竜神の加護を持つ少年
75.ガルラード帝国の行方
「それにしても驚きですね!」
「こんなにたくさんのエルフの方々と御会いするのは、私初めてですわ」
「耳がとがってるにゃ! いんちょせんせとおなじにゃ!」
「エルフは弓と魔法が得意と聞きます」
「魔法、もっと覚えたいだに!」
えっ?
こっちのエルフもやっぱり魔法得意なの?
俺も教えて欲しいんだけど。
その日の晩は野営場所でエルフ、ドワーフ達と一緒の食事となった。エルフって肉とか食さないって本当かな? と思って聞いたら、普通に食べますよ。だってさ!
「ヴァンの怒りをかったんだってな! あれを怒らせる何て余程だな!」
おぃおぃ、ヘメラさん、その辺にしとこうよ。めっちゃ場の空気悪くなるからさ。
「そこの竜人、様もヴァン様をご存知で?」
「知ってるぞ、陰気くさいじいさんだな!」
「いえ、私共は姿までは……」
しっかしこの物語、神様出しすぎだろ! 収集つかなくなるぞ!
なんか場の雰囲気が、めちゃめちゃ暗いんですが……ヘメラ、何とかして!
「そんなもの、知らないんだぞ!」
つかえねぇ!
「それで何で王都のフレイさんに会いに?」
孤児院の院長さんになんの用があるんだか、一応聞いておかないとね。連れて行って迷惑かけちゃったら嫌でしょ?
「現在アルフヘイムには7人の統括理事がおりまして、彼女はそのお一人なのです」
それで理事のフレイさんに、事態の収拾を頼みたいという事らしい。
俺には理事のフレイさんでも……事態の収拾は厳しいんじゃないかと思うんだが。
それとも大魔法で帝国を灰燼に化す!
とか……まさかね!
ドワーフって大酒飲みっていうのがお約束だが、ここには酒は無いんで紅茶で我慢しているようだ。
「所で、古竜様はもしや竜神様なのでしょうか? そちらのお嬢様も?」
「御主は知らなくてもよい!」
「そーなんだぞ! 偉いんだぞ!」
ヘメラ……台無しじゃねぇかよ!
女性陣は初のエルフの魔法という事で、喜んで教えてもらっている。そもそもこの中で、風の魔法を使っているのはアルテッザだけだったんで、他の子も覚えたい様だ。属性でいえば――タマちゃんとアルテッザだけしか風は無いが、属性がステータスに無くてもまったく使えない訳では無い。ただ威力がかなり下がるだけだ。
タマちゃんが見本を見せてもらって、にゃにゃ! とかいいながら真似している姿がかわいい!
アルテッザもカマイタチ以外では、竜巻も起せるが、危険なので普段は使ってない。
そうこうしている内に皆、空気弾なる魔法を取得していった。どんなのか?
エアーの威力の玉?
殺傷能力は低いが、魔力の高いものが打てば人でも軽く3mは飛ばせる程の威力はありそうだ。エルフが使う魔法ではレベルの低い魔法だそうで、簡単に教えてくれたが、まさかうちの皆が覚えるとは想像もしてなかった様で教えた方が目を白黒させていた。
「それで話の続きなんですが、ガルラード帝国はいったいどんな協力を求めてきたんですか?」
「はい、主には干ばつの対策として水源地から水を引っ張る工事、森林を伐採しすぎた事で起こる土砂崩れ対策ですね。今のガルラード帝国は半分近く砂漠化していますから」
そこまでガルラード帝国の現状が最悪だとは思いもしなかった。砂漠化、日本の技術では砂漠化していた場所に水田を復活させたりしているけど、それでもそれが出来る国は世界中探しても日本だけだった。さすがにガルラード帝国だけの力では無理だろう。
しかも森林伐採ってうちの母さんが聞いたら泣くぞ!
母さん、森林公園大好きだったから。
「エルフの魔法なら、それをなんとか出来るんですか?」
「森林を植林するのには時間がかかります。それこそ何十年、何百年単位で。ですが問題は森林を伐採したことで水が地下深くに潜り込み新たに植林しても水がなければ育たない点にあります。水を水源から引いてくるとは言っても――ガルラード帝国の水源は伐採の影響で大本から枯れてしまっているのです。今更それを元に戻すのは不可能かと思われます。違う場所から水源を確保すれば今度は別の場所の砂漠化を招き兼ねず、正直エルフの力でも厳しい」
え?
それって普通、手詰まりって言うんじゃ?
クロ、何かいい手はないのかな?
「知らぬ! テテュスにでも頼むのだな!」
「あぁ、あいつならなんでもできそうなんだぞ!」
誰?
それ?
「水の神なんだぞ! でも兄様の方が偉いんだぞ!」
水の神ってポントス様じゃ?
「違うぞ! ポントスは海の原初神だ! テテュスは地下水や水の神だ」
そんなに色々な神がいるのかよ!
この世界は。
「こーたの世界もむかしは……むいぐむぐ」
ヘメラが何か言おうとしたが、クロに口を押さえ付けられたようだ。
なんだ? この兄妹は。
でもそれじゃ、神に頼まなければ打つ手なしって事か?
詰んだな。
「で? 誘拐となんの関係があるんだろう?」
「誘拐されたものを使って、なんとか植林と水源の流れを変えようと考えたのでしょう」
じゃ、このまま放って置くと、確実にガルラード帝国が滅ぶ?
それまずいんじゃ?
そうなる前にガルラード帝国が武力で他国を侵略にかかるんじゃないか?
俺が異世界にくる前の某西の国も、首都が砂漠化して移転は必須とか言われていてしかも
急速に軍備増強して海洋国家目指していたし。海の外には100年以上出てなかった国がだよ?
自国が追い詰められたらトップは何をしでかすか分らないからね。
自国の民を助ける為に他国の民を苦しめる。なんか世界として考えたら、本末転倒だね。
俺の魔法でもなんとかならないのかな?
俺のステータス未だに見られないからな……。
後で水魔法とか土魔法とか考えて試してみよう。
「こんなにたくさんのエルフの方々と御会いするのは、私初めてですわ」
「耳がとがってるにゃ! いんちょせんせとおなじにゃ!」
「エルフは弓と魔法が得意と聞きます」
「魔法、もっと覚えたいだに!」
えっ?
こっちのエルフもやっぱり魔法得意なの?
俺も教えて欲しいんだけど。
その日の晩は野営場所でエルフ、ドワーフ達と一緒の食事となった。エルフって肉とか食さないって本当かな? と思って聞いたら、普通に食べますよ。だってさ!
「ヴァンの怒りをかったんだってな! あれを怒らせる何て余程だな!」
おぃおぃ、ヘメラさん、その辺にしとこうよ。めっちゃ場の空気悪くなるからさ。
「そこの竜人、様もヴァン様をご存知で?」
「知ってるぞ、陰気くさいじいさんだな!」
「いえ、私共は姿までは……」
しっかしこの物語、神様出しすぎだろ! 収集つかなくなるぞ!
なんか場の雰囲気が、めちゃめちゃ暗いんですが……ヘメラ、何とかして!
「そんなもの、知らないんだぞ!」
つかえねぇ!
「それで何で王都のフレイさんに会いに?」
孤児院の院長さんになんの用があるんだか、一応聞いておかないとね。連れて行って迷惑かけちゃったら嫌でしょ?
「現在アルフヘイムには7人の統括理事がおりまして、彼女はそのお一人なのです」
それで理事のフレイさんに、事態の収拾を頼みたいという事らしい。
俺には理事のフレイさんでも……事態の収拾は厳しいんじゃないかと思うんだが。
それとも大魔法で帝国を灰燼に化す!
とか……まさかね!
ドワーフって大酒飲みっていうのがお約束だが、ここには酒は無いんで紅茶で我慢しているようだ。
「所で、古竜様はもしや竜神様なのでしょうか? そちらのお嬢様も?」
「御主は知らなくてもよい!」
「そーなんだぞ! 偉いんだぞ!」
ヘメラ……台無しじゃねぇかよ!
女性陣は初のエルフの魔法という事で、喜んで教えてもらっている。そもそもこの中で、風の魔法を使っているのはアルテッザだけだったんで、他の子も覚えたい様だ。属性でいえば――タマちゃんとアルテッザだけしか風は無いが、属性がステータスに無くてもまったく使えない訳では無い。ただ威力がかなり下がるだけだ。
タマちゃんが見本を見せてもらって、にゃにゃ! とかいいながら真似している姿がかわいい!
アルテッザもカマイタチ以外では、竜巻も起せるが、危険なので普段は使ってない。
そうこうしている内に皆、空気弾なる魔法を取得していった。どんなのか?
エアーの威力の玉?
殺傷能力は低いが、魔力の高いものが打てば人でも軽く3mは飛ばせる程の威力はありそうだ。エルフが使う魔法ではレベルの低い魔法だそうで、簡単に教えてくれたが、まさかうちの皆が覚えるとは想像もしてなかった様で教えた方が目を白黒させていた。
「それで話の続きなんですが、ガルラード帝国はいったいどんな協力を求めてきたんですか?」
「はい、主には干ばつの対策として水源地から水を引っ張る工事、森林を伐採しすぎた事で起こる土砂崩れ対策ですね。今のガルラード帝国は半分近く砂漠化していますから」
そこまでガルラード帝国の現状が最悪だとは思いもしなかった。砂漠化、日本の技術では砂漠化していた場所に水田を復活させたりしているけど、それでもそれが出来る国は世界中探しても日本だけだった。さすがにガルラード帝国だけの力では無理だろう。
しかも森林伐採ってうちの母さんが聞いたら泣くぞ!
母さん、森林公園大好きだったから。
「エルフの魔法なら、それをなんとか出来るんですか?」
「森林を植林するのには時間がかかります。それこそ何十年、何百年単位で。ですが問題は森林を伐採したことで水が地下深くに潜り込み新たに植林しても水がなければ育たない点にあります。水を水源から引いてくるとは言っても――ガルラード帝国の水源は伐採の影響で大本から枯れてしまっているのです。今更それを元に戻すのは不可能かと思われます。違う場所から水源を確保すれば今度は別の場所の砂漠化を招き兼ねず、正直エルフの力でも厳しい」
え?
それって普通、手詰まりって言うんじゃ?
クロ、何かいい手はないのかな?
「知らぬ! テテュスにでも頼むのだな!」
「あぁ、あいつならなんでもできそうなんだぞ!」
誰?
それ?
「水の神なんだぞ! でも兄様の方が偉いんだぞ!」
水の神ってポントス様じゃ?
「違うぞ! ポントスは海の原初神だ! テテュスは地下水や水の神だ」
そんなに色々な神がいるのかよ!
この世界は。
「こーたの世界もむかしは……むいぐむぐ」
ヘメラが何か言おうとしたが、クロに口を押さえ付けられたようだ。
なんだ? この兄妹は。
でもそれじゃ、神に頼まなければ打つ手なしって事か?
詰んだな。
「で? 誘拐となんの関係があるんだろう?」
「誘拐されたものを使って、なんとか植林と水源の流れを変えようと考えたのでしょう」
じゃ、このまま放って置くと、確実にガルラード帝国が滅ぶ?
それまずいんじゃ?
そうなる前にガルラード帝国が武力で他国を侵略にかかるんじゃないか?
俺が異世界にくる前の某西の国も、首都が砂漠化して移転は必須とか言われていてしかも
急速に軍備増強して海洋国家目指していたし。海の外には100年以上出てなかった国がだよ?
自国が追い詰められたらトップは何をしでかすか分らないからね。
自国の民を助ける為に他国の民を苦しめる。なんか世界として考えたら、本末転倒だね。
俺の魔法でもなんとかならないのかな?
俺のステータス未だに見られないからな……。
後で水魔法とか土魔法とか考えて試してみよう。
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