最弱になりすました最強

ちぃびぃ

怪物

「はぁ、はぁ、やっと着いた」

神扇かおうぎ千莉ちりと一緒に騒ぎが起きている場所に来た。

(ひでぇ状況だな)

アマノトが目の前の光景の感想を言う。

(ほんとにな……)

神扇も同意するように頷く。
目の前の光景は悲惨だった。噴水が半壊し、椅子は原型を留めているのがひとつもなく、木々もなぎ倒されている。そして今もなお暴れている怪物がいた。

「ん?あれは……」

神扇が見たのは逃げ遅れたのか複数の女生徒が怪物に襲われそうになっている所だった。

「助けないとな」

助けに行く前に神扇は千莉にこう言った。

「千莉さんはあの怪物を調べて!」

「わ、分かったわ……宝玉よ」

千莉が呪文を唱えるとネックレスが輝き、水晶になった。

「『盗索サーチ』」

(あれは千莉さんの武器だったのか)

ネックレスだと思っていたのだが違うかったようだ。
そうこうしているうちに複数の女生徒に怪物が触れようとした。

「さ、せるか!」

神扇は刀を出し、怪物を吹き飛ばした。

「はやく逃げて!」

神扇はそう言って女生徒たちを逃がそうと振り向く。

「あっ……」

「っ……」

そこには先日助けた女子がいた。その子は神扇に気づくとすぐにどこかに行ってしまった。

(やっぱり嫌われたかな)

先日は色々としてしまったので嫌われたかもしれない。

『グアゥッ!』

怪物がこちらに向かってくる。

(速い!?)

でかい図体に似合わずその速さは神扇がぎりぎり目で追いつけるぐらいだった。

「くっ……」

不意をくらったが後ろに下がって衝撃を流しダメージを軽くした。しかしかなり吹き飛ばされてしまった。

「だ、大丈夫?」

千莉さんが心配してくる。

「大丈夫ですよ。それより調べ終わりましたか?」

「ちょっとだけ分かったのだけれどあれはなにか別の力が混ざっているわね」

「別の力?」

「そう。なにか禍々しいものを感じる。本来二つの力を体内に入れると身体が壊れるのよ。だからやらないの。でもあれは……」

「だから傷一つ付いていないのか」

神扇が吹き飛ばしたのに傷がひとつもなかった。納得はいかないまでも少しスッキリした。

「千莉さんはそのまま調べてて。あいつは僕が止める」

神扇はそう言って歩き出すがすぐに止まった。
なぜなら目の前に男が現れたからだ。

「おい、おい。俺も参加させてくれよォ」



作者からのあとがき
80フォロー超えました!!皆さんありがとうございます!次は三桁いけるようにしたいです。
こっから2、3話続きます。なるべくはやく更新するので待っててください。
感想や訂正などくれると嬉しいです。


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