VRMMOをガチャで生き抜くために

りっきー

106話──静かな洞窟

「ここは?」
俺はこの場所を知らなかったので2人に尋ねた。

「ここは、【静かな洞窟】だよ!」
詩織が自慢げに言ってきた。
静かな洞窟とは、一見ただの洞窟だと思われるが、近くに住む住民からは通称【人喰いの洞窟】と呼ばれている。何故そう呼ばれているかと言うと、この洞窟は奥に行くにつれて道が複雑になり、帰ってくる事が難しいとか、蛇が人を喰うなど色々な説がある。因みにプレイヤーはマップを使って帰ってくる事が出来るので迷うことは無いはずだ。


「そうよ! 私達はここの洞窟にいる蛇を倒すのよ!」
はる姉が前に出てきて言った。

「蛇かー」
確か蛇は目が悪くあまり見えなく、耳も良くないらしいが、熱センサーとピット器官が発達しているんだったかな。

「蛇だからって甘く見ちゃダメだからね!」
詩織が怖い話をするような顔で言った。

「そ、そうか。気をつけるよ。」

「あと、リュウは強い剣禁止ね。」
はる姉が思い出したかのように言ってきた。

「え...?」
俺は思わずアホみたいな声が出てしまった。

「代わりにこの剣あげるから。」
はる姉が自分のアイテムボックスから木の剣を出した。

「待って待って、木の剣?」

「でも、ただの木の剣じゃないんだよ?」

「そうなの?」

「なんと! これは魔力を通せば切れ味が増す魔剣なのです! 限度はあるけどね((ボソッ…」
はる姉が自慢げに言った。

「おー! それはすごいなー!」
でも今最後に何か聞こえたような...

「リュウ兄頑張ってねー!」
詩織が嬉しそうに言ってきた。

「ま、まあいいか、じゃあそろそろ入る?」

「そうねー。少し試し斬りしてから行きましょう。万が一その剣が使えなかったらリュウ死んじゃうからねー」
あまり残念そうじゃなく言ってきているのは気の所為だろうか。まあ、ゲームだからなのかもしれないな。

「え? なんで洞窟の中入ってくの?」
2人が試し斬りする前に洞窟に入ろうとしたので俺は咄嗟に止めた。

「リュウ何言ってるの? 試し斬りは洞窟の中にいる蛇でやればいいじゃない。」

「そうだよ!」
二人共笑顔なのが逆に怖い。

「そ、そうか。じゃあ入ろうか。」
断れる訳もなく、俺は2人のあとを追うように洞窟へ入って言った。今日のはる姉と詩織はやけに酷い事をすると思ったが、多分最近一緒にゲーム出来なかったから怒ってるんだよな...

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