能無し刻印使いの最強魔術〜とある魔術師は来世の世界を哀れみ生きる〜
EP.16 魔術師は試験を受けに行く
そして日が明け翌朝の事だ。
「ふわぁ〜あ、眠い..........」
「だらしないぞ、アリス。女ともあろうものが朝からふやけているなど。それでも貴族令嬢か」
「私、枕が変わったら寝れないタチなのよ..........」
「驚いた。アリスはそんなデリケートな体質なんだな、性格はどうだったか?」
「もう!クルシュ君!!」
まぁもっとも俺は、枕が変わってもねられるタチだが昨日は特にレオが抱き枕として締め付けてきたからな。俺も実はあまり眠れていない。まぁもっとも俺の枕はいつもレオの胸なんだが。この2年間、まともな枕で寝たことがない。
「朝から十分リラックスしたな!さぁ、行ってこい!」
レオにそう言われ見送られた。ちなみにレオは今日も仕事らしい。
◇
道行く道を通り過ぎ、やがて校門が見えた。煉瓦造りの綺麗な校門だった。
「おい、アイツ見ろよ........」
「おいおい、あいつ能無しの刻印じゃねぇか」
「その横にいる子かわいいな」
「金色の刻印だろ?あれ。どっか高名な貴族令嬢か?」
やれやれ、全部聞こえるように言っているな。それにアリスに突き刺さる視線も下劣なものばかりだ。
「ということは従者か?」
「いやいや、こんな所で見た事ないって」
「じゃあ田舎?はっ、興ざめだな」
「噂じゃ八百長なんじゃねぇかって...........」
まぁなんでもいい、どうせこの数百人はいる生徒のうち半数は落とされるんだからな。別に今から会話なんてしておく必要も無い。
「何よあいつら.........人の事、能無しとか、八百長とか」
「お前も会った時はそんなだったろ?」
「ち、ちがうわ!私は不思議だっただけで........」
「本当に?」
「クルシュ君意地悪よ!」
「やぁ君達」
と、どこから現れたのか俺の苦手なタイプが出た。俗に言うチンピラの親玉的な。
「俺達に何か?」
「そこの茶髪の子は奥に行っていいよ。でも君はダメだ」
「ちょっとあんた、何言ってんの!?」
「優秀な人材はそこの無能と共にいるべきじゃない。さぁ、来たまえ、この僕、レコン・ヘリオスが歓迎しよう」
アリスの方に手を差し出したその男、その男が名前を言った瞬間、周りがざわつき始める。
「ヘリオス!?あのヘリオスか!?」
「嘘でしょ、彼も私たちと同じ学園に!?」
あー、確か有力貴族のヘリオス家だったか。公爵の位置に着くやつだったか?まぁなんでもいいんだけどさ。
「すまない、そこをどいてくれ。ここは人混みでな」
「だまれ無能!貴様ごときがこの僕に喋りかけるな!薄汚い家畜め!」
パシンッ!
その時、誰かが平手打ちしたらしい。と、よく見るとダークブラウンの艶のある髪がなびいている。アリスじゃないか。
「いい加減にしなさいよあんた!」
「何をするんだ!」
「はぁ!?ふざけんじゃないわよ!さっきからみんなして蔑んで!鬱陶しいからあっちに行きなさいよ!」
「こ、このクソアマ!」
おっと、さすがにまずい。これ以上は暴力沙汰になる。
アリスに対して振り上げられた手を俺はそのまま前に出て腕で止めた。
「なっ...........」
「うちのものが失礼した。すまないが矛を納めてくれないか?俺達の為にも」
そこで我に帰ったように周りを見た。気がつけばザワザワと視線が集まっている。高名な貴族ならこの行動の意味がわかるだろう、家を汚すことだと。
「.........チッ、覚えていろよ」
そう言って通り過ぎた。そっちは校門の方向なんだがな。とりあえず気にしないでおくか。
「ごめんなさい、そこをどいてくれるかしら?」
「ん、ああ、邪魔したか、悪い」
振り返ると、そこには朱色の髪をたなびかせながら優雅に歩く女がいた。俺は要求通り横にどいて通り過ぎるのを待った。
「にしても、なんで殴り返さないの?」
「は?」
「正当防衛は成立してるのよ?バカじゃないの?」
「いや、試験直前だからな」
「ふーん、要はヘタレってこと」
「ちょっとあなた、いい加減に..........」
抗議を唱えようとするアリスを右手で制す。また言い合いにでもなったら面倒だからな、本当に。
「まぁいいわ、あ、試験会場で私を見つけても話しかけないでね。無能には興味ないから。私が好きなのは私より強いやつのみ、じゃあね、クルシュ・ヴォルフォード」
ヒラヒラと手を振りながらその先へと進んでいく。まぁいい、別に馬鹿にされている視線や言動は慣れている。
「なんなのよ皆して...........」
「アリス、俺をかばってくれるのはいいが自分を危険にさらさないようにな」
「分かったわよ............」
さて、貴族達ももう少しプライドの自重をして欲しいものだ。俺からしてみればとても醜く見えるからな。.........にしてもあの女、どうして俺の名前を知っていた?
「ふわぁ〜あ、眠い..........」
「だらしないぞ、アリス。女ともあろうものが朝からふやけているなど。それでも貴族令嬢か」
「私、枕が変わったら寝れないタチなのよ..........」
「驚いた。アリスはそんなデリケートな体質なんだな、性格はどうだったか?」
「もう!クルシュ君!!」
まぁもっとも俺は、枕が変わってもねられるタチだが昨日は特にレオが抱き枕として締め付けてきたからな。俺も実はあまり眠れていない。まぁもっとも俺の枕はいつもレオの胸なんだが。この2年間、まともな枕で寝たことがない。
「朝から十分リラックスしたな!さぁ、行ってこい!」
レオにそう言われ見送られた。ちなみにレオは今日も仕事らしい。
◇
道行く道を通り過ぎ、やがて校門が見えた。煉瓦造りの綺麗な校門だった。
「おい、アイツ見ろよ........」
「おいおい、あいつ能無しの刻印じゃねぇか」
「その横にいる子かわいいな」
「金色の刻印だろ?あれ。どっか高名な貴族令嬢か?」
やれやれ、全部聞こえるように言っているな。それにアリスに突き刺さる視線も下劣なものばかりだ。
「ということは従者か?」
「いやいや、こんな所で見た事ないって」
「じゃあ田舎?はっ、興ざめだな」
「噂じゃ八百長なんじゃねぇかって...........」
まぁなんでもいい、どうせこの数百人はいる生徒のうち半数は落とされるんだからな。別に今から会話なんてしておく必要も無い。
「何よあいつら.........人の事、能無しとか、八百長とか」
「お前も会った時はそんなだったろ?」
「ち、ちがうわ!私は不思議だっただけで........」
「本当に?」
「クルシュ君意地悪よ!」
「やぁ君達」
と、どこから現れたのか俺の苦手なタイプが出た。俗に言うチンピラの親玉的な。
「俺達に何か?」
「そこの茶髪の子は奥に行っていいよ。でも君はダメだ」
「ちょっとあんた、何言ってんの!?」
「優秀な人材はそこの無能と共にいるべきじゃない。さぁ、来たまえ、この僕、レコン・ヘリオスが歓迎しよう」
アリスの方に手を差し出したその男、その男が名前を言った瞬間、周りがざわつき始める。
「ヘリオス!?あのヘリオスか!?」
「嘘でしょ、彼も私たちと同じ学園に!?」
あー、確か有力貴族のヘリオス家だったか。公爵の位置に着くやつだったか?まぁなんでもいいんだけどさ。
「すまない、そこをどいてくれ。ここは人混みでな」
「だまれ無能!貴様ごときがこの僕に喋りかけるな!薄汚い家畜め!」
パシンッ!
その時、誰かが平手打ちしたらしい。と、よく見るとダークブラウンの艶のある髪がなびいている。アリスじゃないか。
「いい加減にしなさいよあんた!」
「何をするんだ!」
「はぁ!?ふざけんじゃないわよ!さっきからみんなして蔑んで!鬱陶しいからあっちに行きなさいよ!」
「こ、このクソアマ!」
おっと、さすがにまずい。これ以上は暴力沙汰になる。
アリスに対して振り上げられた手を俺はそのまま前に出て腕で止めた。
「なっ...........」
「うちのものが失礼した。すまないが矛を納めてくれないか?俺達の為にも」
そこで我に帰ったように周りを見た。気がつけばザワザワと視線が集まっている。高名な貴族ならこの行動の意味がわかるだろう、家を汚すことだと。
「.........チッ、覚えていろよ」
そう言って通り過ぎた。そっちは校門の方向なんだがな。とりあえず気にしないでおくか。
「ごめんなさい、そこをどいてくれるかしら?」
「ん、ああ、邪魔したか、悪い」
振り返ると、そこには朱色の髪をたなびかせながら優雅に歩く女がいた。俺は要求通り横にどいて通り過ぎるのを待った。
「にしても、なんで殴り返さないの?」
「は?」
「正当防衛は成立してるのよ?バカじゃないの?」
「いや、試験直前だからな」
「ふーん、要はヘタレってこと」
「ちょっとあなた、いい加減に..........」
抗議を唱えようとするアリスを右手で制す。また言い合いにでもなったら面倒だからな、本当に。
「まぁいいわ、あ、試験会場で私を見つけても話しかけないでね。無能には興味ないから。私が好きなのは私より強いやつのみ、じゃあね、クルシュ・ヴォルフォード」
ヒラヒラと手を振りながらその先へと進んでいく。まぁいい、別に馬鹿にされている視線や言動は慣れている。
「なんなのよ皆して...........」
「アリス、俺をかばってくれるのはいいが自分を危険にさらさないようにな」
「分かったわよ............」
さて、貴族達ももう少しプライドの自重をして欲しいものだ。俺からしてみればとても醜く見えるからな。.........にしてもあの女、どうして俺の名前を知っていた?
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