量産型ヤンデレが量産されました
帰宅
な、なんとか乗り切った……。何故掃除の時間程度でここまで疲れなければならないのかは分からないが、ともかく助かった。二人に引きずられて人気のない所へ連れて行かれた時は完全に試合終了だと思ったよ。
あそこで名も知らぬ一年生の男子たちがやってきて邪魔をしなかったら俺はチェリーを卒業してしまっていたかもしれない。ありがとう下級生たち、君らの活躍は二日くらいは忘れないよ。お礼として君らが休み明けにどこかへ転校していないことだけは祈っておこう。
掃除が終われば各自の教室でホームルームが行われる。最早夏休みは目と鼻の先にあるため生徒たちの誰もがソワソワしている。先生もそんな空気を読んで手早くホームルームを終えてしまい、とうとう夏休みへと突入してしまった。
普段以上にワイワイガヤガヤと騒いでいる彼らを尻目に俺は一人で教室から出ようとする。
「じゃあ帰ろっか!」
「そうだね、雄太は晩御飯は何が良い?」
うん、知ってた。教室のドアの前に立つどころか俺が立ち上がった瞬間には榛名と田中から声がかかる。いや、もうね、流石に二ヶ月も一緒に俺の家で生活してるからナチュラルに田中が俺の晩飯の話をしてるのはいいけどさ、君たちがどうやってこんなに早く俺の元へ来れるのかが知りたい。
「そうだなー、そうめんとか胃に優しいのが良いな」
「もう雄太くんったら、もっと精がつく物食べないと駄目だよ?」
榛名は胸の前で手を組んで上目遣いでそんなセクハラまがいのことを言ってくる。あざとすぎぃ! あと夏休みに入るからってまだ教室も出てないのに飛ばし過ぎだ!
「あははは」と曖昧に笑ってからさっさと教室から出ようとする。教室のドアを開けるとほぼ同時に最近慣れてきた衝撃が腰のあたりを襲う。
「一緒に帰ろ! お兄ちゃん!」
文美が俺の腰に抱き付きながら顔を上げて満面の笑みでそう言う。
くそっ、最初こそ妹としてしか見れなかったから何とも思わなかったけど最近ではふとした時に文美にドキッとしてしまう。田中の時といい文美といい段々不味いことになってるぞ、俺。
そして気になるのはどうして俺が教室から出るタイミングが毎回わかるのかだ。
「なあ、何で俺が出てくるタイミングがいつもわかるんだ?」
「え? においだけど?」
文美は何でも無いことを聞かれたかのようにキョトンとして首をかしげる。
ああ、そういえば俺限定で犬並の嗅覚でしたね。そう納得していると文美は俺の股間に顔を近づけてフッと息を吹きかける。やめて! 俺の新保さんをいじめないで!
俺がゾクリ、と震えたのを見て満足したのか文美が俺から離れる。
「お兄ちゃんのにおいは凄く強いからね!」
文美は「ニヤリ」ではなく「にちゃあ」と顔を歪めてそんな台詞を口にする。
俺の社会的地位のライフポイントは既にマイナスに突入しているが、そんなことお構いなしに更にライフを削ってくる彼女たち。死体蹴りとかやめてください。
「あーもう! さっさと帰るぞ!」
こんな場所にいられるか! 俺は自分の家に戻るぞ!
俺の言葉に三人は「はーい」と答えて朝の時と同じ様に俺の右、左、後ろのガードを固める。
やけに素直だなと一瞬思ったが、こいつらにとっては俺の家こそが「ホーム」であることを失念していた。
逃げ場が無いよぅ。
あそこで名も知らぬ一年生の男子たちがやってきて邪魔をしなかったら俺はチェリーを卒業してしまっていたかもしれない。ありがとう下級生たち、君らの活躍は二日くらいは忘れないよ。お礼として君らが休み明けにどこかへ転校していないことだけは祈っておこう。
掃除が終われば各自の教室でホームルームが行われる。最早夏休みは目と鼻の先にあるため生徒たちの誰もがソワソワしている。先生もそんな空気を読んで手早くホームルームを終えてしまい、とうとう夏休みへと突入してしまった。
普段以上にワイワイガヤガヤと騒いでいる彼らを尻目に俺は一人で教室から出ようとする。
「じゃあ帰ろっか!」
「そうだね、雄太は晩御飯は何が良い?」
うん、知ってた。教室のドアの前に立つどころか俺が立ち上がった瞬間には榛名と田中から声がかかる。いや、もうね、流石に二ヶ月も一緒に俺の家で生活してるからナチュラルに田中が俺の晩飯の話をしてるのはいいけどさ、君たちがどうやってこんなに早く俺の元へ来れるのかが知りたい。
「そうだなー、そうめんとか胃に優しいのが良いな」
「もう雄太くんったら、もっと精がつく物食べないと駄目だよ?」
榛名は胸の前で手を組んで上目遣いでそんなセクハラまがいのことを言ってくる。あざとすぎぃ! あと夏休みに入るからってまだ教室も出てないのに飛ばし過ぎだ!
「あははは」と曖昧に笑ってからさっさと教室から出ようとする。教室のドアを開けるとほぼ同時に最近慣れてきた衝撃が腰のあたりを襲う。
「一緒に帰ろ! お兄ちゃん!」
文美が俺の腰に抱き付きながら顔を上げて満面の笑みでそう言う。
くそっ、最初こそ妹としてしか見れなかったから何とも思わなかったけど最近ではふとした時に文美にドキッとしてしまう。田中の時といい文美といい段々不味いことになってるぞ、俺。
そして気になるのはどうして俺が教室から出るタイミングが毎回わかるのかだ。
「なあ、何で俺が出てくるタイミングがいつもわかるんだ?」
「え? においだけど?」
文美は何でも無いことを聞かれたかのようにキョトンとして首をかしげる。
ああ、そういえば俺限定で犬並の嗅覚でしたね。そう納得していると文美は俺の股間に顔を近づけてフッと息を吹きかける。やめて! 俺の新保さんをいじめないで!
俺がゾクリ、と震えたのを見て満足したのか文美が俺から離れる。
「お兄ちゃんのにおいは凄く強いからね!」
文美は「ニヤリ」ではなく「にちゃあ」と顔を歪めてそんな台詞を口にする。
俺の社会的地位のライフポイントは既にマイナスに突入しているが、そんなことお構いなしに更にライフを削ってくる彼女たち。死体蹴りとかやめてください。
「あーもう! さっさと帰るぞ!」
こんな場所にいられるか! 俺は自分の家に戻るぞ!
俺の言葉に三人は「はーい」と答えて朝の時と同じ様に俺の右、左、後ろのガードを固める。
やけに素直だなと一瞬思ったが、こいつらにとっては俺の家こそが「ホーム」であることを失念していた。
逃げ場が無いよぅ。
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