天才過ぎて世間から嫌われた男が、異世界にて無双するらしい。

暗喩

第13話 天才と謎の集団の戦い。


ーーーーーー

  俺は今、突然現れ桜を誘拐しようとした黒いマントを着ている五十人程の集団に睨みを利かせていた。

  漂っている殺気から、この者達が俺を殺しに掛かっている事がよくわかった。


  その中で先ず俺は背後にいるキュアリスに、

「できるだけ遠くへ逃げろ。ここら辺にいては巻き込まれてしまう可能性がある......。もしキュアリスと桜が危なくなったら、その時は、マジックアイテムでグリンデルを呼ぶんだ。辿り着けないとは言え、何か打開策を教えてくれるかもしれないからな。」

と、その謎の集団と目を逸らす事なく伝えた。


ーー人間と戦うのは初めてだったので、正直どうなってしまうのかはわからない。


  しかも、如何にも戦闘慣れしていそうな大人数と......。

  そう考えると、万が一に備えてキュアリスと桜に関しては遠くに逃がすのが妥当と判断したのだ。

  彼女はそれを聞くと、泣きじゃくっている桜を抱えたまま、

「わ、わかった......。ならば、さっきの休憩地点で待ってるね! でももし危なくなったら、すぐに逃げてくるんだよ! そしたら、グリンデルにすぐ連絡するから!後、絶対に無理しちゃダメだからね!」

と、言い残すと、俺の背中から走って行く足音が遠くなって行くのを感じた。

  集団のボスと思われる男は、俺の背後で遠くなる彼女達の姿を眺めると、

「やっと見つけたというのに、またお預けかよ......。貴様も、あのガキが狙いなのか?  奴を利用すれば、我々はもっと繁栄する。分かって頂けないであろうか? 大人しく渡して欲しいのだが......。」

そう言って、マントの下から不敵な笑みを浮かべていた。


ーー俺は、繁栄という言葉を聞くと、どうやら、この集団は桜を何らかの国家やら組織やらの為に利用しようとしている事を察した。


ーー日本名である時点で、やはり『観音寺桜』何らかの能力があるのかもしれない......。


ーーでも今は、そんな事どうでも良かった。


  あんな健気な少女を利用しようとしている人間がいる事に憤りを感じる......。

  そう考えていると俺は、怒りで震えが止まらなくなった。


ーーそして、そのボスと思われる男に、思い切り叫んだ。


「絶対に桜をお前らの手には渡さん!俺はお前らを倒す。それだけだ。あの子は俺が絶対に守り抜いてみせる!!!」

  それを聞くと、その男は、

「残念だ......。じゃあ、力ずくで行っちゃうよ!!」

と言った後で、後ろの集団と共に、土を生み出し、それはどんどんと変化を重ねて、幾千の剣を生み出した。


  俺はそれを見ると、強く身構えた。


ーーそして、その幾千の剣は、俺目掛けて勢い良く飛んで来たのである。


ーー俺は立ったままの状態で、その迫り来る剣の数々を、体内から生み出された水のオーラにより、全て弾き飛ばした。


  周辺に生えている木々は、悉くその切れ味の前に負け、俺の周りだけに光が差し込めていた。

  その後で、その男を睨んだ。


ーー男は、その圧倒的な様子を見て一瞬戸惑った。


  その後、すぐに真顔に戻った後で、

「貴様は、何者なんだ......。」

と、俺に疑問をぶつけて来た。


  しかし、俺は完全に怒りの状態に入っていたので、

「そんな事、どうだっていいだろ......。」

と、強く男を睨みつけた。

  すると、男は、

「なるほど......。これは、一筋縄には行かないようだな......。それでは、戦術を変えよう。」

と、再びニヤリと笑い出した後で呟き、「パチン」と、指を鳴らした。


ーーその合図と共に、集団は目の前に手をかざすと、地面は次第に形を変えて、気がつけば数十体のゴーレムが作り上げられていた。


  そのゴーレムは見る見るうちに大きくなっていき、周りの樹木は、音を立てながら、薙ぎ倒されて行った......。

  そして、ゴーレムは、全長十メートルの程の所まで大きくなった。

  俺は、水の刀を体から生み出して、それが襲いかかって来るのを待っていた。

  すると、その巨大なゴーレム達は、森を破壊する鈍い音と共に、俺に襲いかかって来たのだ......。

  すかさず俺は、避ける。

  その後で、水の刀によりそのゴーレム達を一体一体、切り刻んで行った。

  全て倒せば、新たなゴーレムが生み出される。


ーー正直いたちごっこと化していた。


  その状況に嫌気が指した俺は、目にも止まらぬ速さで目の前のゴーレムを全て討伐した後、生み出されている最中のゴーレムまでも討伐して見せた。

  そして、そのまま勢い良く、ボスと思われる男の前に詰め寄る。

「遊びは終わりだ......。死んで全てを詫びるがいい......。」

  俺は、そう言うと、黒いマントを着たボスと思しき男の目の前に、刀を構えた。

  すると男は、

「これで終わり......。とでも思っていたか?」

と、呟いた後で、マントを脱ぎ捨て俺を「カッ!!」と、睨んだ。


ーーその直後、俺の目の前は、ブレ始めた......。


  視界が定まらなくなり、まともに刀を振れる状態には無くなってしまい、その場でひざまづいた...。

  目の前には、金髪で短髪の、目つきの悪い男が、高笑いをしていた。


ーー体の自由が全く効かない......。


ーー俺は、襲いかかる自分の危機を自覚した。


ーー怒りに身を任せて、戦いにのめり込み過ぎてしまった。


ーー感情だけで、真っ直ぐに攻め過ぎてしまったのだ......。


ーーそれが、俺の犯した最大の失敗だった......。


  すると、男は口を開いた。

「やはり、切り札の『魔法』は最後まで取っておくに限る!隙を見せたのが貴様の敗因だった......。」

  そして、後ろにいる部下に向かって一笑いした。

  その後、男はまた俺の方に視線を戻し、土で作った刀を手に取った。

「せっかく時間をかけて探したんだ。わざわざ村まで焼き尽くして皆殺しにしてやっと見つけた、大事な大事なおもちゃ。それを目の前にして死ぬ訳には行かないでしょうが......。まあ、あのガキは貴様を殺してからゆっくり捕まえるという事にして......。では、死ぬといい。」

と、高笑いをしながら俺に向け刀を振り上げた......。


ーー村が焼き尽くされた...?


ーー皆殺し...?


  俺は、薄れていく意識の中で、必死に考えた......。


ーーという事は、桜の両親も、何もかも......。


ーーーー状況を完全に把握した時、怒りは最高潮になり、それと共に、俺の体からは、炎の柱が煌々と燃え上がった。


ーー俺の体に自由が戻ったのだ......。


  男は、慌てて避けた後で、

「おかしいではないか!我の『魔法』は、ほとんど破られた事は無いぞ!我が国の...。」

と、うろたえていた。


「お前......。村の人間を皆殺しにしたというのは、本当か......?」

  俺は、全身に炎のオーラを纏わせ、炎の刀を強く握りながら、問いかけた。

  するとその男は、
  
「し、仕方がなかったんだ!誰も口を割ってはくれなかったからな!ど、どうだ?金なら幾らでも払う!だから、我の事を殺すな...。」

その男がそう必死に訴えていたが、俺は、躊躇なく、男の首を斬り落とした。


ーー地面へと落ちたその首は、必死な表情を浮かべて......。


  その後、怒りに身を任せて、怯えている男の部下達にも一心不乱に斬りかかり、皆殺しにした......。


ーー気がつくと、辺りは血の海になっていた。


  何十人もの亡骸から流れた血が、一つの大きな湖を作るかの様に......。


ーーその真ん中で、俺は、深呼吸をして、

「ふざけんなーーーー!!!!!」

と、喉が切れる程の声で叫んだ。


ーー桜、一足遅くてごめんな......。


  そんな気持ちを込めながら、ただ、ひたすらに叫んのだった......。
 

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コメント

  • ノベルバユーザー252836

    面白い!(゚∀゚ノノ"☆パチパチパチ★

    0
  • ノベルバユーザー146543

    台本みたいな説明的な文章の構成でちょっと読みずらく、展開が想像しにくいためによく分からない部分が多いかな。

    話の流れもすっ飛ばして急展開していくのでついていけませんでした。


    話自体は面白いですが、表現しきれていないため頭に内容が入ってこないこともしばしば( ̄▽ ̄;)

    8
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