転生したら解体師のスキルを貰ったので魔王を解体したら英雄になってしまった!

山神 旬字

第19話 最高のご馳走! 後編


トントントントン

ジュ〜ジュ〜ジュ〜

ふつふつふつ

バキィィ!


ん?凄い音がしたぞ?大丈夫か?

厨房から料理を作る音が聞こえてくる。

俺たちは椅子に座ってミアと料理ができるのを待っていた。

なぜか横に王様が座っている。

王様も料理を食べてみたいらしい。
いくら王様といえど、お金ではこの高級かつレア度が高すぎる素材は手に入らないらしい。

王様がいることを言ったら、ろくに料理を作れなさそうだから、秘密にしておいた。

特に意味はないが、3人分用意するように、と言っておいた。


30分後…。


「できたぞ!最強の料理が!その名は…ロイヤルドラグーンミートの煮込みスープだ!」

「おぉ!」

3人が同時に声をあげた。

「ん?3人いるぞ?まさか…。」

コックがこっちのことを睨んできた。

「おお!君が世界一の料理を作ってくれるコックかね?」

「そ、そうです!光栄です!王様にわたくしめの料理を食べていただけるなんて…。」

「まぁまぁ。そう硬くなるなよ。わしも気になっておったんだよ。
町中で噂になっていたからなぁ。
伝説の食材で料理を作るなんて!」

「は、はぁ。まぁ私の料理がお口に合うかどうか…。」

「お腹空いているんだぞ?早く食べたいなぁ…。」

「は、はい!今すぐ持ってまいります!」



「王様、人を操るのうまいですね。さすがです。」

「いやいや。伊達に王様やってるだけのことはあるぞ〜!」



机には今にもとろけそうなロイヤルドラグーンミートの肉がゴロゴロ入った皿が置かれている。
まずは香り。

「クンクン…。ぬおっ?!この香りは…!」

まさかとは思っていたが、伝説の調味料、ショーユーは自分たちの世界の調味料、醤油と全く同じだったのだ!
なんでこの世界にあるのだろう…。

そんなことは置いといて、スープをスプーンですくって口の中に入れる。

あっさりとした醤油ベース、いや、ショーユーベースのスープに肉から溢れ出している肉汁が食欲をそそる。
肉の風味が口いっぱいに広がる。
このスープは最高にうまい。
また、神鳥ハーブのおかげか、少しスパイシーにも感じる。
しかしそれをしっかりとショーユーベースのスープが調和させているのだ。

そして俺は、禁断の肉に手を出した。

「パクっ!ぬおぁぁぁ??!!?!?!」

口の中に入れた瞬間とろけるとはまさにこのことだろう。
上質な肉の味わいが口の中を幸福で満たす。
また、最強のスープがしっかり程よく吸い込まれているので、噛めば噛むほど味が広がる。

鼻の奥を優しく包み込む肉の旨みとハーブの香り。
それをさらに包み込むショーユースープ。

こんなにうまい料理があったのだろうか。

「コックよ。この素材も良いかもしれないが、この料理には愛が詰まっておる!
素晴らしい。
普通の料理を作ってもさぞかしうまいことだろう。
ぜひ、城のキッチンの料理長にならないか?」

「そ、そんなこと…。この私で、良いのでしょうか…?」

「もちろんだ!」

「わ、私でよろしければ!」

「ははは!そう固まるな!よろしく頼むぞ!料理長!」

「あ、ありがとうございます!」

いやぁー!良かったですね!料理長!」

「や、やめてくれ〜。その呼ばれ方、恥ずかしいよ!」

「ははは!!!」

キッチンでは、楽しそうな笑いが、絶え間なく続いていた。

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