ラフ・アスラ島戦記 ~自衛官は異世界で蛇と共に~
3話 「襲撃」
山の中で銃声がこだました。そして銃口からは煙が出ている。須賀は大きな黒いテントウムシに向かって確実に銃を撃った。
「――キキキキィ」
しかしテントウムシは生物は銃で撃たれたのにも関わらず須賀に向かって素早く突進した。
――しまった、今は空砲しか装填してなかった。
須賀達自衛官は射撃訓練でしか実弾を使わない、なので普段の演出では空砲を銃に込めて訓練している。
「うわぁ!」
須賀はテントウムシの突進を銃で受け止めるが勢いに負けてしまい地面に倒れる。その時にテントウムシの下敷きになってしまい絶対絶命の危機に瀕した。
「――へへ、流石国産の64式だ頑丈でびくともしねぇ……それにしても畜生、こいつ重てぇな」
須賀は倒れる時、テントウムシにマウントを取られしまったが何とか銃を横に持った状態で前に突きだしテントウムシの体に当てることで耐えた。
「畜生、このっ、このっ!」
「キキッ、キキッ」
須賀は鉄帽を被った頭でテントウムシの頭部に向かって頭突きをしたが、テントウムシは全くダメージを受けた素振りを見せずに顎を横にパクパクさせて硬い物同士が軽くぶつかり会うような鳴き声を上げた。
須賀は自分の行動が意味の無い事だと分かると他に相手にダメージを与えれる所が無いか探した。
――この虫野郎の頭が無理なら下はどうだ……うおっ、気持ち悪っ!
テントウムシを下から見るとどんなに大きくてもちゃんと頭部、胸部、腹部の三つに別れていて昆虫だと分かり須賀は安心した。しかし腹部には白くて丸い球がびっしりと付着しており嫌悪感が湧いた――。
ダメだ、何処にもダメージを与えれそうな所がない、不味いな。
テントウムシは須賀の体をトゲがついた足で引っ掻き始めた。
「ちょ、痛ってーなこの虫野郎──あっそうだ!」
須賀は側にバディの久我が居たことを思い出した。早速久我の方を見ると久我は驚きの余り腰を抜かしてじっと俺を見ていた。
「おい久我、見てないで助けてくれ!」
「あ、ああわかったええっと──っ、こいつをくらえ!」
慌てた久我は何を思ったか自分の足元に生えていた白い鞠のようなクガタケをもぎ取ると虫に向かって投げた。するとクガタケは虫の顔面に当たり破裂した。その時、同時に胞子と強烈な匂いを撒き散らした。
「臭っ! てめぇ久我、お前が持ってる銃は何だ? 只の鉄の棒か? そいつを使えよ!」
「そうだった、すまん!」
久我は急いで銃を構える。しかし緊張するせいで震えてしまいうまく照準を着ける事が出来なかった。
ち、あいつ何やってんだ──おっ。
須賀はその光景を見て心の中で舌打ちしたが、同時にテントウムシが大人しくなっている事に気がついた。
さっきキノコが破裂した時の匂いでやられたのか? だったら一か八かやるしかねぇ。
須賀は頭を軸にして思いっきりブリッジをした。すると大人しくなったテントウムシは簡単にひっくり返った。
「うおおおおっ! 死にやがれ虫野郎、気持ち悪いんだよ!」
「キキッ、キキッ、キキッ!」
ひっくり返って腹部を無防備に去らすテントウムシに銃を突きつけて須賀は何度も空砲を撃った。空砲でもそれなりに貫通力はあるのでテントウムシの腹部は徐々にくだけ散った。
「おい、須賀無事か?」
「何が無事かだ、てめぇはもっと早く銃を使って俺を助けろよ、オラッ」
「──グハッ……痛ってぇ」
丁度須賀がテントウムシに止めを指し終わると久我が心配してして近くに来た。その時、須賀は久我の行動に苛立ちを覚えていたので一発だけ久我の腹を軽く殴って苛立ちを晴らした。
「はぁ、すまん、気が動転してたんだ、それよりこいつはなんなんだ?」
「うーん、一応昆虫みたいだ、新種かもしれないからこいつも持って帰るか?」
須賀が冗談ぽく言うと久我は真面目な顔で首を横に振った。
「須賀、これからどうするんだ?」
「そうだな、さっきの俺が出した銃声でを聞いて班長達が来るだろう、それまでここで待つぞ」
「分かった、流石にこんな人を襲う虫がいるところを二人で行動したくないしな」
――キチキチ、キチキチ。
須賀と久我は班長達に合流するために待とうとした時、周りから嫌な音がなった。
二人は銃を構えると木々の間から先程のテントウムシが五、六匹現れた。
「また出て来やがった――ん、なにやってるんだあいつら?」
須賀が表れたテントウムシ達の異変に気がついた。何故ならテントウムシ達は二人には一切目もくれずに其処らに生えている久我が名前をつけた新種のキノコ──クガタケを貪り始めたからだ。
――あ、そう言うことか。
須賀は全てを察した。
どうやらテントウムシ達はクガタケが好物のようである。そしてクガタケもテントウムシに食べられる時に破裂して胞子を撒き散らし、テントウムシに寄生する。先程須賀が倒したテントウムシの腹に生えていたのは寄生したクガタケだ。
「……クンクン、ヤバイな」
須賀は自分の顔についた胞子を手に取ると匂いを嗅いだ。かなり強い匂いだ。
――フェロモンか……ということは最初に狙われてたのは胞子と匂いが付着した久我の野郎だったのか、そしてその延長線上にいた俺が巻き込まれて襲われたってわけだ……畜生!
須賀はガタガタ震える久我を無理やり引っ張って、虫達の気がこちらに向かない内に逃げることにした。
「キキキ!? キシャー!」
しかし匂いに気がついた一匹が須賀達を追いかけ始めると、他のテントウムシ達も続々と追いかけ初めて群れになった。
「何でこいつら俺達を追いかけて来るんだよ、餌のクガタケならまだいっぱいあっただろ!?」
久我が走りながら叫ぶ。それを聞いて須賀は他にも追いかけられる原因にがある事に気がついた。
「おい、お前が背嚢に入れたやつを狙ってるんだ、早くそいつを捨てろ!」
「はぁ!? そんなのダメだ、こいつがないと俺が有名になってモテなくなるだろ!」
「このアホんだらぁ!」
須賀が怒りに任せて久我の胸ぐらを掴んだ時だった。
「キキィ!」
テントウムシの群れの一匹が二人に追い付いて突進した。
「うおっ!」
「グハっ!」
二人が突進されたところは丁度山の斜面になっていてテントウムシと一緒に転がり落ちた。
須賀は転がり続けたが途中で背嚢が木に引っ掛かり止まった。しかし久我はテントウムシと一緒に転がり落ちた。
「久我ぁ!!」
――ゴシャ。
須賀は久我が最後に地面に着くところを目を摘むって見れなかった。
「――バカ野郎、キノコなんか捨てちまえば良かったのに、大バカ野郎!」
――久我はアホだがいいやつだった、せめて遺体のところに行って苦痛で開いているであろう目を安らかに閉じてやろう。
須賀はそう思いながらゆっくりと木を掴みながら急な斜面を下り久我のところまで降りて行った。
斜面の底まで辿り着くと、久我は虫を下敷きにしてうつ伏せに倒れていた。そしておそらく落ちた時の衝撃が強かったのだろう、久我の遺体は虫の胴体にめり込んでいた。
「う、久我、まさか最期に虫の臓物の中で死ぬなんて本当についてないな、すまんが班長達が来るまでそのままでいてくれ」
須賀は余りの惨さに久我の遺体を触ることができず手を合わせて久我の冥福を祈ることしか出来なかった。
「──ああああぁ、超臭ぇ、虫の体超臭ぇ!!」
「うわっ、お前生きてたのか!?」
突如、久我の体が虫の体液の糸を伸ばしながら突然ガバッと起き上がった。
「ぺぺっ、畜生、口の中に体液が──ああ、こいつの体が下にあったお陰で地面に叩きつけられずにすんだ、それより俺の銃は?」
久我が銃を探すと、側に銃口が曲がり、その他の部品が壊れた銃が落ちていた。流石の日本製の銃でも高い所から落ちた衝撃には耐えられなかったようだ。
久我はその光景を見て頭を抱えた。
「──ったくお前は運がいいんだか悪いんだか……それよりこれからどうしようかぇ、上にはまだこいつらがいるし」
須賀はテントウムシの死骸を蹴りながら今後について考えた。
「……迂回するか?」
「迂回か? でもよ須賀──」
「「ここどこだ?」」
二人は同時に同じ言葉を発した。
「――キキキキィ」
しかしテントウムシは生物は銃で撃たれたのにも関わらず須賀に向かって素早く突進した。
――しまった、今は空砲しか装填してなかった。
須賀達自衛官は射撃訓練でしか実弾を使わない、なので普段の演出では空砲を銃に込めて訓練している。
「うわぁ!」
須賀はテントウムシの突進を銃で受け止めるが勢いに負けてしまい地面に倒れる。その時にテントウムシの下敷きになってしまい絶対絶命の危機に瀕した。
「――へへ、流石国産の64式だ頑丈でびくともしねぇ……それにしても畜生、こいつ重てぇな」
須賀は倒れる時、テントウムシにマウントを取られしまったが何とか銃を横に持った状態で前に突きだしテントウムシの体に当てることで耐えた。
「畜生、このっ、このっ!」
「キキッ、キキッ」
須賀は鉄帽を被った頭でテントウムシの頭部に向かって頭突きをしたが、テントウムシは全くダメージを受けた素振りを見せずに顎を横にパクパクさせて硬い物同士が軽くぶつかり会うような鳴き声を上げた。
須賀は自分の行動が意味の無い事だと分かると他に相手にダメージを与えれる所が無いか探した。
――この虫野郎の頭が無理なら下はどうだ……うおっ、気持ち悪っ!
テントウムシを下から見るとどんなに大きくてもちゃんと頭部、胸部、腹部の三つに別れていて昆虫だと分かり須賀は安心した。しかし腹部には白くて丸い球がびっしりと付着しており嫌悪感が湧いた――。
ダメだ、何処にもダメージを与えれそうな所がない、不味いな。
テントウムシは須賀の体をトゲがついた足で引っ掻き始めた。
「ちょ、痛ってーなこの虫野郎──あっそうだ!」
須賀は側にバディの久我が居たことを思い出した。早速久我の方を見ると久我は驚きの余り腰を抜かしてじっと俺を見ていた。
「おい久我、見てないで助けてくれ!」
「あ、ああわかったええっと──っ、こいつをくらえ!」
慌てた久我は何を思ったか自分の足元に生えていた白い鞠のようなクガタケをもぎ取ると虫に向かって投げた。するとクガタケは虫の顔面に当たり破裂した。その時、同時に胞子と強烈な匂いを撒き散らした。
「臭っ! てめぇ久我、お前が持ってる銃は何だ? 只の鉄の棒か? そいつを使えよ!」
「そうだった、すまん!」
久我は急いで銃を構える。しかし緊張するせいで震えてしまいうまく照準を着ける事が出来なかった。
ち、あいつ何やってんだ──おっ。
須賀はその光景を見て心の中で舌打ちしたが、同時にテントウムシが大人しくなっている事に気がついた。
さっきキノコが破裂した時の匂いでやられたのか? だったら一か八かやるしかねぇ。
須賀は頭を軸にして思いっきりブリッジをした。すると大人しくなったテントウムシは簡単にひっくり返った。
「うおおおおっ! 死にやがれ虫野郎、気持ち悪いんだよ!」
「キキッ、キキッ、キキッ!」
ひっくり返って腹部を無防備に去らすテントウムシに銃を突きつけて須賀は何度も空砲を撃った。空砲でもそれなりに貫通力はあるのでテントウムシの腹部は徐々にくだけ散った。
「おい、須賀無事か?」
「何が無事かだ、てめぇはもっと早く銃を使って俺を助けろよ、オラッ」
「──グハッ……痛ってぇ」
丁度須賀がテントウムシに止めを指し終わると久我が心配してして近くに来た。その時、須賀は久我の行動に苛立ちを覚えていたので一発だけ久我の腹を軽く殴って苛立ちを晴らした。
「はぁ、すまん、気が動転してたんだ、それよりこいつはなんなんだ?」
「うーん、一応昆虫みたいだ、新種かもしれないからこいつも持って帰るか?」
須賀が冗談ぽく言うと久我は真面目な顔で首を横に振った。
「須賀、これからどうするんだ?」
「そうだな、さっきの俺が出した銃声でを聞いて班長達が来るだろう、それまでここで待つぞ」
「分かった、流石にこんな人を襲う虫がいるところを二人で行動したくないしな」
――キチキチ、キチキチ。
須賀と久我は班長達に合流するために待とうとした時、周りから嫌な音がなった。
二人は銃を構えると木々の間から先程のテントウムシが五、六匹現れた。
「また出て来やがった――ん、なにやってるんだあいつら?」
須賀が表れたテントウムシ達の異変に気がついた。何故ならテントウムシ達は二人には一切目もくれずに其処らに生えている久我が名前をつけた新種のキノコ──クガタケを貪り始めたからだ。
――あ、そう言うことか。
須賀は全てを察した。
どうやらテントウムシ達はクガタケが好物のようである。そしてクガタケもテントウムシに食べられる時に破裂して胞子を撒き散らし、テントウムシに寄生する。先程須賀が倒したテントウムシの腹に生えていたのは寄生したクガタケだ。
「……クンクン、ヤバイな」
須賀は自分の顔についた胞子を手に取ると匂いを嗅いだ。かなり強い匂いだ。
――フェロモンか……ということは最初に狙われてたのは胞子と匂いが付着した久我の野郎だったのか、そしてその延長線上にいた俺が巻き込まれて襲われたってわけだ……畜生!
須賀はガタガタ震える久我を無理やり引っ張って、虫達の気がこちらに向かない内に逃げることにした。
「キキキ!? キシャー!」
しかし匂いに気がついた一匹が須賀達を追いかけ始めると、他のテントウムシ達も続々と追いかけ初めて群れになった。
「何でこいつら俺達を追いかけて来るんだよ、餌のクガタケならまだいっぱいあっただろ!?」
久我が走りながら叫ぶ。それを聞いて須賀は他にも追いかけられる原因にがある事に気がついた。
「おい、お前が背嚢に入れたやつを狙ってるんだ、早くそいつを捨てろ!」
「はぁ!? そんなのダメだ、こいつがないと俺が有名になってモテなくなるだろ!」
「このアホんだらぁ!」
須賀が怒りに任せて久我の胸ぐらを掴んだ時だった。
「キキィ!」
テントウムシの群れの一匹が二人に追い付いて突進した。
「うおっ!」
「グハっ!」
二人が突進されたところは丁度山の斜面になっていてテントウムシと一緒に転がり落ちた。
須賀は転がり続けたが途中で背嚢が木に引っ掛かり止まった。しかし久我はテントウムシと一緒に転がり落ちた。
「久我ぁ!!」
――ゴシャ。
須賀は久我が最後に地面に着くところを目を摘むって見れなかった。
「――バカ野郎、キノコなんか捨てちまえば良かったのに、大バカ野郎!」
――久我はアホだがいいやつだった、せめて遺体のところに行って苦痛で開いているであろう目を安らかに閉じてやろう。
須賀はそう思いながらゆっくりと木を掴みながら急な斜面を下り久我のところまで降りて行った。
斜面の底まで辿り着くと、久我は虫を下敷きにしてうつ伏せに倒れていた。そしておそらく落ちた時の衝撃が強かったのだろう、久我の遺体は虫の胴体にめり込んでいた。
「う、久我、まさか最期に虫の臓物の中で死ぬなんて本当についてないな、すまんが班長達が来るまでそのままでいてくれ」
須賀は余りの惨さに久我の遺体を触ることができず手を合わせて久我の冥福を祈ることしか出来なかった。
「──ああああぁ、超臭ぇ、虫の体超臭ぇ!!」
「うわっ、お前生きてたのか!?」
突如、久我の体が虫の体液の糸を伸ばしながら突然ガバッと起き上がった。
「ぺぺっ、畜生、口の中に体液が──ああ、こいつの体が下にあったお陰で地面に叩きつけられずにすんだ、それより俺の銃は?」
久我が銃を探すと、側に銃口が曲がり、その他の部品が壊れた銃が落ちていた。流石の日本製の銃でも高い所から落ちた衝撃には耐えられなかったようだ。
久我はその光景を見て頭を抱えた。
「──ったくお前は運がいいんだか悪いんだか……それよりこれからどうしようかぇ、上にはまだこいつらがいるし」
須賀はテントウムシの死骸を蹴りながら今後について考えた。
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