天才過ぎて世間から嫌われた男が、異世界にて無双するらしい。

暗喩

第36話 彼女を救う方法。


ーーーーーー

  俺は、キュアリスを助ける方法を彼女から聞き出すのであった。


ーー俺に出来る事なら、何でもしてやりたい。


  そんな強い気持ちを持って。


ーー彼女には、幸せに暮らして欲しい......。


  そして、俺は森山葉月に核心を突いたのであった。

「俺と桜は、何をすればいいんだ?やれる事があるならば、何でもしてやる!」

  俺が決意を口にすると、森山葉月は、真剣な表情で俺と桜にこう告げた。

「単刀直入に言います。もし、キュアリスさんを助けたいのであれば、あなたが『聖騎士』になる。それしか道はありません。」

  俺は今、彼女から放たれたその言葉に全く実感が湧かなかった。


ーー俺が『聖騎士』に......?


  それは、キュアリスを引き摺り下ろす事で、結果、彼女を救う事を意味しているのであった。

「しかし......。」

  森山葉月は、そこに付け加える。

「もし仮にそうするにしても、あなたをすぐに『聖騎士』にするのは、難しいのです。」

  彼女の説明によると、王家にとっての『聖騎士』と言うものは、最後の砦と位置付けられる程、重要視されている存在らしい。
  
  だからこそ、人選に関しては入念にチェックをした上で選んでいるらしい。

  『初代聖騎士』であったキュアリスも例外ではなく、それだけの力を有したが故、あの様な事になってしまったとの事だ......。

  そして、森山葉月は続ける......。

「だから、一番早い方法は、あなた達が我が軍に入ってより多くの戦果を上げる事なのですよ......。」


ーー俺は、その方法を聞いた時、妙な納得をしたのであった。


ーーだが、それと同時に一つ引っかかる事があった。


ーー俺は、キュアリスを救えるならば、どんな戦いにだって参加しても良いと考えている。


ーーしかし、その入隊を受け入れると言う事は、桜まで戦争に身を投じなければならない事を意味しているのだ......。

  俺は、それに対して強い拒絶を感じるのであった。

「入隊は、俺一人では駄目なのか......。」

  俺は、桜を入隊させる事だけは断固として反対なのであったから......。

  すると、森山葉月は、まるでその返事が来る事を予想していた様に、口を開いた。

「今までのあなた達の旅は、密偵を通じて、全て見させてもらいました。」

  俺はそれを聞くと、愕然とするのであった。


ーー全て見られていた......?


「監視していたというのか......?」

  彼女は、俺の質問を無視して続ける。

「佐山雄二さんは、確かに強いです。あれだけの『異能』をたったの数ヶ月で習得してしまうなんて、『天才』としか言い様がありませんでした。正直申しますと、悔しいですが、今、私はあなたと戦っても勝てる事はないでしょう。でも......。あなたには決定的に足りない所があるのです......。」


ーー俺に足りない所......?


  それは、自分自身で答えを探しても、見つからない所であった......。

「それは、一体なんだ......?」

  俺は森山葉月に対して、質問をした。

  すると、彼女は桜の方に目をやり、微笑みながら答えた。

「それを補えるのは、観音寺桜さん、あなたなのですよ。」

  森山葉月は、その核心を勿体ぶるかの様にしていた。

「桜さんの、『異能』による防御と回復スキルは、この国のトップクラスであります。先日、『ベゴニア村』にてそれは確信に変わりました。」

  俺は、彼女の説明に対して、いい加減、苛立ち始めた。

  そして、もう一度問いかける。

「俺の弱点を教えてくれ......。」

  森山葉月は、それを聞くと、フッとため息をついた後で、観念した様に答えた。

「それは、あなたの戦い方です。幾ら、『異能』において最強でも、戦いにのめり込み過ぎれば、そこには盲点が生まれます。それは、多分変わる事がありません。それに関しては、あなたが一番分かっているのでは......?」


ーーその言葉の後、俺は、今まで経験した戦いを思い出していたのだった......。


ーースケアリードラゴン、ランドリーシェム、矢立駿......。


  その全ての戦いで共通していたのは、『周りが見えなくなる』という事であった。

  俺は毎度、その感情に抗う事が出来ずに、それが落とし穴となり、結局辛勝と言う形になってしまっていた......。

  俺がそれに気づいて、呆然とした表情を浮かべていると、森山葉月は、更に付け加えた。

「その弱点を桜さんのスキルでカバー出来るのであれば、私はあなた達二人で、『聖騎士』を目指す事が可能なのでは、と、考えたのです。」


ーー確かに彼女の言っている事は、理にかなっている。


ーー俺の危なくなったに桜が防御を張ることで、盲点は無くなる筈だ。


ーーだが、幼い桜を軍に入隊させ、辛い思いをさせるのだけはどうしても嫌だ。


ーー俺は、キュアリスと同じくらい、桜の事も大事に思っているのだから......。


  そんな俺の顔を見ると森山葉月は、何かを察した様な表情を浮かべた後で、告げた。

「まあ、じっくりと考えるといいと思います。とりあえず、何日かしたらまた訪問させて頂くので、その際に答えを貰えればと思いますので......。」

  彼女はそう言うと、ゆっくりとソファから立ち上がり、その場を去ろうとしたのだった。

  俺は、そんな森山葉月に最後、どうしても気になっていた事を聞いたのだった。

「どうして、そんな、俺達に対して友好的であるんだ?」

  俺の言葉を聞くと森山葉月は、立ち去ろうとしていた足を止め、俺の方を振り返って、

「あなたとキュアリスさんとの関係は、あの人と私の関係に似ているからです......。」

と、少し哀しげな表情を浮かべながら答えたのであった。


ーーあの人とは......?


  俺は、その事について疑問に思っていると、彼女はその言葉を最後に部屋から立ち去るのであった......。


ーー俺は、どうしたら桜もキュアリスも守れるのか......。


  そんな、再び訪れた難問に、また頭を悩ませるのであった。

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