転生したら解体師のスキルを貰ったので魔王を解体したら英雄になってしまった!

山神 旬字

第17話 神鳥ハーブ、ゲットなるか? 後編

勝負は、一進一退。

防ぎ、カウンター、攻撃し、防がれ、カウンターを受ける、といった状態が続いていた。

そこでまたもや敵は隙を見せた。

一瞬よろけたのだ。

その隙を狙って敵の頭をもう一度狙う。
頭から口にかけて大きな傷がついた。
血のような液体が顔を滴っている。

そのまま斬りおろし、身体にも深い傷を刻む。

俺は返り血を浴びた。
奴の目は狂気そのものだった。

簡易的に着ていた服や薄い皮装備が少し溶けていくのがわかる。

血にも毒の成分があるのか。


『グゥォァァァァァァァ〜〜!!!!』


また吠えた。

ものすごい咆哮だ。

空気がピリピリ震え、翼を動かす風圧で飛ばされかけた。

その咆哮によって、俺にも隙ができる。


ザシュゥッ!!!!


何かが斬られた。俺は自分の体を見る。

すると大きな傷口があった。

「キャァァ!」

俺の状態を見て、ミアの声が聞こえてくる。

無茶苦茶なダメージだ。

「ゲフォッ!」

俺は血も吐いた。

「お前、なかなかやるじゃねぇか。でもさ、こっちだって勝たないといけない理由があるんだよね。」

敵の攻撃を痛みに耐えながらスピアで防ぐ。

「困っている人。まだここを攻略できていない人の思い。そして…。」

ザッシュッッッ…!!

「ミアのことを愛する気持ちだ。」


スピアを刺した。
今までに無い手応え。

敵は倒れ、息を止めた。

ーーーーーーーーー

あれからどのくらいだったのだろうか。ミア曰く、1時間ぐらい倒れていたらしい。

ミアの介抱のおかげだ。

「私のことを、そんなに思ってくれていたんですね。ありがとうございます。」

ミアが涙ぐみながら言った。

「これがしゅんさんへのこの1時間半にも及ぶ戦闘の報酬ですよ。」

目の前にあったのは宝箱。ダンジョン制覇の者だけに与えられる最高の報酬。

俺は今、満身創痍の状態だ。

力が身体に入らないので、宝箱を開けることができない。

「本当に、今まで色々あった。ミア、君に出会えてすごく幸せだ。
しかも、解体なんていうチートすぎるスキルを与えてくれた神に感謝だな。
まさか。
バレろって言うだけでものをバラせるなんて…。
ん…?
ぬおっ?!?!」

まずい。宝箱に向かってバレろって言ってしまった。
宝箱はダンジョンによって出やすいアイテムと出にくいアイテムが分けられている。

つまりはだ。
解体スキルはレアドロップ含め全てのアイテムが落ちる仕様になっている。

このダンジョンの報酬の宝箱なんだ。
そりゃ全アイテムドロップぐらいのレア度はあるだろう?ね?


ドドドドドドドドドドドド!!!!


宝箱がポリゴンのような金色の光となって消えたと思った次の瞬間、ものすごい音を立てて、大量のアイテムが散乱した。

もちろん、神鳥ハーブや伝説の調味料ショーユーもあった。

その他レアドロップアイテムがたくさん…。

これでまた生活に困らなくなってしまった。

俺は、家に2人で帰った後、すぐにベッドに向かって一直進し、ひたすら寝た。


目が覚めたのは、2日後だった。

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