は、魔王?そんなのうちのブラコン妹の方が100倍危ないんだが
16話 冒険者登録しにきた筈なのだが⋯⋯
「えぇ!? Dランクの冒険者二人と冒険者ですらない駆け出し二人で、あのスレイムの群れを倒してきたんですか!?」
四人の眼前で、受付のお姉さんがオーバー過ぎるほどに大きな声を上げ、ただでさえ目立っていた四人にさらなる視線が向けられた。
「聞いた話によると、ですけど⋯⋯。あの、それで俺達冒険者になりたくて来たんですけど、冒険者カードを作ってもらえませんか?」
ハクヤは、様々な視線に冷や汗をかきつつも、あくまで冷静に答える。
ハクヤたちはあの後、十数分程で街に着くと、クレアが気絶しているからという理由で、二人と一度別れ夜を明かした。
そして今日、ギルドまでユリアとレイラに連れて来てもらって来ていたのだ。
道中で聞いた話によるとハクヤたちが倒したスレイムの群れはここ周辺で一番大きく、手当たり次第に人を襲ったり、作物を食い荒らしてたりしてた為、一年程前から、最重要討伐依頼が出ていたらしい。
「ねぇねぇ分かってるんですか! 先に冒険者カードさえ作っていれば貴方方二人にも多額の報酬と経験値が出たというのに⋯⋯」
ハクヤの態度が癇に障ったのか、お姉さんが盛大にため息をついてくる。
「はい⋯⋯無知識で本当にすみませんでした」
(冒険者になるために来たはずなんだけどな⋯⋯)
ハクヤは内心で嘆息すると、自嘲する様に笑った。
なんでもハクヤ達が倒したあの群はなんと言ってもその膨大な数から今まで討伐が叶わず、街の人々を悩ませて居たらしい。
今朝なんか宿屋の前に人だかりが出来ていて、一瞬何か街中を突っ走った時に、何か重要なものでも壊してしまったのではないかと疑ってしまった程だ。
「別に私が損する訳では無いんで良いんですよ。でも貴方達の功績なのにそれ相応の報酬が支払われない事に不満があるんです!」
熱く語りかけてくるお姉さんの迫力にハクヤは笑顔をひきつらせる。
「お兄ちゃんまーだぁー?」
そこで後方に座ってるであろうクレアから、声がかかる。
クレアは後ろで退屈そうに足を揺らし、二人はふらふらと何処かへ行ってしまったのだ。
クレアは今朝から、詳しく言うとユリアとレイラと合流した辺りから何故か不機嫌な様でずっとツンケンしてるわけである。
軽く溜息をつきつつ、ハクヤは前を向き直る。
今現在ハクヤが一人で怒られているわけなのだ。
ユリアとレイラは倒した分のスレイムの報酬をきちんと得る事が出来るから問題ないとして、クレアも討伐数0で報酬無し⋯⋯らしいのだが⋯⋯ハクヤは冒険者登録してなかった為、報酬を得る事が出来ないのだ。
ハクヤは不本意にもペコペコと頭を下げる。
「はぁ、全く⋯⋯。まだあのメンバーで、しかも貴方のような平凡、いやどちらかといえば向いてなさそうな貴方があのスライムの群れを倒したなんて信じられません」
とても失礼極りない発言なのだが、実際そうなので言い返すことも出来ない。
「まぁ、これからに期待させてもらいますね。だって冒険者でも無いのにあんな大きな群れを倒したんですから魔王でも倒してもらわないと」
そう言ってニコッと微笑んでくるお姉さん、だが何故か意味深な笑みに背筋がゾッとするのを感じてしまう。
「は、はい、頑張ってみます⋯⋯」
「はい! もうお話は終わりましたよぉ。 これからクレアさんとハクヤの冒険者カードを作りますねぇ」
そう声を張り上げるお姉さん、すると何処からかユリア達も戻ってきた。
「どうして俺だけ呼び捨てなんですかね?」
笑顔を引きつらせて聞く。
「ではクレアさん五本の指をこのインクを付けてください。 そしたらこのカードに五本指全てを押し当ててくださいね」
「て、おいっ、無視ですか!」
「こう、ですか?」
そう言ってクレアは言われた通りにする。
「⋯⋯クレアまで⋯⋯⋯⋯」
「ハクヤさん、そんなに落ち込まないでください。 それだけ打ち解けられたという事ですよ」
「そ、そうそう落ち込まない落ち込まない! ハクヤは強いんだから大丈夫大丈夫。 魔王だって余裕だよ!」
そう言って、レイラが肩に手を乗せてくる。
何が大丈夫なのだか分からないのだが、それでも心配してくれる事が素直に嬉しい。
「ありがとな。ユリアとレイラに会えて本当に良かったよ」
「そんな⋯⋯私もハクヤ君に会えて嬉しいですよ」
「そうそう! 私もハクヤに会えて嬉しいし!」
ハクヤはそんな女神のような二人に冷や汗を大量に流しつつ笑顔で返す。
その原因は、背後にいるクレアからのドス黒いオーラと視線である。
寿命が一秒ごとに縮む感覚を覚えながら、後で何かクレアの喜ぶことでもしてやろうと決意するハクヤ。
すると同時に、ギルドのお姉さんが慌てて中から一枚の冒険者カードを持ってきた。
その表情はさながら街中でドラゴンを見たかのように驚愕に目が見開かれ、蒼白としていた。
(このパターンはさすがに俺でも読めるぞ⋯⋯)
四人の眼前で、受付のお姉さんがオーバー過ぎるほどに大きな声を上げ、ただでさえ目立っていた四人にさらなる視線が向けられた。
「聞いた話によると、ですけど⋯⋯。あの、それで俺達冒険者になりたくて来たんですけど、冒険者カードを作ってもらえませんか?」
ハクヤは、様々な視線に冷や汗をかきつつも、あくまで冷静に答える。
ハクヤたちはあの後、十数分程で街に着くと、クレアが気絶しているからという理由で、二人と一度別れ夜を明かした。
そして今日、ギルドまでユリアとレイラに連れて来てもらって来ていたのだ。
道中で聞いた話によるとハクヤたちが倒したスレイムの群れはここ周辺で一番大きく、手当たり次第に人を襲ったり、作物を食い荒らしてたりしてた為、一年程前から、最重要討伐依頼が出ていたらしい。
「ねぇねぇ分かってるんですか! 先に冒険者カードさえ作っていれば貴方方二人にも多額の報酬と経験値が出たというのに⋯⋯」
ハクヤの態度が癇に障ったのか、お姉さんが盛大にため息をついてくる。
「はい⋯⋯無知識で本当にすみませんでした」
(冒険者になるために来たはずなんだけどな⋯⋯)
ハクヤは内心で嘆息すると、自嘲する様に笑った。
なんでもハクヤ達が倒したあの群はなんと言ってもその膨大な数から今まで討伐が叶わず、街の人々を悩ませて居たらしい。
今朝なんか宿屋の前に人だかりが出来ていて、一瞬何か街中を突っ走った時に、何か重要なものでも壊してしまったのではないかと疑ってしまった程だ。
「別に私が損する訳では無いんで良いんですよ。でも貴方達の功績なのにそれ相応の報酬が支払われない事に不満があるんです!」
熱く語りかけてくるお姉さんの迫力にハクヤは笑顔をひきつらせる。
「お兄ちゃんまーだぁー?」
そこで後方に座ってるであろうクレアから、声がかかる。
クレアは後ろで退屈そうに足を揺らし、二人はふらふらと何処かへ行ってしまったのだ。
クレアは今朝から、詳しく言うとユリアとレイラと合流した辺りから何故か不機嫌な様でずっとツンケンしてるわけである。
軽く溜息をつきつつ、ハクヤは前を向き直る。
今現在ハクヤが一人で怒られているわけなのだ。
ユリアとレイラは倒した分のスレイムの報酬をきちんと得る事が出来るから問題ないとして、クレアも討伐数0で報酬無し⋯⋯らしいのだが⋯⋯ハクヤは冒険者登録してなかった為、報酬を得る事が出来ないのだ。
ハクヤは不本意にもペコペコと頭を下げる。
「はぁ、全く⋯⋯。まだあのメンバーで、しかも貴方のような平凡、いやどちらかといえば向いてなさそうな貴方があのスライムの群れを倒したなんて信じられません」
とても失礼極りない発言なのだが、実際そうなので言い返すことも出来ない。
「まぁ、これからに期待させてもらいますね。だって冒険者でも無いのにあんな大きな群れを倒したんですから魔王でも倒してもらわないと」
そう言ってニコッと微笑んでくるお姉さん、だが何故か意味深な笑みに背筋がゾッとするのを感じてしまう。
「は、はい、頑張ってみます⋯⋯」
「はい! もうお話は終わりましたよぉ。 これからクレアさんとハクヤの冒険者カードを作りますねぇ」
そう声を張り上げるお姉さん、すると何処からかユリア達も戻ってきた。
「どうして俺だけ呼び捨てなんですかね?」
笑顔を引きつらせて聞く。
「ではクレアさん五本の指をこのインクを付けてください。 そしたらこのカードに五本指全てを押し当ててくださいね」
「て、おいっ、無視ですか!」
「こう、ですか?」
そう言ってクレアは言われた通りにする。
「⋯⋯クレアまで⋯⋯⋯⋯」
「ハクヤさん、そんなに落ち込まないでください。 それだけ打ち解けられたという事ですよ」
「そ、そうそう落ち込まない落ち込まない! ハクヤは強いんだから大丈夫大丈夫。 魔王だって余裕だよ!」
そう言って、レイラが肩に手を乗せてくる。
何が大丈夫なのだか分からないのだが、それでも心配してくれる事が素直に嬉しい。
「ありがとな。ユリアとレイラに会えて本当に良かったよ」
「そんな⋯⋯私もハクヤ君に会えて嬉しいですよ」
「そうそう! 私もハクヤに会えて嬉しいし!」
ハクヤはそんな女神のような二人に冷や汗を大量に流しつつ笑顔で返す。
その原因は、背後にいるクレアからのドス黒いオーラと視線である。
寿命が一秒ごとに縮む感覚を覚えながら、後で何かクレアの喜ぶことでもしてやろうと決意するハクヤ。
すると同時に、ギルドのお姉さんが慌てて中から一枚の冒険者カードを持ってきた。
その表情はさながら街中でドラゴンを見たかのように驚愕に目が見開かれ、蒼白としていた。
(このパターンはさすがに俺でも読めるぞ⋯⋯)
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