は、魔王?そんなのうちのブラコン妹の方が100倍危ないんだが
11話 限界の先、そして突然の助太刀
クレアの頭を撫で、決意を固めたハクヤが武器を構える、同時に数匹のスレイムが飛びかかってきた。
ハクヤは一番早い1匹に慣れない短刀を斬りつける、初めて振ったそれは素人同然だろう、だがスライムの中心を上手く捉えたそれは綺麗に両断した。
驚きつつ、続いて2匹目3匹目をなんとか左右にそらし、4、5匹目は短剣を合わせ串刺しにした。
そこからはただひたすらに剣を振り続けた。
仲間の死をなんとも思っていないのか、死に怯えはないのだろうか、スライム達は絶えずハクヤに向かって飛び続けていた。
気づいた時には初めに飛んできた十数匹のスレイムを全て倒していた。
倒し方は切ったり刺したり足で蹴り飛ばしたりと様々だ。
スライムの第一陣を退けたのだろうか、攻撃をやめたスライム軍団との睨み合いが続く。
白夜は睨んでいたが不意に足腰の力が抜けるようにして片膝を地面についてしまった。
どこからどう見ても、満身創痍といった様子で息を荒げている。
ハクヤはこんなんじゃダメだとどうにか力を入れるが、慣れない剣と守って戦う事の疲労は相当なようで全く立ち上がれない。
「お兄ちゃん⋯⋯もういい⋯⋯もういいから! ごめんね私の自分勝手な願いのせいでお兄ちゃんをこんな目に⋯⋯ごめん⋯⋯本当にごめん⋯⋯お兄ちゃんは死んじゃダメだよ⋯⋯お兄ちゃんがいない世界なんて私は生きてる意味なんてないよ!」
クレアが白夜をかばう様にして前に立つ。
がくがくと震えている膝に、嗚咽が聞こえるたびに揺れる肩、ハクヤはそんな小さな背を虚ろな目で見つめ、徐々に目を見開いた。
「おい、クレア!  何してんだよ! ふざけんな!」
立ち上がりクレアを止めようとするが、どうしても体が言うことを聞いてくれない。
ハクヤが弱っている事に気付いてか、嘲笑うかのように距離を詰めてくるスライム。
「お兄ちゃん私⋯⋯楽しかったよ。お兄ちゃんの妹で良かった⋯⋯お兄ちゃんの事本っ当に大好き、結婚したいぐらいに⋯⋯」
「なんだよそれ!」
幸せそうに語るクレアに、怒りと哀しみがぐちゃ混ぜになった様な感覚が混ざり合い、妙な胸騒ぎにハクヤは叫ぶ。
「お兄ちゃんにこんなに心配されるなんて私幸せ者だね、でも無理そう⋯⋯ 今まで本っ当ありがとう」
クレアは目に涙を浮かべながらも、ひきつっていてそれでもって最高の笑顔を見せてきた。
ドクンッ!
心臓が強く鼓動するのが分かる。
「おいっ、クレア⋯⋯俺はそんなは認めねぇ、何勝手に別れの言葉なんて言ってんだよ! 俺はまだ一度もお前を守ってやれてねぇじゃねぇか⋯⋯最後ぐらい俺にお兄ちゃんさせろ!」
重い手を伸ばし、妹の手を握ると思いっきり引っ張り抱きしめた。
「お兄ちゃん⋯⋯何やってるの⋯⋯!? このままじゃ二人とも⋯⋯」
クレアが消え入りそうな声で聞いてくる、がハクヤは更にギュッと力を込め逃すまいと。
二人は目を瞑り、抱き合い、最後のひと時を過ごす、いくつもの後悔が押し寄せ、それに負けないくらいの妹と過ごした危なくも楽しい日々を思い出す。
スライム達の血を蹴る音が聞こえた。
(あぁ⋯⋯俺達ここで死ぬのか⋯⋯ やっぱり死ぬのは怖いのか⋯⋯いやなぜか怖くない⋯⋯ )
脳裏にクレアの可愛らしく無邪気な笑顔が浮かび、更に今までのクレアと過ごしてきた日々が物凄い勢いで流れていく。
(クレア⋯⋯もっとお前と過ごしたかった、遊びたかった⋯⋯こんな所で死なせてしまっていいのか⋯⋯? いやいいわけがない⋯⋯諦めるのか⋯⋯? 仕方ないだろ⋯⋯本当か⋯⋯? もう本当に限界なのか? 死をこのまま受け入れるのか⋯⋯⋯⋯?)
「んな訳ねぇだろぅがぁぁあ!! 死んでたまるか、殺させてたまるかぁぁぁぁあ!!!!!!」
ハクヤは目を開き、そう叫んだ。
その声に驚いたのだろう、飛びかかっていたスライムがどうしてか急展開し後方に戻る。
突然の事にクレアが目を見開き見上げてくる。
そうだこんな可愛い妹を死なせていい筈がないのだ。
「クレア⋯⋯死にたいか⋯⋯?」
「⋯⋯何を⋯⋯いきなり⋯⋯」
ハクヤは黙ってクレアを見つめる、泣き腫らした目は痛々しいがそれでもなお美しく可愛らしい。
「嫌だよ、死ぬのなんて⋯⋯もっとお兄ちゃんと生きていたいよ⋯⋯!」
「だよな、俺も同じだ、お前ともっと一緒に居たいよ」
ニコッと微笑んで立ち上がる、クレアもまたコクコクと首を振ると立ち上がった。
だがこちらは満身創痍の二人に対しあちらは先程より増えただろうか200程居てもおかしくない。
「良くぞ、立ち上がってくれました!」
「仕方ないなぁぁ、助太刀してあげるよ!」
突然後ろから何者かの声がした。
二人は同時、聞こえた後方に顔を向けようとしてその姿が目に映る。
「光剣白雷刀装填!」
「水槌水月装填!」
その言葉と同時突如現れた二人の手元が眩く輝いた。
そして片方は一振りの刀が、もう片方が大きな槌が現れる。
「剣技一刀一線!」
「砕けろ水乱撃!」
瞬間目の前まで迫っていたスレイム達を一気に吹き飛ばした。
「す、すげぇ⋯⋯」
「す、すごいね⋯⋯」
そして二人は軽いステップで二人の元まで舞い戻ってくる。
「大丈夫でしたか⋯⋯?」
一人がしゃがみこみ不安げに聞いてくる、声音から言って女性の様だ。
どこか落ち着きがあり優しげなその声を聞き、糸が切れたかの様にクレアが意識を無くした。
ハクヤは一番早い1匹に慣れない短刀を斬りつける、初めて振ったそれは素人同然だろう、だがスライムの中心を上手く捉えたそれは綺麗に両断した。
驚きつつ、続いて2匹目3匹目をなんとか左右にそらし、4、5匹目は短剣を合わせ串刺しにした。
そこからはただひたすらに剣を振り続けた。
仲間の死をなんとも思っていないのか、死に怯えはないのだろうか、スライム達は絶えずハクヤに向かって飛び続けていた。
気づいた時には初めに飛んできた十数匹のスレイムを全て倒していた。
倒し方は切ったり刺したり足で蹴り飛ばしたりと様々だ。
スライムの第一陣を退けたのだろうか、攻撃をやめたスライム軍団との睨み合いが続く。
白夜は睨んでいたが不意に足腰の力が抜けるようにして片膝を地面についてしまった。
どこからどう見ても、満身創痍といった様子で息を荒げている。
ハクヤはこんなんじゃダメだとどうにか力を入れるが、慣れない剣と守って戦う事の疲労は相当なようで全く立ち上がれない。
「お兄ちゃん⋯⋯もういい⋯⋯もういいから! ごめんね私の自分勝手な願いのせいでお兄ちゃんをこんな目に⋯⋯ごめん⋯⋯本当にごめん⋯⋯お兄ちゃんは死んじゃダメだよ⋯⋯お兄ちゃんがいない世界なんて私は生きてる意味なんてないよ!」
クレアが白夜をかばう様にして前に立つ。
がくがくと震えている膝に、嗚咽が聞こえるたびに揺れる肩、ハクヤはそんな小さな背を虚ろな目で見つめ、徐々に目を見開いた。
「おい、クレア!  何してんだよ! ふざけんな!」
立ち上がりクレアを止めようとするが、どうしても体が言うことを聞いてくれない。
ハクヤが弱っている事に気付いてか、嘲笑うかのように距離を詰めてくるスライム。
「お兄ちゃん私⋯⋯楽しかったよ。お兄ちゃんの妹で良かった⋯⋯お兄ちゃんの事本っ当に大好き、結婚したいぐらいに⋯⋯」
「なんだよそれ!」
幸せそうに語るクレアに、怒りと哀しみがぐちゃ混ぜになった様な感覚が混ざり合い、妙な胸騒ぎにハクヤは叫ぶ。
「お兄ちゃんにこんなに心配されるなんて私幸せ者だね、でも無理そう⋯⋯ 今まで本っ当ありがとう」
クレアは目に涙を浮かべながらも、ひきつっていてそれでもって最高の笑顔を見せてきた。
ドクンッ!
心臓が強く鼓動するのが分かる。
「おいっ、クレア⋯⋯俺はそんなは認めねぇ、何勝手に別れの言葉なんて言ってんだよ! 俺はまだ一度もお前を守ってやれてねぇじゃねぇか⋯⋯最後ぐらい俺にお兄ちゃんさせろ!」
重い手を伸ばし、妹の手を握ると思いっきり引っ張り抱きしめた。
「お兄ちゃん⋯⋯何やってるの⋯⋯!? このままじゃ二人とも⋯⋯」
クレアが消え入りそうな声で聞いてくる、がハクヤは更にギュッと力を込め逃すまいと。
二人は目を瞑り、抱き合い、最後のひと時を過ごす、いくつもの後悔が押し寄せ、それに負けないくらいの妹と過ごした危なくも楽しい日々を思い出す。
スライム達の血を蹴る音が聞こえた。
(あぁ⋯⋯俺達ここで死ぬのか⋯⋯ やっぱり死ぬのは怖いのか⋯⋯いやなぜか怖くない⋯⋯ )
脳裏にクレアの可愛らしく無邪気な笑顔が浮かび、更に今までのクレアと過ごしてきた日々が物凄い勢いで流れていく。
(クレア⋯⋯もっとお前と過ごしたかった、遊びたかった⋯⋯こんな所で死なせてしまっていいのか⋯⋯? いやいいわけがない⋯⋯諦めるのか⋯⋯? 仕方ないだろ⋯⋯本当か⋯⋯? もう本当に限界なのか? 死をこのまま受け入れるのか⋯⋯⋯⋯?)
「んな訳ねぇだろぅがぁぁあ!! 死んでたまるか、殺させてたまるかぁぁぁぁあ!!!!!!」
ハクヤは目を開き、そう叫んだ。
その声に驚いたのだろう、飛びかかっていたスライムがどうしてか急展開し後方に戻る。
突然の事にクレアが目を見開き見上げてくる。
そうだこんな可愛い妹を死なせていい筈がないのだ。
「クレア⋯⋯死にたいか⋯⋯?」
「⋯⋯何を⋯⋯いきなり⋯⋯」
ハクヤは黙ってクレアを見つめる、泣き腫らした目は痛々しいがそれでもなお美しく可愛らしい。
「嫌だよ、死ぬのなんて⋯⋯もっとお兄ちゃんと生きていたいよ⋯⋯!」
「だよな、俺も同じだ、お前ともっと一緒に居たいよ」
ニコッと微笑んで立ち上がる、クレアもまたコクコクと首を振ると立ち上がった。
だがこちらは満身創痍の二人に対しあちらは先程より増えただろうか200程居てもおかしくない。
「良くぞ、立ち上がってくれました!」
「仕方ないなぁぁ、助太刀してあげるよ!」
突然後ろから何者かの声がした。
二人は同時、聞こえた後方に顔を向けようとしてその姿が目に映る。
「光剣白雷刀装填!」
「水槌水月装填!」
その言葉と同時突如現れた二人の手元が眩く輝いた。
そして片方は一振りの刀が、もう片方が大きな槌が現れる。
「剣技一刀一線!」
「砕けろ水乱撃!」
瞬間目の前まで迫っていたスレイム達を一気に吹き飛ばした。
「す、すげぇ⋯⋯」
「す、すごいね⋯⋯」
そして二人は軽いステップで二人の元まで舞い戻ってくる。
「大丈夫でしたか⋯⋯?」
一人がしゃがみこみ不安げに聞いてくる、声音から言って女性の様だ。
どこか落ち着きがあり優しげなその声を聞き、糸が切れたかの様にクレアが意識を無くした。
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コメント
ワインクラフー
すげぇぇぇぇぇーかっこいい。面白かった!