幼女と遊ぼうとしたら異世界に飛ばされた件について

スプマリ

135話目 足掻き

 手詰まり、手詰まり感は満載だが何もしないわけにもいかない。とりあえずどこか体に異常が無いか見える範囲で検査してみる。足の指の間に小枝が刺さってた。げんなりしながらも引き抜く。もしやと思い目を検査してみるとチョコの銀紙が目に入ってた。いつのだよこれ。はよ気づけや。

 結局、予想通りだが目に見える範囲では何もわからなかった。これが元の世界での獣医とかなら何かわかったのかもしれないが、指の間に小枝が刺さって目に銀紙が入っていたことくらいしか分からず、それのせいで飛べなくなったとは到底思えない。

 時間だけはあっという間に過ぎていき、ドラ助の腹の虫が盛大に鳴り響いたことで一旦切り上げることとなった。丁度リーディアも戻ってきたことだし一先ず昼食にしよう。本来なら罰ということで飯抜きのドラ助だが、事情が事情なので普通に飯を食わせてやる。

「む? ドラ助の様子が変だが一体どうかしたのか?」

 ドラ助に元気が無い事に気づいたリーディアが昼食の最中にそう尋ねてきた。斯く斯く云々と雑に説明をし、飛べないドラゴンについての伝承が無いか聞いてみるが、やはりそういった話は聞いたことが無いとのことだ。

「役に立てずすまない。私にできるのはこの剣で敵を切り裂くことくらいで、それでドラ助が飛べなくなったことの解決には……、剣……、ドラ助……、うっ、頭が!」
「オーケー、リーディア俺が悪かった。あっちで少し休もうか」

 突発的な発作を発症したリーディアをベッドに誘導する。ちなみにリーディアは俺作成の剣を片時も手放さないようになり、横になる時も抱き枕の要領で抱え込んでいる。理由を尋ねても『よく分からないがこうしておかないと不安で仕方ない』という回答しか戻ってこなかった。どう考えてもトラウマになってます。本当にありがとうございました。

 さて、肝心のドラ助はというと、しくしくメソメソうじうじとしながらも普段の三倍くらいの量の飯を食ってた。いつものバカドラ助だ。シャルもシャルでドラ助を甘やかして求められた分だけ飯を与えている。このままだと食うだけ食って空も飛ばず、走りもしないだろうからトカゲから飛べない豚にクラスチェンジしてしまうぞ。

 違う意味での危機感を覚えたが、これだけ飯を食うのであれば体調自体は悪くないと考えられる。昼寝でもさせれば、飛べなくなってることを忘れていつもの調子に戻るに違いあるまい。まあその後思い出して、やっぱり落ち込むだろうが。

 それから数日経った。思いつく限りのことを試してみたがドラ助の症状を緩和することは出来ず、次第にやつれていくその姿は、俺にとある決断をさせた。

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