天才過ぎて世間から嫌われた男が、異世界にて無双するらしい。

暗喩

第51話 怪しい街。

ーーーーーー

  半日程、何も無い更地の続く大地の上を、馬は軽快に走り続ける。

  この前の旅の時とは違い、『メルパルク山脈』までは『ベゴニア村』経由ではなく、前にグリンデルが地図で示した最短ルートでの移動となっている。

  本来ならば数週間掛かると言われているその地までは、馬の力も相まって、一週間程と、時間の短縮についても解決されている。


ーー俺一人ならば、風の『異能』を使った移動をすれば、もっと早く着くのだが......。


  これだけの大人数を一遍に移動させるのは、何があるのか分からないという観点から避けたのであった。


ーーとりあえず戦地に到着までは、しっかり一日一日を終える......。


  これが『特殊異能部隊』一番最初の課題となっているのだ。

  まず目指すは、『ノルト』と言う街だ。

  そこには軍の支部があるらしい。

  その中の宿舎で一睡するのだ。

  そこではこれからの戦争における打ち合わせをしたい所である。

  そんな事を考えていた。

  俺は先頭を走って、桜を前に乗せていた。

「やっぱりお馬さんで行くと、早いんだね!!」

  桜は、いつも通り、いや、いつも以上にはしゃいでいる。

「そうだろ......。前の旅では徒歩だったから、差は歴然だよな!」

  俺がそう言うと、桜は更にテンションが上がっていたのだった......。


ーーするとふと、桜が気になる事を言い出した。


「でも、西の方に行くなら、『ソローリ村』にも行けるんだよね!!パパやママはもういないけど、村の人に会えるのがすごく楽しみだよ!」


ーー俺は、その事に関して、懸念をしていた。


  彼女は確かに、両親と会えない事は自覚している。

  だが、村が壊滅してしまった事は多分、知らない筈なのだ......。


ーーこんなに幼い少女に、そんな現実を突き付けて良いものなのだろうか......。


  俺は、そんな気持ちにさせられていた。

  そんな難しい顔をしていると、俺と桜の乗る馬に並走してきたミルトが、

「何難しい顔しているのー?まだ戦地へも着いていないのに、今からそれじゃ、疲れちゃうよ!」

と、明るい口調で問いかけてきた。

  俺はそんな、彼女の的外れな質問に苦笑いをしながらも、

「そうだな。お前の言う通りだよ......。」

と、話を合わせるのであった。


ーーまだ『ソローリ村』までは暫く先だ。


ーーそれよりも、その先にある戦争に備えなければ......。


  俺は、そんな気持ちで桜への気持ちを一旦仕舞い込むのであった......。ーー


ーーーーーー

  先程のミルトとの会話から数時間が経った夕暮れ時、我が部隊は目的である『ノルト』に到着した。

  そこは、門などもなく家々が並ぶ割と殺風景な街であった。

  だが、部隊の連中は無事に街へと到着した事に安堵の表情を浮かべていた。

「とりあえず着きましたね!」

  リュイはハツラツとした口調で俺に言ってきた。

  俺はそれに対して、控え目な返事をする。


ーーでは一度、軍の支部の方に向かい、挨拶をしなければ......。


  俺はそう思うと、一度立ち止まった足を再び進めるのであった。


ーーだが、どうしても気になる事がある。


ーーこの街を行き交う人々から発せられる雰囲気......。

  
  俺はそんな街の様子に違和感を覚えつつも、気に止める事は無かった......。


ーーーーーー

  支部に到着すると、代表と思しき青年が、部隊を歓迎する為に待っていた。

「いやぁ、隊長殿!!遠い所からお越し頂き、誠にありがとうございました!私は、この支部の支部長を務めております、『シェルフ』と申します!!」

  その男は丁寧に俺へと挨拶をする。

  それに対して俺は答える。

「わざわざ歓迎までしてくれて、感謝するよ。」

  するとその代表と思しき青年は、俺に胡散臭い笑顔で、

「私は、皆さん疲れている様なので、我が支部の宿舎を使い、ごゆっくりとお休みください!」

と、俺達に対して執拗に中へ入る様促すのであった....。


ーーこの街の雰囲気といい、この『シェルフ』と言う男といい、どうもおかしい......。


  俺は、そんな怪しさに違和感を感じ、強く身構えつつ支部の宿舎へと足を踏み入れたのであった......。

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