神眼使いの異世界生活

黒鉄やまと

第44話 初依頼(1)〜出発〜

「なんだ?そんなに不思議なことか?」

「いや、アルテミス様が冒険者をしていること自体が驚きなのに、ソウマさんが婚約者なんて・・・」

「悪かったな。で、シフォル。こいつらにアルテミスを任せると?」

「うん。一応僕の弟子でBランクパーティの疾風の剣。あの辺だったらカロナ達で十分だからね。ソウマ君は安心して行ってきていいよ」

「うーむ」

ソウマはカロナ達3人をじぃーっと見つめる。

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「何時までやってんの?それより早くしないと日が暮れちゃうよ。」

「そうだな。よし、カロナ、シェヘラザード、フィリップ、アルテミスを頼むぞ。アルテミス。気をつけて行ってこいよ」

「はい!アルテミスさんは僕達がしっかりとお守りします!」

「ソウマ、いつから私の保護者になったの?まあ、頑張ってくるわ」

「じゃあシフォル、そろそろ行ってくる。」

「うん。ちゃんと依頼こなしてきてね」

「分かってるよ」

「では、師匠!行ってまいります!」

「うん。カロナ君達もよろしくね」

「もちろんです!」

ソウマ達はギルドを出て、王都の門へ向かった。

「そう言えばソウマさんはどんな依頼なんですか?」

「ん?俺はタイラントドラゴンの討伐」

「タイラントドラゴンの討伐?!」

「1人で行くの?」

「ああ、その方がまだ早いしな。そうだ。お前達が無事に帰ってきたら模擬戦でもしてやるよ。あと、アルテミス。はいこれ」

と、ソウマが振り向いて渡したのは武器防具1式だった。

「これ!作ってくれたの?」

「ああ、登録の時に渡せなくてゴメンな。今日は依頼だからさすがに必要だと思って作っておいたぞ」

「ありがとう!じゃあ装備してみるね」

「じゃあこれの中で着替えたらどうだ?さすがに通りの真ん中で着替える訳には行かないだろ」

「わかった。ありがと」

と、アルテミスはソウマの作った異空間の中に入っていく。

「あれ?!アルテミスさんが消えた?!」

「俺の空間魔法に入っただけだ。それとさっき手合わせして欲しいとか言ってたな?」

「え?はい。」

「無事に依頼やってきたらやってもいいぞ。」

「ほんとですか?!」

「ああ、だからちゃんとやってこい」

「はい!」

カロナ達と話していると異空間からアルテミスが出てきた。

「お待たせソウマ。どう?」

アルテミスは薄い青を基調とし白のラインが入った上下の服に、同じく薄い青を基調とした腰から下の前が開けていて後ろだけに布があるようなコートを着ていた。その服はアルテミスの身体の特徴が浮き出ていて、アルテミスの金色の綺麗な髪にとても似合っている服だった。そして、その腰にはソウマが作ったのであろう通常の剣と言う太さではないが、細剣という程の細さではない金色の鞘に入った剣があった。

「どうだ?着心地は」

「うん。凄い良い。いつも着てる服みたいに着られる。」

「良かった良かった。その服は所有者が設定できてアルテミスしか着れないようになってる。」

「じゃあ他の人が着たらどうなるの?」

「それは、一瞬にして服が脱げて下着まで一気にボン!公衆の面前で裸体を晒すことになる。」

「聞かなければよかった。」

「まあな。それとその剣なんだが」

「そうですよ!その剣はなんですか?普通の剣でもないようですし、細剣でも無い太さですよ?」

そこにカロナ達が話に参加してきた。

「その剣は完全に俺のオリジナルだ。細剣だと刺突がメインになっちまうし、普通の剣の形なら斬ると言うよりも叩き切ると言った方が正しい。だから、斬ることと、刺突をメインにするために普通の剣よりも細く、細剣よりも太くし、刃を研ぎ澄ませ突くことと斬ることどちらも可能とした剣だ。」

「なかなか凄いことをするわね」

「ついでに言うとその特殊効果は【斬撃】【刺突】【自動修正】【魔力循環】【斬鉄】【鋭利】【魔法斬り】【武器解放】の8個だ。」

ソウマが言い終わるとアルテミスもカロナ達も引き攣った顔でソウマのことを見ていた。

「なによそれ、国宝級じゃない・・・」

「安心しろ、俺の装備はもっと酷い」

「安心できないわよ!こんなの持ってたら誰に狙われるか・・・」

「それについても安全安心!その武器にも服と同じように所有者設定があってアルテミス以外の奴がそれを使おうとした瞬間に全身が痺れて動けなくなる。魔物の前でやったらそいつは終わりだな。」

「・・・なかなかに惨い」

「さらに言えばその剣は隠蔽をかけることが出来るぞ。」

「え?けど、特殊効果に隠蔽なんてあった?」

「いや、ない。だって特殊じゃないじゃん」

「えぇ・・・」

「普通の効果は【隠蔽】【偽装】【所有者設定】【魔法付与】【破壊耐性】【魔力回復】【重量軽減】【飛斬】だな」

「十分おかしいよ・・・」




詳しい鑑定結果

【名前】百花繚乱の剣
【階級】伝説級レジェンド
【効果】《隠蔽》《偽装》《所有者設定》《魔法付与》《破壊耐性》《魔力回復》《重量軽減》《飛斬》
【特殊効果】《斬撃》《刺突》《自動修正》《魔力循環》《斬鉄》《鋭利》《魔法斬り》《武器解放・蒼千本桜》





アルテミスがその剣を抜くと金色の刃に蒼い装飾の入った美しい剣だった。

「キレイ・・・」

「その剣の名は百花繚乱の剣という名だ。大切に使えよ。」

「うん」

「ま、装備の受け渡しも済んだし、さっさと行くか」

ソウマは驚いているアルテミス達を元に戻し王都の門を出た。

「そう言えばソウマさんはその格好で行くんですか?戦えるような装備には見えないんですが」

「ああ、そろそろ着替えるか。【換装】」

ソウマが一言つぶやくとソウマの来ている服が輝きだし、気がつくと違う服になっていた。

「な、何が・・・それにその服は?」

「今のは換装と言って瞬時に違う服に着替えるスキル?まあ、スキルってとこだ。そしてこの服はアルテミスの服を作った時に一緒に作った新しい服だな。前のでもよかったんだが、せっかく作ったんでな」

ソウマの新しい服はアルテミスに作った服に似ているが、アルテミスは蒼い生地に金色の刺繍があったが、ソウマは漆黒の生地に赤と金の刺繍が入った服で、いかにもラノベ主人公というような格好だった。

そしてその黒はソウマの白銀の髪をより一層目立たせとても似合っていた。

「さてそろそろ行くか。俺は先に行ってるからアルテミス達は普通に来いよ。じゃ!」

と言ってソウマは勢いよく飛んで行った。

「行っちゃった・・・じゃあ、カロナさん。行きましょうか」

「あ、はい」

ソウマクオリティに慣れ始めたカロナ達疾風の剣だった。







武器のランク説明。

一般級ノーマル・・・ほぼ一般に出回っている物。

特上級スペシャル・・・一般級よりも圧倒的に性能が良く、値段も高い。金を出せば冒険者でも買える。

希少級レア・・・特上級よりもさらに才能がいい。高ランク冒険者でもこれを所持しているものは多くない。

特化級ユニーク・・・希少級よりも希少価値が高く、性能が良い。あることに特化している場合が多く、国宝級として扱われるのがほとんど。特殊効果を持つ物が現れ始める。

伝説級レジェンド・・・勇者が使用するような装備。世界級とも呼ばれることがある。

神話級ゴッズ・・・存在が疑われているクラス。過去に見つかったものはほぼない。
存在していないことも無い。持っている者もいる。

神代級ゴドス・・・天界の天使などが使っている装備。堕天使などもこの装備を使う。誰によって生み出されたのかは不明。

創始級ジェネシス・・・神の武器。神器とも呼ばれる武器。ソウマはこれを作った。
地上界の存在が持つと魂ごと精神が狂ってしまい死に陥る。持つには強い自我と器が必要。ソウマが装備できたのは女神とソフィアの精神保護と情報処理能力のおかげ。神格を手に入れたあとは問題なく装備できる。



ついでに言うとアルテミスが装備している服も伝説級の装備です。
ソウマは創始級です、

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