拝啓、世界の神々。俺達は変わらず異世界で最強無敵に暮らしてます。

雹白

拝啓、聖女様?天使か何かですか?

 またもや気を失ってしまった俺は先程と同じ部屋で目覚めた。……先程と違うのは俺の顔を白金髪プラチナブロンドの美少女が覗き込んでいるいる事だろうか。
 レナかと思ったがどうやらそうではないらしい。レナは髪が腰の辺りまであったが今、俺の顔を覗き込んでいる少女は肩の辺りまでしかない。
 顔立ちはとても整っていて、大きな翠色の瞳に小ぶりの唇。神様……イル・リアス様とはまた違った優しい雰囲気を纏っていて……レナが綺麗というか美しいとかそんな風だとしたら、この子は可愛らしいといった感じ。
 気絶した俺の身を案じてくれているのか、窓から入り込む夕陽に照らされたその顔は不安そうな表情をたたえていた。
 と、いうかこの子どこかで会ったような?
寝ぼけ頭でふと思う。とりあえず上体を起こす。
「あ!良かった!気が付いたんですね?」
少女がパッと不安そうな顔から一転、笑顔を咲かせた。
「あの……私の事、覚えてますか?」
「え?」
どうやら俺と目の前の少女は面識があるらしい。
……数秒思考を走らせてみたが見覚えはあるものの目の前の美少女に対しての確かな情報は出てこない。
「すいません……。覚えて無いです……」 
 結局、申し訳ない気持ちで直接確かめることにした。自分の頭ですぐ出てこないのだ。出てきたとしても少し時間を置かなければならないだろう。
「えっと……一昨日、王都の駅で迷子だった所を助けてもらった者です……」
 少女は恥ずかしそうに、頬を染め小さな声でそう言った。
 情報を告げられた瞬間、記憶が甦った。
「あーー!あの時の!」
 通りで見覚えがある訳だ!
「良かった。覚えていてくれてたんですね。あなたの事は❬大神父❭様から聞きました。秤彼方さんっていうのですね」
少し、頬の赤みを残したまま笑顔を向けてくる。
……正直、見惚れるくらいに愛らしい笑顔だった。
「私はレナの妹、ルナといいます。これから一週間、よろしくお願いします!」
 そう明るく言うとルナは声だけではなく表情もより明るく、輝かせていた。
 その後、ルナは俺が(頭以外)怪我をしていないのを確認すると「良かった」と天使のような笑みを向けた。……実際にこの異世界には天使がいるらしいのだが。
 あの猫かぶりで性格の悪いレナとは大違いだ。……正に聖女。
 そして、ルナがこの部屋から出ていこうとした、その時聖女様はふと何かを思い出したように振り返り、こう言った。
「あ。明日から私もレナと一緒に修練に参加そせてもらいますから!こう見えても私、おじいちゃん……❬大神父❭からお墨付きを貰うくらいには強いんですからね!」
 悪戯っぽい笑みを浮かべ、人差し指を唇に当て、ウインクをこちらに飛ばしてから部屋を出ていった。
 前言撤回。この姉妹二人揃ってそっくりだ!

 

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