天才過ぎて世間から嫌われた男が、異世界にて無双するらしい。

暗喩

第54話 可愛い支部長。


ーーーーーー


  『ベリスタ王国 国王軍 フレンディア支部』の中に入ると、そこには一人の小さな女の子が俺達の部隊を舐める様にして見ていた。

  その子は、赤いロングヘアに真っ赤な目をしていて、桜と同じくらいの身長で、推定年齢は六~七歳と言ったところだろう。


ーーだが、何故かダボダボな軍服を着ている......。


  俺はそんな彼女を見た時、きっとこの支部の兵士の子どもがここに来て、悪ふざけで親の軍服を纏っている物だと思った。

  桜も桜で、同じ世代の子どもと会えた事が嬉しかったのか、目を輝かせている......。

  そこで、俺は彼女に対して様子を見る為にこう言った。

「お嬢ちゃん、こんにちは!その服、似合ってるね!」

  すると、その子どもはあからさまに不機嫌な顔をする。

  そして俺を一瞬睨んだ後で笑顔に居直って、こう言った。

「お待ちしておりました、隊長殿。私が『フレンディア支部』で支部長を務めさせて頂いております、『メロー』と申します。ちなみに年齢は、二十一歳になります。」

  メローと言う支部長は、明らかに皮肉たっぷりな言い方で俺に成人である事をアピールして来た......。


ーーこんなに小さな女の子が、俺よりも年上だと......?


  俺はそんな風に、今ある現実を受け入れられず呆然としたのであった。

  そして、後ろを見るとリュイが頭を混乱させているのか、

「そんな訳ない、そんな訳ない、そんな訳ない......。」

と、永遠と呟いているのであった。

リュイのそんな様子を見ていると、俺は慌てて取り繕い、メローに向かって、

「そ、そうだったんだな!ま、まあ、今日はここで一晩お世話になる。よろしくな!」

と、上ずった声で伝えるのであった。

  すると彼女は、笑顔で、

「旅の疲れもあると思います。どうぞ、ごゆっくりとして行ってください。」

と、お辞儀をするのだった......。


ーーーーーー

  到着したのが昼過ぎという事もあり、俺は部隊の皆に半日間の自由時間を与える事にした。


ーー休みは取れるうちに取っておかねば......。


  そう言う考えもあった為である。

  そんな中、俺は先程の幼女と見間違えてしまいそうな小さな支部長メローと施設の一室で会話をしているのであった。

「ここは、工業の街なんだな。他の街と違って、煙突の数に驚かされたよ。」

  俺がそう言うと、彼女はそれに対してこう答えた。

「ここは、国家の流通において最も重要視されている街なんですよ。」

  メローの説明によると、この街では政府の武器から国民の日用品まで殆どの道具が作られている街らしい。

  だからこそ、他国からの侵略には敏感であり、警備に関しては他の街よりも厳重になっているらしい......。

  メローはそう言うと、その後、得意げな顔をして、

「そこで私が支部長に任命されている訳ですよ!!」

と、胸を張って言っていた。


ーー俺は、この幼女がそんなエリートである事に衝撃を受けた。


ーー幾ら成人だと言われても、信用出来ないから......。


  しかし、その次に疑問に思う事があった。


ーーそんな場所に何故、『魔法専門部』があるのかを......。


  そこで俺はそれに対する疑問を投げかける。

「それはわかったが、なんでここに『魔法』に関する機関が存在するんだ?」

  俺がそう問いかけると、メローはドヤ顔をしながらマジックアイテムを見せて来た。

「ここで、政府機関のマジックアイテムが作られているからです。」

  どうやらマジックアイテムとは、石に『魔法』を吹き込む事で成り立っているらしく、それの鞘となる道具を最初工場で作った後で、『魔法専門部』へと送り込まれて吹き込むと言う事らしい。

「だからだったのか......。」

  俺はそんな彼女の説明に合点が行き、スッキリとした顔をしていた。

  するとメローは俺のそんな表情を見た後で、

「その『魔法専門部』と言うのは、国家における『魔法』の達人しか入る事の出来ない、所謂エキスパートなのですよ。だから、何かあった時、すぐに対応出来る様、支部と隣接しているのです。」

と、詳しく説明をしてくれた。

  俺はそれを聞くと、フリードは実は凄い男だった事に気がつき、驚いたのであった......。

  話を一通り終えると、俺は夕方に彼と会う約束を思い出した。


ーーその時、色々と聞きたいものだ......。


  俺がそんな風に考えていると、メローが無表情のまんまにこう呟いた。

「それはそうと、この纏わり付いている少女ををどうにかしてくれませんか......?」

  実は俺と彼女が会話をしている間、まだ同世代だと信じてやまない桜が、メローに抱きついたり頭を撫でたりと、ちょっかいをかけ続けているのであった。

「メローちゃん、本当に可愛いね!!」

  そんな事を言いながら......。

  俺はそれに対して、

「俺ではどうにもならん......。」

と、彼女に言ったのだった......。


ーーフリードとの約束の時間まではまだ、時間がある......。


ーーたまには俺も桜と遊んでやるか......。


そんな風に考えるのであった。

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コメント

  • ノベルバユーザー294208

    ターニャ·デグレチャフ少佐?

    0
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