感じるのは快楽だけ

白鹿

気づかない快楽

ミネラルウォーターを喉に通す。


冷たいのが喉にしみる。

喉が渇いていたのか、ペットボトルの半分ほどを一気に飲んだ。




食欲がないのでパンはあまり食べたくない。

だが食べないと犯人に何をされるのかわからない。


死にたくない。



パンの袋を開け中から取り出す。


蒸しパンのようでほんのりと甘い香りがする。



ちぎって口に運ぶ。


口の中が淡い甘さに満たされる。




気持ち悪い。


喉がつまり嗚咽が漏れる。


甘いものは好きなはずなのだが、こんな状況ではあまり食べられそうにない。




だが、食べないといけないという恐怖と使命感でゆっくりと少しづつ口に運んでいく。



半分ほど食べたところでもう無理だと思い、パンを袋にしまった。


そしてペットボトルに口をつけると一口飲んだ。






ふと、体が暑い気がした。



少し息が上がる。


鼓動の音が大きく聞こえた。



腰から少しずつジンと熱を持つ。



「ふっぅ、」



息が漏れる。



突然体に異常が起こり何がなんだかわからない。


こんなのまるで…




急にこうなったのはどうしてだろう。



思いつくのはさっき犯人から受け取ったミネラルウォーターとパン。



なぜ疑わなかったのか。

もっと考えていれば、こうなるのもわかったかもしれないのに。




おそらくペットボトルの中に水と媚薬のようなものが入っていたのだろう。



後悔してももう遅い。




そんな事を考えている間にも全身に熱が回る。



少しでも身じろぎすると腰がゾクゾクと感じたくもない快感が襲う。



こんな事をして犯人は何を企んでいるのか。



だんだんと快感が強くなる。



感じたくない。


思わず頭を振る。




犯人の思惑どうりになりたくない。

少しでも抵抗しようと思い、耐える。







快感を体が拾わないようにじっと寝転がり違う事を考えようと思考を逃避させる。



だがそんなことは許さないといいように、呼吸をするだけでもゾクゾクする。




思考までも犯される。







何も考えられない。



ズボンのベルトを外す。


下着の中に手を入れ触れる。




「あ、っ、はっぁ」



それだけで腰の下の方に熱が集まる。



夢中で快楽に浸る。



ふと天井の隅を見ると白く丸いものが見えた。


なぜ今まで気づかなかったのか。



監視カメラだ。



そんな事を表面上で理解して、頭の中は快楽で犯されていた。




なぜかなかなか終わりを迎えることができない。



何かが足りない。



もっと…




無意識に右手が、鼓動の音に導かれるように伸びていく。




乳首に触れる。



「んっ、」


望んでいた快感が背中をかける。




優しく撫でるように触る。



「んっ、ふぅ、」




腰が震える。


もう少し…



思いっきりつまみながら引っ張った。




「、いっ、ぁ、」

音がするかと思うほどに体がガクガクした。


チカチカ視界が白くモヤがかかる。


ゾクゾクと身体中が気持ちいいで満たされる。






左手にネトっとしたものがまとわりついた。





コメント

  • Ren

    続き気になる
    もしかしてあの人が…?

    1
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