能無し刻印使いの最強魔術〜とある魔術師は来世の世界を哀れみ生きる〜
EP.84 魔術師は神を見る
アレフガルドへ転移したクルシュ達はすぐ近くにレオを見つけた。
「クルシュ!どこに..........いや今はそんなことはいい」
「どうした?レオ。何があった?」
「あれを見てくれ」
レオが指さした先を、クルシュ達は見上げた。
「なっ!...........あれって」
「魔法陣..........よね?」
あまりの光景にリアとアリスが驚愕を露わにする。それもそうだろう、彼らが見上げた先には王国全土を埋め尽くす程の大きさを持った巨大な光の魔法陣が今もゆっくり平行回転しているのだから。
「クルシュ、あれは.........」
「間違いない、『神ノ門』だ」
『神ノ門』、それは神が神界から人間界へと降りてくる際に使われるゲートの役割を果たす魔法陣。この原理はアリスの神位召喚魔法『殲滅天使』の魔法陣にも応用されており、天界と人間界を繋ぐ扉により天使を呼び出すことが出来るのだ。
まさかと言わんばかりにエリルがクルシュに聞き、それをクルシュが肯定した。
「まさか..........本当に神樹を切り倒すつもりですの..............?」
「そうらしい。ふむ、即決とは、なんとも神らしい考えではあるな」
ジークが魔法陣を睨みながらそう言った。その次の瞬間。
「お、おいっ!あれをみろ!!」
誰かがそう言った。そして魔法陣を注視していたクルシュ達は真っ先にそれを見ることとなった。
魔法陣からゆっくりと出現したのは、甲冑、兜を身に付けた騎士達の大群。その手には弓、槍、剣、斧など様々な武器が握られている。そしてそれをまとめるように少し前でこちらを見下ろす男。赤銅色の甲冑を身につけ、腰に剣を携えたその人物は、明らかにこの軍団の司令塔だとわかるだろう。そして、その男にクルシュは見覚えがあった。
「.......軍神セリギウス」
思わずそう呟いた言葉は誰にも聞こえなかったが、彼を知っているクルシュは内心で舌打ちした。
(なるほど、確かに統率においてこいつに勝る神はいない。面倒なものを回してきたな)
その神、軍神セリギウスは1歩前へ出ると、口を開いた。
「聞け、矮小なアレフガルドの民よ。神の議会の可決により、我らは神樹を切り倒しに仕った。今しがたより数刻、貴様らの殲滅も含めて諸共を破壊してくれよう」
瞬間、セリギウスが片手をあげると、後方に待機していた弓兵の神が弓を番える。放たれた矢は、光の尾を引きながら地面に着弾するとその場で大爆発を起こした。
悲鳴が飛び交い、エルフや妖精達が慌てふためく。幸いクルシュたちには当たらなかったが、少し離れたところに着弾したそこには家など跡形もなく吹き飛んでいた。
「恐れよ、我らが神の力を恐れよ。恐れ、恐怖し、絶望しながら死ぬがいい」
フンっと鼻を鳴らしたセリギウスがさらに指示を仰ぐと、先程と比べ物にならない量の矢が空を埋め尽くす。クルシュは咄嗟に地面に手を当てて魔術を発動させた。
――『結界魔術』
辺り一帯、広げられる範囲で結界を展開すると、天から落ちてくる矢と結界がぶつかり合う。だが、数秒にも満たずクルシュの結界にはヒビが入った。
「俺に任せろ」
だがそこでジークが魔術を展開する。クルシュの結界にコーティングするように纏わされた闇が落下してきた矢を飲み込んだ。やがて手応えが無くなったクルシュとジークは魔術を解除したが、彼らが展開していた結界の外側は悲惨なものだった。あちらこちらにクレーターができており、建物は倒壊、もしくはそれの1歩手前、だが王城だけはその凛々しさを残していた。恐らく王城の結界が守ったのだろう。人々は晴れた光景に悲鳴をあげ、あちらこちらへと移動し始めた。
「なんて威力よ.........」
「まさか俺の結界が数秒も持たないとはな」
苦言をこぼすリアとクルシュに対して、フィオーネは焦燥を浮かべていた。先ほどから何かが気になって仕方ないようだ。
「どうした?フィオーネ」
「あ、あっちの方角は..........わたくしの..........」
言い終わる前にフィオーネは動き出した。人混みの中へと駆け出していく。
「フィオーネさんっ!?待ってください!危険ですっ!」
「あ、ちょ、ミナっ!?...........待ちなさいよ!あたしも行くから!」
止めに走るミナと、それをリアが追った。エリルとレオがそれを静止しようとするが間に合わなかったようだ。
「クルシュ!どうするんだ!?」
「フィオーネはミナとリアに任せるしかないな。俺達は別のことをやらなければいけない」
「クルシュ!さっきからお前は一体..........いや、それは後で話してもらう!私は生徒達の避難を進める!幸いあの攻撃は宿舎には落ちてなかったようだからな!クルシュも気をつけるんだぞ!」
そういうとレオも人混みの中へと消えていった。そしてそこに残ったのは、アリス、クルシュ、ジーク、エリル。
「やれやれ、面倒なことになったね、ほんと」
「クルシュ君、どうするのっ!?」
「まて、落ち着け。..........エリルとアリスは神樹の所へ行ってくれ。分魂神が切り倒すと言っていたからな」
「分かったよ」
「クルシュ君は?.......それにルイ君も」
「俺達はここでアイツらを食い止める。何、心配するな、俺もクルシュも死にはせぬ」
「そういう事だ。アリス、俺らが死ぬと思うか?」
「そんなことは無いけど...........ううん、大丈夫!後でねっ!」
重力魔法を発動させたアリスがエリル共に空へと飛翔して行った。そしてその場に、彼らが残る。
「さて、まさか数億年して共闘することになるなんてな」
「ふむ、あながち悪くないものだな。それに今は戦友だろう?」
「まぁな。じゃあ行くか」
ゆっくりと、2人は笑みを浮かべながら『飛行魔術』で浮遊していく。
「........聞きたいことがあいつには山ほどある」
ジークはその目でしっかりと軍神セリギウスを捉えた。
最強×最強の共闘が今始まる。
「クルシュ!どこに..........いや今はそんなことはいい」
「どうした?レオ。何があった?」
「あれを見てくれ」
レオが指さした先を、クルシュ達は見上げた。
「なっ!...........あれって」
「魔法陣..........よね?」
あまりの光景にリアとアリスが驚愕を露わにする。それもそうだろう、彼らが見上げた先には王国全土を埋め尽くす程の大きさを持った巨大な光の魔法陣が今もゆっくり平行回転しているのだから。
「クルシュ、あれは.........」
「間違いない、『神ノ門』だ」
『神ノ門』、それは神が神界から人間界へと降りてくる際に使われるゲートの役割を果たす魔法陣。この原理はアリスの神位召喚魔法『殲滅天使』の魔法陣にも応用されており、天界と人間界を繋ぐ扉により天使を呼び出すことが出来るのだ。
まさかと言わんばかりにエリルがクルシュに聞き、それをクルシュが肯定した。
「まさか..........本当に神樹を切り倒すつもりですの..............?」
「そうらしい。ふむ、即決とは、なんとも神らしい考えではあるな」
ジークが魔法陣を睨みながらそう言った。その次の瞬間。
「お、おいっ!あれをみろ!!」
誰かがそう言った。そして魔法陣を注視していたクルシュ達は真っ先にそれを見ることとなった。
魔法陣からゆっくりと出現したのは、甲冑、兜を身に付けた騎士達の大群。その手には弓、槍、剣、斧など様々な武器が握られている。そしてそれをまとめるように少し前でこちらを見下ろす男。赤銅色の甲冑を身につけ、腰に剣を携えたその人物は、明らかにこの軍団の司令塔だとわかるだろう。そして、その男にクルシュは見覚えがあった。
「.......軍神セリギウス」
思わずそう呟いた言葉は誰にも聞こえなかったが、彼を知っているクルシュは内心で舌打ちした。
(なるほど、確かに統率においてこいつに勝る神はいない。面倒なものを回してきたな)
その神、軍神セリギウスは1歩前へ出ると、口を開いた。
「聞け、矮小なアレフガルドの民よ。神の議会の可決により、我らは神樹を切り倒しに仕った。今しがたより数刻、貴様らの殲滅も含めて諸共を破壊してくれよう」
瞬間、セリギウスが片手をあげると、後方に待機していた弓兵の神が弓を番える。放たれた矢は、光の尾を引きながら地面に着弾するとその場で大爆発を起こした。
悲鳴が飛び交い、エルフや妖精達が慌てふためく。幸いクルシュたちには当たらなかったが、少し離れたところに着弾したそこには家など跡形もなく吹き飛んでいた。
「恐れよ、我らが神の力を恐れよ。恐れ、恐怖し、絶望しながら死ぬがいい」
フンっと鼻を鳴らしたセリギウスがさらに指示を仰ぐと、先程と比べ物にならない量の矢が空を埋め尽くす。クルシュは咄嗟に地面に手を当てて魔術を発動させた。
――『結界魔術』
辺り一帯、広げられる範囲で結界を展開すると、天から落ちてくる矢と結界がぶつかり合う。だが、数秒にも満たずクルシュの結界にはヒビが入った。
「俺に任せろ」
だがそこでジークが魔術を展開する。クルシュの結界にコーティングするように纏わされた闇が落下してきた矢を飲み込んだ。やがて手応えが無くなったクルシュとジークは魔術を解除したが、彼らが展開していた結界の外側は悲惨なものだった。あちらこちらにクレーターができており、建物は倒壊、もしくはそれの1歩手前、だが王城だけはその凛々しさを残していた。恐らく王城の結界が守ったのだろう。人々は晴れた光景に悲鳴をあげ、あちらこちらへと移動し始めた。
「なんて威力よ.........」
「まさか俺の結界が数秒も持たないとはな」
苦言をこぼすリアとクルシュに対して、フィオーネは焦燥を浮かべていた。先ほどから何かが気になって仕方ないようだ。
「どうした?フィオーネ」
「あ、あっちの方角は..........わたくしの..........」
言い終わる前にフィオーネは動き出した。人混みの中へと駆け出していく。
「フィオーネさんっ!?待ってください!危険ですっ!」
「あ、ちょ、ミナっ!?...........待ちなさいよ!あたしも行くから!」
止めに走るミナと、それをリアが追った。エリルとレオがそれを静止しようとするが間に合わなかったようだ。
「クルシュ!どうするんだ!?」
「フィオーネはミナとリアに任せるしかないな。俺達は別のことをやらなければいけない」
「クルシュ!さっきからお前は一体..........いや、それは後で話してもらう!私は生徒達の避難を進める!幸いあの攻撃は宿舎には落ちてなかったようだからな!クルシュも気をつけるんだぞ!」
そういうとレオも人混みの中へと消えていった。そしてそこに残ったのは、アリス、クルシュ、ジーク、エリル。
「やれやれ、面倒なことになったね、ほんと」
「クルシュ君、どうするのっ!?」
「まて、落ち着け。..........エリルとアリスは神樹の所へ行ってくれ。分魂神が切り倒すと言っていたからな」
「分かったよ」
「クルシュ君は?.......それにルイ君も」
「俺達はここでアイツらを食い止める。何、心配するな、俺もクルシュも死にはせぬ」
「そういう事だ。アリス、俺らが死ぬと思うか?」
「そんなことは無いけど...........ううん、大丈夫!後でねっ!」
重力魔法を発動させたアリスがエリル共に空へと飛翔して行った。そしてその場に、彼らが残る。
「さて、まさか数億年して共闘することになるなんてな」
「ふむ、あながち悪くないものだな。それに今は戦友だろう?」
「まぁな。じゃあ行くか」
ゆっくりと、2人は笑みを浮かべながら『飛行魔術』で浮遊していく。
「........聞きたいことがあいつには山ほどある」
ジークはその目でしっかりと軍神セリギウスを捉えた。
最強×最強の共闘が今始まる。
コメント
ゆりっぺ
これは笑
失格紋のなんちゃらのパクリでは……笑