幼女と遊ぼうとしたら異世界に飛ばされた件について
7話目 新しい朝が来た
翌朝、俺は慣れないベッドにて目を覚ます。元々この家は俺一人で住むことを前提としているため、当然寝室も相応に狭い。シャルはまだ小さいので別に一緒に寝てもスペース的には問題ないが倫理的にやや問題がある。
短い期間ならばそれでも問題は無いだろうが、このままシャルを元の村へと送っても再度攫われる可能性が高いため、ある程度力が付くまでここで保護する方がいいだろう。
その結果俺がどういうことをしたかと言うと手っ取り早く部屋を増設した。元の寝室の隣に新しく部屋を作り、家具もちょちょいと作り出したので何ら問題なく生活することが出来る。
夜中に部屋を増設する、なんてことをすればうるさすぎてシャルを起こしてしまうのではないかと思われるかもしれないが、その辺は無問題。偉大なる創造魔法先生が一晩でやってくれました。音もなく闇から『ズズッ』とにじみ出る感じで部屋が新しく出来上がりました。
自分でやっておいてなんだけど、これってちょっとどころじゃなくホラーな映像だよね。日本にいた頃にこんな光景を見たら悲鳴上げる自信あるわ。
ともかく本日から新しい部屋にて新しい生活が始まるわけでございます。あっ、元々の部屋はそのままシャルの部屋にする予定です。
本日の朝食はパンである。そのままパンを作るのではなく、イースト菌やら小麦粉やらをでっち上げてわざわざ焼いて作るという無駄なこだわり。
よく異世界に転移した主人公が材料や製法がわからずに苦労しておりますが、知識魔法と創造魔法のコンボのおかげでそういった苦労とは無縁です。流石に醤油や味噌を自作するのは面倒だからやっていない。いや、でも暇つぶしとしてやってみるのも……。
といった具合に考え事をしながら朝食の準備をしていると『ガチャリ』と扉の開く音が聞こえる。
「お、おはようございます!」
「おう、おはよう」
「あの! 何かお手伝いできることはありますでしょうか!」
大分疲れていた様子なのでもっと眠っていてもよかったのに、と思ったが手伝いの申し出をされてしまう。
「特に無いしもうすぐ出来るから座って待ってて」
「は……はい、わかりました……」
目に見えてしょんぼりされてしまわれた。なんでやねん。
「あー……、じゃあお皿にスープを盛るのを手伝って」
「はい! わかりました!」
「凄いですリョウ様! このパン凄いです! フワフワです! 美味しいです!」
「ハッハッハ! そうだろうそうだろう!」
焼きあがったパンを食べるとシャルは劇的な反応を示した。奴隷ということでまともな食事を貰えなかったというのもあるだろうが、そもそもこの世界の食文化というものは非常に低レベルだ。
味付けは塩のみなんて当たり前、香辛料を使えば高級品で砂糖は貴族様専用という有様である。パンは固くて不味いし野菜はしなしなとまるで良い所が無い。
魔の森からなんとか脱出して街にたどり着き、初めて口にした料理がパンだったのも俺の印象を強める原因である。死ぬほど腹が減っていたが『固い! 不味い!』と叫びながら地面に投げ捨ててしまいそうになった。それから千年も経ったというのに一向に改善される様子も無く、パンはやはり固いまま、野菜はやはりしなしなのままである。この世界、エルフとドワーフと獣人がいて魔法がある以外ほんとにひどい世界だな……。
過去を思い出して涙が出そうになるが、一生懸命『はく、はく』とパンを食べているシャルを見て非常に心が癒される。余程気に入ったのかスープそっちのけでパンを食べている。
「あっ……」
しかしそんな至福の時間もいつかは終わりを告げる。シャルはパンを食べ終わってしまった。そんな悲しげな顔されたらこっちまで悲しくなるじゃないの。しょうがないにゃあ……。
「ほれ」
微笑みながらスッ、と俺の分のパンを差し出す。ふっ、俺ってばイケメンだぜ。
「で、でも……」
「俺はいつも食べてるし、その分スープ飲むからいいよ」
「……ありがとうございます」
シャルは恩人に迷惑をかけてしまって申し訳ないのとパンが食べられて嬉しいのが混じったなんとも微妙な顔を浮かべてる。パンを半分程食べたところでスープも飲むという選択肢が思い浮かんだのかそちらにも手をつける。
「んん! スープも凄く美味しいです! 凄いです!」
「ハッハッハ! そうだろうそうだろう!」
新鮮な野菜に綺麗な水を使い、鳥の骨からだしを取って塩コショウも使ったスープであり、この世界の基準で言えば高級料理すら及ばない味である。
そしてシャルはスープもいたく気に入ったらしく、数度おかわりをして限界になるまで食べるのであった。
短い期間ならばそれでも問題は無いだろうが、このままシャルを元の村へと送っても再度攫われる可能性が高いため、ある程度力が付くまでここで保護する方がいいだろう。
その結果俺がどういうことをしたかと言うと手っ取り早く部屋を増設した。元の寝室の隣に新しく部屋を作り、家具もちょちょいと作り出したので何ら問題なく生活することが出来る。
夜中に部屋を増設する、なんてことをすればうるさすぎてシャルを起こしてしまうのではないかと思われるかもしれないが、その辺は無問題。偉大なる創造魔法先生が一晩でやってくれました。音もなく闇から『ズズッ』とにじみ出る感じで部屋が新しく出来上がりました。
自分でやっておいてなんだけど、これってちょっとどころじゃなくホラーな映像だよね。日本にいた頃にこんな光景を見たら悲鳴上げる自信あるわ。
ともかく本日から新しい部屋にて新しい生活が始まるわけでございます。あっ、元々の部屋はそのままシャルの部屋にする予定です。
本日の朝食はパンである。そのままパンを作るのではなく、イースト菌やら小麦粉やらをでっち上げてわざわざ焼いて作るという無駄なこだわり。
よく異世界に転移した主人公が材料や製法がわからずに苦労しておりますが、知識魔法と創造魔法のコンボのおかげでそういった苦労とは無縁です。流石に醤油や味噌を自作するのは面倒だからやっていない。いや、でも暇つぶしとしてやってみるのも……。
といった具合に考え事をしながら朝食の準備をしていると『ガチャリ』と扉の開く音が聞こえる。
「お、おはようございます!」
「おう、おはよう」
「あの! 何かお手伝いできることはありますでしょうか!」
大分疲れていた様子なのでもっと眠っていてもよかったのに、と思ったが手伝いの申し出をされてしまう。
「特に無いしもうすぐ出来るから座って待ってて」
「は……はい、わかりました……」
目に見えてしょんぼりされてしまわれた。なんでやねん。
「あー……、じゃあお皿にスープを盛るのを手伝って」
「はい! わかりました!」
「凄いですリョウ様! このパン凄いです! フワフワです! 美味しいです!」
「ハッハッハ! そうだろうそうだろう!」
焼きあがったパンを食べるとシャルは劇的な反応を示した。奴隷ということでまともな食事を貰えなかったというのもあるだろうが、そもそもこの世界の食文化というものは非常に低レベルだ。
味付けは塩のみなんて当たり前、香辛料を使えば高級品で砂糖は貴族様専用という有様である。パンは固くて不味いし野菜はしなしなとまるで良い所が無い。
魔の森からなんとか脱出して街にたどり着き、初めて口にした料理がパンだったのも俺の印象を強める原因である。死ぬほど腹が減っていたが『固い! 不味い!』と叫びながら地面に投げ捨ててしまいそうになった。それから千年も経ったというのに一向に改善される様子も無く、パンはやはり固いまま、野菜はやはりしなしなのままである。この世界、エルフとドワーフと獣人がいて魔法がある以外ほんとにひどい世界だな……。
過去を思い出して涙が出そうになるが、一生懸命『はく、はく』とパンを食べているシャルを見て非常に心が癒される。余程気に入ったのかスープそっちのけでパンを食べている。
「あっ……」
しかしそんな至福の時間もいつかは終わりを告げる。シャルはパンを食べ終わってしまった。そんな悲しげな顔されたらこっちまで悲しくなるじゃないの。しょうがないにゃあ……。
「ほれ」
微笑みながらスッ、と俺の分のパンを差し出す。ふっ、俺ってばイケメンだぜ。
「で、でも……」
「俺はいつも食べてるし、その分スープ飲むからいいよ」
「……ありがとうございます」
シャルは恩人に迷惑をかけてしまって申し訳ないのとパンが食べられて嬉しいのが混じったなんとも微妙な顔を浮かべてる。パンを半分程食べたところでスープも飲むという選択肢が思い浮かんだのかそちらにも手をつける。
「んん! スープも凄く美味しいです! 凄いです!」
「ハッハッハ! そうだろうそうだろう!」
新鮮な野菜に綺麗な水を使い、鳥の骨からだしを取って塩コショウも使ったスープであり、この世界の基準で言えば高級料理すら及ばない味である。
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