天才過ぎて世間から嫌われた男が、異世界にて無双するらしい。

暗喩

第76話 幼馴染の旅。


ーーーーーー


ーー昔、ベリスタ王国の北部にある街に、一人の金髪ロングヘアーの少女がいた。


  少女の両親はその街で小さな雑貨屋を営んでおり、三人家族で質素だが幸せな毎日を過ごしていた。

  その少女はおしゃれをするのが大好きで、フリフリの服装を好み、実に女の子らしい振る舞いをしていたのだ。

  彼女は明るく真っ直ぐな性格で、勉強も『異能』もよく出来、少女は近所にある学校においても、中心的な存在になっていた。

  彼女の周りにはいつも友達が絶えずおり、近所でも評判の美少女だ。


ーーだが、そんな少女には、誰よりも大切な友達がいた。


  それは、隣で銀行を営む家の娘である、茶色い髪をした大人しい少女だ。

  二人は幼馴染で、両親も仲が良く、良く互いの家を行き来する仲であった。

  その大人しい少女は相反して何事にも要領が悪い。

  更に臆病な性格も相まって、頼れる友達は金髪の少女だけとなっていた。

  彼女が学校で虐められたりする度に、いつもその少女は助けてくれる。

  そんな風に絆で結ばれる仲である。
 
  だからこそ、二人は強固な信頼を築いていて、何をするにも共に行動する事が多くなっていた。

「明日の林間学校楽しみだね!! 」

  金髪の少女は茶髪の少女に向けそう言う。

  すると茶髪の少女はニコッと笑いながら、

「そうだね......。でも、あたし誰とも仲良くないからちょっぴり不安だな......。」

と、心配事を口にする。

  それを聞いた金髪の少女は、彼女の肩を叩きながら、

「何言ってるの?! あたしがいるじゃない!! 」

と、明るい口調で答えた。

  そんな太陽の様な笑顔に対して茶髪の少女は、

「そう言ってくれて良かった。なんか、楽しみになってきたよ......。」

と、控え目な口調で安堵を口にする。


ーーそして彼女達は、明日に控えた少し遠出する林間学校を楽しみにしつつ、眠りにつくのであった......。


ーーーーーー

  翌日は晴天だった。

  雨の心配がされていたのだが、そんな予報が嘘の様に明るい空だ。

  そんな天気に彼女達は大いに喜んだ。

  そして、二人で手を繋いで学校に向かう。


ーーこれから起きる悲劇など全く知らぬままに......。


  約一日馬車に揺られた後、学校のみんなと共に目的地へ到着をする。


ーーこれからは楽しい事だらけだ。


ーーコテージにも似た施設で、アクティビティをしたり、バーベキューをしたり......。


  金髪の少女はそんな楽しい時間が来る事に、ワクワクしていた。

  隣では、茶髪の少女が張り切る彼女の側にいて、笑顔を見せている。


ーーだが、そんな時、先生が不自然に席を外して行った。


  その手にはマジックアイテムを持っている。

  金髪の少女はそんな先生を不審がりながらも、茶髪の少女と共に談笑をしていたのだ。

「パパとママも、凄く嬉しそうに送り出してくれたんだ!! 」

  金髪の少女はそう言う。

  それに対して茶髪の少女も、

「だよね。 『いっぱい楽しんで来るんだよ』って言ってくれたの。リュイちゃんがいるから、あたしも凄く楽しみなんだ。」

と、頬を赤く染めながらそう呟く。

  そんな彼女の発言に金髪の少女は、

「ええ~? なんか、そう言われると恥ずかしいね。」

と、照れながら髪の毛をいじっていた。


ーーそんな他愛のない会話の中で、金髪の少女は思う。


  この林間学校、悔いのない様に遊ぼうと......。

  だが、そんな時、先程不自然に席を外した先生が神妙な表情でこちらに戻ってきた。


  その表情を見た時、生徒達全員が一斉に会話をやめた。


ーー例外なく二人も静まる。


  そして先生が皆に告げた。

「突然で申し訳ないのですが、暫くの間、街に帰る事が出来なくなりました......。」

  それを聞いた生徒達は、ざわめき出す。

  金髪の少女も、その理由が分からず、只、呆然としているのであった。

  その後で、先生に問い詰める。

「何でですか?! パパとママも心配するから、早く帰らなきゃいけないです!! 」

  金髪の少女がそう言っても、先生は俯いたままで、

「すみません......。」

と、謝罪を口にするだけだった。

  だが、そんな食ってかかっている金髪の少女に対して、茶髪の少女は両腕を掴んだ。

  そして、何かを察した様に涙ぐみながらこう呟く。
 
「先生の言いたい事、分かっちゃったかも......。ごめん、リュイ。今はここに居たほうが良いかもしれない......。」


ーーその言葉を聞いた金髪の少女は、少しだけその理由を理解した。


  そう言えばこの前パパとママが言っていた。

  最近、隣国の『メリバルン』が不穏な動きを見せていると......。
 
  いや、でもうちの街に限ってそんな事有り得ない......。


  そう考えると、彼女は真相を確かめたくなった。


ーー嘘である事を信じて......。


  先生が話を終えると、静まり切ったクラスメイト達に囲まれながら、コテージの中へと入って行った。


  その間も茶髪の少女は金髪の少女の手を握りしめていた。


ーー無言のままに......。


  その日は、二人で同じ布団に寄り添っていた。


ーー少しでも不安を掻き消せる気がして......。


  そして、精神的疲労で周囲が寝静まった深夜、相変わらず眠れずにいた金髪の少女は茶髪の少女の耳元で、ある決意を囁く。

「ごめんね、ミルヴィール。やっぱりあたし、どうしても街に帰って確かめたいの。だから、ちょっと行って来るね。」

  それを聞いた茶髪の少女は、そんな彼女を制止する様にこう呟いた。

「それだけはやめた方が良いと思う......。先生が言った事の意味、何となくわかるでしょ......? 」

  彼女のそんな発言に対して金髪の少女は、

「うん......。でもやっぱり、パパやママの事、心配なんだもん......。大丈夫だよ。ミルヴィールはここにいて。あたしは確かめたらちゃんと戻って来るから......。」

と、笑顔で答えると、暗がりの中で徐に立ち上がった。


ーーすると、立ち上がる彼女の袖を、茶髪の少女は掴んだ。


「本当に行っちゃうの......?」

  茶髪の少女は、彼女に向け、そう問いかける。

  その言葉に対して、金髪の少女は小さく頷く。

  それを見た茶髪の少女は、涙目になりながら、

「だったらあたしも行く......。だって、あたしにはリュイちゃんしかいないから......。」

と、決意を口にするのであった。


ーーそして、まだ幼い二人は、先生やみんなにバレぬ様にロッジを抜け出して、少し遠い故郷へと、足を進めるのであった......。

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