自殺するなら異世界転生を‼︎

ハト

第17話

息を殺し隠れていると、かすかに水の音が聞こえてくる。
かすかすぎるため、聞こえてきた方角がわからない。
ちょうど隠れていて身動きが取れない今が静かに音を聞き分けるチャンスだ。
モンスターの足音の方が色濃く聞こえてくるが、勉強で培った集中力で聞き分ける。
数十秒後、やっとの思いで音の方角をつきとめた。
モンスターの足音がなかったらすぐに突き止められたのに。
気付くと、モンスター遭遇の危機は去っていた。
 危機が去るとすぐに水音の元へ駆け出す。無我夢中だった。

「水、水、みずぅ~~」

この走っているときの記憶はほとんどない。いったいどんな風になっていたのだろうか。
1分くらいは走っただろう。(よく1分も走ってられたな)
川が視界に入り、さらにスピードが増す。
川の前に着くとほんとに無意識だったのだろう、ブレーキもかけずに飛び込んだ。
もちろん荷物は飛び込む前に投げ捨てました。
川に入るなり水をすくい口の中に入れる。それを何度も繰り返す。

「はぁ~~~、生き返る~~~」

ここでようやく気持ちが落ち着き我にかえる。
さして気温も高くない(25度前後だろう)しかし湿気は高かった、3・4時間の森の散策、そのなかでここまで水を求めてしまう。
ガリ勉の現代っ子が異世界に来てしまうとたった半日飲み食いせず森を彷徨うとこうなってしまうらしい。

「はぁー疲れた。しかし水浴びは気持ちよかったな~」

全身びしょ濡れになりスッキリした顔をし川から上がる。

「そろそろ夜か・・・。焚き木でも集めて火を起こそう。服もずぶ濡れだしはやく乾かさないと風邪引くな」

ということで夜が来る前に火にくべる薪を探すため川が視界に入る範囲で森に入る。
ついでに夜モンスターから隠れるために簡単によじ登れる木を探しながら薪を集める。
少しねじれがあり高さも3mほど程よい足場の枝のついた木を見つけ、そのすぐそばで焚き火を始める。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品