幼女と遊ぼうとしたら異世界に飛ばされた件について
129話目 昼ドラ
昼食を済ませてしばらくして、果たして予想通りドラ助は無事に家に戻ってきた。別に心配もしていなかったので、戻ってきたからどうしたという感想しか出てこなかったわけだが、どうにもドラ助の様子がおかしいことに気づいた。
怪我があるとか元気が無いとかではないのだが、妙に頭をぶるぶると振ったり、グルグルとその場で回ってみたりと挙動不審さが当社比三倍くらいになっている。極めつけに、あの食い意地が張っていやしんぼでプライドを森のどっかに落としているドラ助が昼飯を残したのだ。
「ドラ助どうしたの?!」
ソースを舐めずに残した事に対して、シャルはここ数年で一番の驚きの声を上げた。ドラ助の体を真剣な顔でペタペタと触って心配しているが、ソースを舐めなかっただけでこの扱いなのでナチュラルに残念な子扱いしている。まあ残念でもないし当然の扱いだが。
それからも挙動不審な動きは続き、きゅるきゅると鳴き声を上げるもののなんだか奥歯に物が挟まったような鳴き声で引っかかりを覚えてしまう。物悲し気な瞳でこちらを見つめ、俺に助けを求めているようにも思える。流石に心配になってきたので『どうしたドラ助』と声を掛けて近寄った。
――――ブエェェェックシュ!!
思いっきりクシャミをひっかけられた。
全身グチャドロの鼻水まみれである。
とりあえず俺はヤツの頬を一発叩いてから風呂に直行して汚れを落とし、湯船に浸かって暖を取る。地味に寒い。
ふぅ、と一息吐くと庭から『あー!』とシャルの声が聞こえてきた。どうやら原因を発見したようだ。
「シャルー、どうだったー?」
「奥歯に物が挟まってるー!」
マジで奥歯に物が挟まってただけだった。
湯船の中でずっこけそうになったが辛うじて堪え、ササっと体を乾かし現場に向かう。するとそこでは、シャルが奥歯に挟まった物を取ろうと必死に引っ張る姿があった。ドラ助もドラ助で頭を上下左右に動かしているので非常にシュールな絵面である。
つまようじでも使えばどうだ、とアドバイスしてみたが、ドラ助の歯が無駄に鋭いせいでぶっとい木でもスパッと切れてしまい役に立たないようだ。それじゃあと挟まった物を歯にこすり付けて断ち切ろうとするが、それも上手くいかない。
ここまでくるとむしろ挟まった謎の物体の方が気になってくるが、ブヨブヨとした見かけではただの肉の塊にしか見えず、正体は全くの不明である。知識魔法に尋ねても、どうせ「死体」としか返ってこないから無駄だろう。
このままドラ助がみょうちくりんな動きをし続けるのもうっとおしいので、こんなしょうもない事に使うのは非常に癪であるが、創造魔法ですんげえ丈夫な棒を作り、そいつをつまようじ代わりに使うことで無事奥歯に挟まった物は取れたのであった。
「よかったね、ドラ助ー!」
「ギュオオオオオ!」
シャルがにこにこと、まるでドラ助が一大事を乗り切ったことを褒めるように撫でているが、単に歯に詰まった物が取れただけですよ奥さん。
しょうもない、本当にしょうもない出来事に振り回された俺はその日中ずっと脱力感に見舞われたのであった。
怪我があるとか元気が無いとかではないのだが、妙に頭をぶるぶると振ったり、グルグルとその場で回ってみたりと挙動不審さが当社比三倍くらいになっている。極めつけに、あの食い意地が張っていやしんぼでプライドを森のどっかに落としているドラ助が昼飯を残したのだ。
「ドラ助どうしたの?!」
ソースを舐めずに残した事に対して、シャルはここ数年で一番の驚きの声を上げた。ドラ助の体を真剣な顔でペタペタと触って心配しているが、ソースを舐めなかっただけでこの扱いなのでナチュラルに残念な子扱いしている。まあ残念でもないし当然の扱いだが。
それからも挙動不審な動きは続き、きゅるきゅると鳴き声を上げるもののなんだか奥歯に物が挟まったような鳴き声で引っかかりを覚えてしまう。物悲し気な瞳でこちらを見つめ、俺に助けを求めているようにも思える。流石に心配になってきたので『どうしたドラ助』と声を掛けて近寄った。
――――ブエェェェックシュ!!
思いっきりクシャミをひっかけられた。
全身グチャドロの鼻水まみれである。
とりあえず俺はヤツの頬を一発叩いてから風呂に直行して汚れを落とし、湯船に浸かって暖を取る。地味に寒い。
ふぅ、と一息吐くと庭から『あー!』とシャルの声が聞こえてきた。どうやら原因を発見したようだ。
「シャルー、どうだったー?」
「奥歯に物が挟まってるー!」
マジで奥歯に物が挟まってただけだった。
湯船の中でずっこけそうになったが辛うじて堪え、ササっと体を乾かし現場に向かう。するとそこでは、シャルが奥歯に挟まった物を取ろうと必死に引っ張る姿があった。ドラ助もドラ助で頭を上下左右に動かしているので非常にシュールな絵面である。
つまようじでも使えばどうだ、とアドバイスしてみたが、ドラ助の歯が無駄に鋭いせいでぶっとい木でもスパッと切れてしまい役に立たないようだ。それじゃあと挟まった物を歯にこすり付けて断ち切ろうとするが、それも上手くいかない。
ここまでくるとむしろ挟まった謎の物体の方が気になってくるが、ブヨブヨとした見かけではただの肉の塊にしか見えず、正体は全くの不明である。知識魔法に尋ねても、どうせ「死体」としか返ってこないから無駄だろう。
このままドラ助がみょうちくりんな動きをし続けるのもうっとおしいので、こんなしょうもない事に使うのは非常に癪であるが、創造魔法ですんげえ丈夫な棒を作り、そいつをつまようじ代わりに使うことで無事奥歯に挟まった物は取れたのであった。
「よかったね、ドラ助ー!」
「ギュオオオオオ!」
シャルがにこにこと、まるでドラ助が一大事を乗り切ったことを褒めるように撫でているが、単に歯に詰まった物が取れただけですよ奥さん。
しょうもない、本当にしょうもない出来事に振り回された俺はその日中ずっと脱力感に見舞われたのであった。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
2813
-
-
314
-
-
140
-
-
549
-
-
3087
-
-
1978
-
-
125
-
-
15254
-
-
35
コメント