天才過ぎて世間から嫌われた男が、異世界にて無双するらしい。

暗喩

第31話 通りにある小さな銅像。


ーーーーーー

  日が昇って二時間ほどが経った明るい時間帯に俺達は、首都リバイルの城門を潜り抜けると、そこには所狭しと並ぶ西洋風の建物があった。

  そこは丘になっていてその頂点には外から垣間見えた城が勝ち誇る様にそびえ立っている。

  城門から王宮までは道幅三十メートル程の大きな道が一直線で繋がっており、その場所だけ遮る物が何もない見晴らしの良さが余計に、王宮の存在感を際立たせていたのだった......。

  街には人が多く行き交っていて、ヘベレスシティとは比べ物にならない程の規模を持っていて、その光景はまさに『首都』そのものである。

  それを見て俺は、この長旅が一旦終わった事を改めて自覚したのだった......。

「やっと辿り着いたな......。」

  俺が二人に向けて呟く。

  するとキュアリスは、

「そうだね。長い様で短い旅だった......。」

と、浸る様な口調で答えた。

「本当に!!こんなに大きい街、初めて来たよ!!!!」

  桜は元気の良い口調で感動をしていたのだった。

  そして、俺は一呼吸置いた後で、キュアリスに催促をした。

「まずは、色々と用意してくれたグリンデルに報告をしなくてはな。」

  彼女はそれを聞くと、小さく頷いた後で、胸元に輝く真っ赤なルビーのペンダントを手に取った。

  そして、話しかける......。

  しかし、幾ら声を掛けてもマジックアイテムからグリンデルの声が聞こえてくる事は無かった。


ーー今は仕事で忙しいのかもしれない。


  俺はそう思うと、

「また時間を空けてからにしようか。」

と、キュアリスに告げた。

  すると彼女は、大事そうにペンダントを再び首にぶら下げるのであった。


ーーそれにしても、キュアリスは故郷がここであるという事は、もしかしたら彼女の親もこの街にいるのかもしれない......。


  俺はそう思うと彼女に対して、

「お前、この街の生まれならば、もしかして親御さんはここに住んでいるのか?」

と、素朴な疑問を投げかけた。

  すると彼女は苦笑いした後で、

「その事なんだけど......。せっかくこの街に戻って来たから、両親に会いに行きたいんだよね......。だから、夕方まで空けてもいい?」

と、俺に嘆願して来たのだった。

  俺はそれを聞くと、そのお願いを快く受け入れたのだった。


ーーきっと、それなりの身分を持った両親なのだろう。



ーー王女と幼馴染なくらいだから......。


  俺がそんな事を考えているとキュアリスは、ペコっと頭を下げた後で、

「じゃあ、夕方くらいに中央通りから五本目の角を左に曲がった所にある、『アバリウド』というレストランで待ってて!!」

と、落ち合う場所を指定すると、俺に荷物を預けて足早に去っていくのであった。


ーーまた後で......。ーー


ーー俺と桜はキュアリスがいない間に、観光がてら街を散策する事にした。


  人が多いこの街ではぐれぬ様にしっかりと手を繋ぎながら......。

「桜、お腹空いたから、ご飯が食べたい。」

  桜は早速食事の催促をして来た。

  俺はそれに対して、

「そうだな。まだ何も食べてなかったからな。」

と、答えて食事を摂ろうと街を歩き出したのだった。

  まず、メイン通りである広い道を歩いてみる。

  その通りには幾つもの兵士達の銅像が、細く枝分かれした道の角毎に建ち並んでいた。

  そこには、名前と共に、過去の戦果が記されていて、一人一人が実在した英雄であった事が直ぐに分かったのだった。

  それをゆっくりと見ながら歩いていると、桜が何かを見つけた様で、

「あっ!!あれかわいい!!!!」

と言って、俺の手を引っ張りながら走り出したのであった。

  そこにあったのは、大きな銅像が建ち並ぶ中でも一際小さい、頭から爪先まで武具を纏った物だった。


ーーその小さな銅像の名前の欄には、『フレイディア』と、記されていた。


ーーだが、その銅像だけは、名前のみしか記されておらず、昔の戦果に関しての記述は一つもなかったのだ。


  俺は、不審に思いながらその銅像をただ見ていた。


ーーちょうどメイン通りから五本目の角にあるそれを......。


  すると、そんな俺達に向かい、一人の少女が声をかけて来た。

「この銅像、一つだけ極端に小さくて変だろ......?」

  その少女は背丈が小さく、緑色の髪にツインテール、白いTシャツと形容できる衣服にショートパンツと言う軽装であった。

  俺と桜は突然話しかけられた事に驚き、唖然としていると、彼女はそんな事、気にも留めずに自信満々な顔つきで説明を続けた。

「これは初代聖騎士の銅像だよ。七年前からたった二、三年の間で数々の戦争を勝利に導いた、英雄の中の英雄だ。だが、彼女の顔を見た者は一人もいない。何故なら常に、兜を被っていたからだ。」


ーー彼女が見ず知らずの俺達に、一生懸命に説明をのが何より変だなと思っていた。


ーーだが、それと同時に初代の聖騎士に対する興味が湧いた。


  その少女はそんな俺の心境の変化に気づいた様で、

「興味があるのだな...?ならば、近くの喫茶店にでも入ってゆっくりと話してやろうではないか。」

と、何故か俺達と慣れ合う気満々になっていた。

  すると桜は、

「確かにー!!!お腹空いたから何か食べようよ!!!」

と、その不思議な少女に賛同していた。

  そして、俺と桜は、その少女に促されるがままについて行く事になってしまったのだった......。


ーーもしかしたらこの少女は、初代聖騎士に所縁のある者かもしれない。


そんな事を思いながら俺の中の好奇心が体全体を支配して行くのであった......。

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