天才過ぎて世間から嫌われた男が、異世界にて無双するらしい。

暗喩

第20話 村の人々。


ーーーーーー

  『ベゴニア村』を目指す道中で一夜を明かした俺達は森を抜け、山脈を下り切る直前に差し掛かっていた。

  森の中では再び白狼に襲われる事もあったが、俺はそれを全て倒して難なく通り過ぎる事が出来た。

  そして、あと少しで目標としていた『ベゴニア村』である。


ーーそんな中、相変わらず俺は桜を背中に背負って歩いている。


  今だって、俺の髪の毛を掴みながら、大きな声で歌っているのだ。

  キュアリスはその様子を見て、

「桜は雄二が大好きなんだね。」

と、優しい笑顔を見せた。

  そんな彼女の微笑みに感化されながら、俺は顔を赤らめるのだった。


ーー不思議な感覚だ......。


  俺はその幸せに満ち溢れているこの雰囲気に未だ慣れずに戸惑っていたのだ。


ーーすると桜は、

「あっ!!あそこに建物が見える!!」

と、俺とキュアリスよりも少しだけ高い目線を遠くに向けて、何かに気付きながら指をさした。

  俺は桜の指の方向へ目をやると、そこにあった木造作りの家々が並ぶ集落だった。


ーーここが『ベゴニア村』......。


  俺はそう確信すると、キュアリスと桜に告げた


「やっと到着だ。」

  それを聞くとキュアリスは、

「やっと着いたんだね!雄二も桜も本当にお疲れ様でした!」

と、歓喜の声で言った。


ーーこれからが大切だ。


  俺は、そう気を引き締めた後で、村へと向かうの だった。


ーーーーーー

  俺達は村の入り口にやってくると、何故か全身に防具を纏った守衛らしき者二人が中に入れぬ様に警備をしていた。


ーーまるで戦争でも起きているかの様な重々しい雰囲気で.......。


  その内の一人の男は中に入ろうとする俺達に対して、

「怪しい者は入れぬ様に言われている。すまぬ。出て行って頂けるか?」

と、敵意を剥き出しにして告げた。

  俺はそれを聞くと、

「俺達は『首都リバイル』を目指す旅の者だ。この村で一度休憩をさせて頂きたい。」

と、彼らに何故ここへ来たのかの旨を説明した。

  だが、それが彼らの耳に届く事は無かった。
  
「理由はどうであれ、今この村に入れる事は出来ぬ。お引き取り願いたい。」

  守衛の一人は厳しい表情を浮かべたまま俺達に帰る様、促したのだった。

  横を見るとキュアリスと桜は、困った顔をしているのが分かった......。

  そして、俺達は体制を立て直す為に一度そこから立ち去ろうと、村と反対方向へ振り返った。


ーーすると、その先には屈強な戦士と思しき集団がこちらに向かって歩いているのが分かった。


  その先頭にいる者は、端正な顔つきで鋭い目つき、頬に切り傷がある男だった。

  他の戦士達に比べても一目置かれているのが分かる程のオーラが漂っていて、まさにこの村の最強と形容できる風貌をしていた。

  だが、それよりも気になる事があった。

  彼らは全員獣耳が生えているのだ。

  守衛に関しては兜をかぶっていたので分からなかったが......。


ーー獣人族......。


  俺は初めて見るその種族に衝撃を受けていたのだった......。


  そして呆気に取られていると、
 
「おお!ルインドさん!!今日もお勤め、お疲れ様でした!」

と、後ろの守衛が先頭の男に向けて言葉を発しているのがよく分かった。


ーーそこで俺は気がついた。


ーー彼がフリードの話していた『ルインド』本人だという事に......。


  そしてすっかりと近づいた彼は俺達を見ると、不審そうな顔をしながら口を開いた。

「ここら辺では見ねえ顔だな。怪しい者じゃねえのか?」

  俺はその言葉を聞くと、怪しまれているのがすぐに分かったのだった。

  そこで俺は、いつもより高い声で、

「お前が『ルインド』だったんだな!俺は、ロンブローシティからやって来た。フリードから話は聞いていたよ!」

と、様子を見ながらひきつった笑顔で伝えた。


ーーすると彼は、表情を一つも変える事なく冷静な口調で話した。


「お前、フリードの友達なのか?ならば、話を聞きてえな。とりあえず村の中に入れや。」


ーーそれにしても、フリードとルインドは性格が離れ過ぎている。


ーー何故こんなにも性格が正反対な二人が、友達なのだろうか......。


  俺はそんな事を何となく考えながらも、とりあえず村の中へ入る事許しを貰えた事に喜んで、ルインドの後をついて行くのだった。

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