん、でもな、い」

芽彩はそのまま続けた。

「この学、園に来て、わたしは二、つ目の光、太陽を見つけた」



おまけss「話の途中」

話の最中

「へぇー」

「(こくこく)」


「そうなんだ」

「(こくこく)」

(か、可愛い……!頭撫でたい……!!)

本能がくすぐられていた。

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