ラフ・アスラ島戦記 ~自衛官は異世界で蛇と共に~
プロローグ
――某年、陸上自衛隊某駐屯地。
緑の制服に桜のマークが着いた帽子を被った男がいた。
「よし、身だしなみは問題ねぇな、あとはこいつをつけるだけか」
男は洗面所の鏡の前で身だしなみを整え終わると制服のポケットからバッジを取り出して制服の胸にそれを取り付けた。
バッジは銀色に輝くダイヤの形に月桂冠をあしらった物で、一際目立った。
「はぁ、この制服を着るのもこれで最後か……長く努めたな」
男は寂しそうに呟いた。それもそのはず、男は今日をもって自衛隊を定年退官するのだ。なので最後に有終の美を飾ろうとして先程から鏡の前に立ち入念に身だしなみを整えていた。
「ははっ、最後とは言っても流石にこの体型はねぇよな」
男は丸々と太った自分の身体を見て自嘲した。かつては引き締まった身体をしていたが今はその面影はない。
その後男は洗面所を出て外へと向かった――。
男が外へ出ると大勢の迷彩服を着た人達に出迎えてられた。全員この駐屯地で勤務する自衛官達だ。
『曹長、定年退官おめでとうございます!』
自衛官達は男の事を『曹長』と呼び慣れ親しみ、定年退官を祝った。
因みに曹長とは自衛隊の階級の中にある『曹』と呼ばれるグループの中で一番上の階級の事だ。
「皆ありがとな、じゃぁ元気でな」
「はい、曹長こそお元気で、次のお仕事頑張って下さい」
「……あぁ」
男は後輩の自衛官に生半可に返事をすると、退官の祝で貰った花束を持って駐屯地の衛門を出た。そして最後に敬礼をして自衛隊から去って行った。
――某大手ビル、警備室。
「……異状なし、はぁ暇だな」
曹長の次の職場はビルの警備会社で、現在モニターを監視する仕事をしていた。しかし毎日平和でこれと行ったトラブルもなく、暇な時間を過ごしていた。
……暇すぎる、あと俺は何年この生活を続ければいいんだろう、仕事は暇で、家に帰っても結婚してねぇから妻子もいねぇ、それにこれと言った趣味もねぇ、毎日が暇すぎる……あの頃が懐かしい。
曹長は自衛隊を懐かしんだ。何故ならあの頃は今よりもスリルが合って暇な事などなかったからだ。
「まぁ、あの頃が懐かしいと言ってもめちゃくちゃきつかったからな、今とどっちがいいんだろう?」
曹長は適当に考えていると、ふと机の上に雑誌が置いてあることに気がついた。
『――月刊U オカルト・ミステリー雑誌』
雑誌は曹長の同僚が暇つぶしに買った物だ。曹長は普段はこのジャンルの雑誌は読まない。しかし余りにも暇なのでその雑誌を読んで見る事にした。ほんの少しだけ仕事を休止だ――。
『UMA特集、連載ツチノコハンター! ついに発見なるか!?』
『元日本兵は語る! 戦時中、旧日本軍が本土決戦に備え自然洞窟を巨体陣地に改造、その実態に迫る!』
『終戦直後にUMA騒動! 過去にGHQが日本でUMAを調査!?』
『全て天狗の仕業、陸上自衛隊レンジャー神隠し事件』
『フィラデルフィア計画を再開!? アメリカの某研究所と国防省がテスラコイルを協同実験――』
曹長は雑誌の中で気になる記事を見つけた。
「――陸上自衛隊レンジャー神隠し事件? おい……まさかこれって!」
曹長は記事に心当たりがあり心臓がドキリとした。そして自分が若い頃を思い出した。
――それは生きて帰る為に異世界を戦い抜き、悲しい別れをした思い出した。
緑の制服に桜のマークが着いた帽子を被った男がいた。
「よし、身だしなみは問題ねぇな、あとはこいつをつけるだけか」
男は洗面所の鏡の前で身だしなみを整え終わると制服のポケットからバッジを取り出して制服の胸にそれを取り付けた。
バッジは銀色に輝くダイヤの形に月桂冠をあしらった物で、一際目立った。
「はぁ、この制服を着るのもこれで最後か……長く努めたな」
男は寂しそうに呟いた。それもそのはず、男は今日をもって自衛隊を定年退官するのだ。なので最後に有終の美を飾ろうとして先程から鏡の前に立ち入念に身だしなみを整えていた。
「ははっ、最後とは言っても流石にこの体型はねぇよな」
男は丸々と太った自分の身体を見て自嘲した。かつては引き締まった身体をしていたが今はその面影はない。
その後男は洗面所を出て外へと向かった――。
男が外へ出ると大勢の迷彩服を着た人達に出迎えてられた。全員この駐屯地で勤務する自衛官達だ。
『曹長、定年退官おめでとうございます!』
自衛官達は男の事を『曹長』と呼び慣れ親しみ、定年退官を祝った。
因みに曹長とは自衛隊の階級の中にある『曹』と呼ばれるグループの中で一番上の階級の事だ。
「皆ありがとな、じゃぁ元気でな」
「はい、曹長こそお元気で、次のお仕事頑張って下さい」
「……あぁ」
男は後輩の自衛官に生半可に返事をすると、退官の祝で貰った花束を持って駐屯地の衛門を出た。そして最後に敬礼をして自衛隊から去って行った。
――某大手ビル、警備室。
「……異状なし、はぁ暇だな」
曹長の次の職場はビルの警備会社で、現在モニターを監視する仕事をしていた。しかし毎日平和でこれと行ったトラブルもなく、暇な時間を過ごしていた。
……暇すぎる、あと俺は何年この生活を続ければいいんだろう、仕事は暇で、家に帰っても結婚してねぇから妻子もいねぇ、それにこれと言った趣味もねぇ、毎日が暇すぎる……あの頃が懐かしい。
曹長は自衛隊を懐かしんだ。何故ならあの頃は今よりもスリルが合って暇な事などなかったからだ。
「まぁ、あの頃が懐かしいと言ってもめちゃくちゃきつかったからな、今とどっちがいいんだろう?」
曹長は適当に考えていると、ふと机の上に雑誌が置いてあることに気がついた。
『――月刊U オカルト・ミステリー雑誌』
雑誌は曹長の同僚が暇つぶしに買った物だ。曹長は普段はこのジャンルの雑誌は読まない。しかし余りにも暇なのでその雑誌を読んで見る事にした。ほんの少しだけ仕事を休止だ――。
『UMA特集、連載ツチノコハンター! ついに発見なるか!?』
『元日本兵は語る! 戦時中、旧日本軍が本土決戦に備え自然洞窟を巨体陣地に改造、その実態に迫る!』
『終戦直後にUMA騒動! 過去にGHQが日本でUMAを調査!?』
『全て天狗の仕業、陸上自衛隊レンジャー神隠し事件』
『フィラデルフィア計画を再開!? アメリカの某研究所と国防省がテスラコイルを協同実験――』
曹長は雑誌の中で気になる記事を見つけた。
「――陸上自衛隊レンジャー神隠し事件? おい……まさかこれって!」
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