天才過ぎて世間から嫌われた男が、異世界にて無双するらしい。

暗喩

第39話 特殊異能部隊。


ーーーーーー


ーー「明日の朝、城の南にある訓練施設の方へ、足を運んで下さい。そこで励んでおられるのが、あなた達の所属する事になる部隊の方々ですので......。」ーー


  俺は、森山葉月が放った言葉を思い出しながら、その場所へと、足を運んでいるのであった。

  桜は、気合が入り過ぎている様で、顔が強張っていた。

  そこで俺は彼女に向け、

「緊張しているのか......?」

と、問いかけると桜は、

「うっさい!!雄二の方が緊張している癖に......。」

と、俺から目を逸らして握りしめた手にギュッと力を込めて答えた。


ーー俺の手が、震えているのを感じる事で、桜は緊張を察したのであった。


  俺は、それに気づくと、慌てて手を解き、

「ぜ、全然緊張なんてしてねえから!!」

と、飽くまで自分の正当性を訴えるのであった。

  すると彼女は、ニコッと笑いながら、

「なら、お互い様ってことだね!」

と、俺に声をかけるのであった。

  俺は、桜の笑顔を見ると、一気に緊張が解けて行った。

  そして、笑顔になった後で、桜に対して、

「よし、じゃあ行くとするか!!」

と、号令をかける事で、まだ見ぬ『特殊異能部隊』の施設へと足を運ぶのであった......。


ーーーーーー

  到着した施設は、三メートル程の高さの門で四方が囲まれていて、約三百メートル程の正方形の形をしていた。

  俺は、施設の入り口と思われる扉の前に到着すると、ゴクリと、生唾を飲み込んだのであった。


ーーここから、俺は、『聖騎士』を目指すんだ......。


ーーそして、キュアリスを必ず....。


  そんな強い意志を持ってして......。


ーー「でも、あなた達が『聖騎士』を目指している事だけは、絶対に言ってはいけませんよ。妙な勘違いをされても困るので......。」ーー


  森山葉月が最後に告げた言葉だ。

  俺は、その言葉を胸に深く刻みながら、ドアをノックしようと拳を握り締めたのだった。


ーーだが、その時......。


  ドアは内側に勢い良く開き、それと同時に俺に覆いかぶさる様に、誰かが乗っかってきたのだった。

  そして、その後すぐ、柔らかい感触が俺の顔面を包み込む......。

  俺は、一瞬何が起きたのか分からなくなり、そのままその感触に身を委ねるのであった......。


ーーすると、怒鳴り声が聞こえてくる......。


「ミルヴィール!!何回陣形を間違えるなと言った!!ふざけるなよ!!」

  その言葉が聞こえたと同時に、真っ暗になった俺の視界は、明るくなったのであった。


ーーそこには、衣服から少しだけ見える、肌色の大きな山が二つあったのだ......。


  そして、その感触の元である者は話し出す。

「リュイさん、ごめんなさい......。」

  寝っ転がる俺を無視したまま、その者は謝罪を口にする......。

  俺が現実に戻ってきた時、目の前に立っていたのは、俺と同い年位の少女であった。

  茶色い髪に、メガネをかけていて、大きな胸をした美少女だ。


  すると、そのミルヴィールと思われる少女は、その先にいる怒鳴り声の主である、金髪ショートカットの少女から視界を逸らし、俺の方へ目を合わせてきた。

  そして、その少女は再び頭を下げる。

「ぶつかってしまって、ごめんなさい......。」

  俺は、彼女の言葉を聞くと、先程の感触を思い出しながら、顔を赤らめて、

「気にしないでくれ......。」

と、目を逸らしながら答えたのであった。

  その時ふと、桜の方を見ると、明らかに引いている表情を浮かべていたのであった......。

  ミルヴィールという少女は、俺に謝罪を口にした後で、俺に向け、問いかける。

「ところで、あなた達はどなたですか......?」

  俺は、彼女の質問を聞くと気持ちを元に戻し、答えるのであった。

「実は、今日からこの『特殊異能部隊』に配属される事になった、佐山雄二だ。」

  俺は自己紹介を終えると続けて、ドン引きの表情のままであった桜の方を指差して、

「それでこっちが、観音寺桜。これからはよろしくな!!」

と、元気良く挨拶をしたのだった。

  俺が挨拶を終えると、ミルヴィールは、何故か先程怒鳴っていたリュイの方に寄って行った。

  そして、すっかり彼女の後ろに隠れると、前で精悍な顔つきをしたリュイは、突然ひざまづくのであった。

「お待ちしておりました。隊長殿。お見苦しい所をお見せして申し訳ありません......。本日から、ご指導宜しくお願い致します。」

  彼女は俺に向け、丁寧に挨拶をした。


ーー隊長......?


  俺は単純に、森山葉月から『特殊異能部隊』へ配属になるとだけ聞かされていた。


ーーだが、今、リュイという少女は、確かに『隊長』と口にしたのだ......。


  俺は、そんな聞かされていない事実に混乱していた。

  すると、リュイは俺のそんな気持ちを気にする事なく相変わらず真面目な表情のまま、

「それではお入りください。今すぐに部隊の者達を集めて来ますので......。」

と言って、俺と桜を奥にある訓練場へと招いた。


ーー何故、俺が初めて来たこの場所で、『隊長』にならなければいけないんだ......。


  そんな疑念を抱きつつ、彼女の案内のままに、施設の中へと入って行くのであった......。
 

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