チートで勇者な魔神様!〜世界殺しの魔神ライフ〜

solbird

黒雷神話バウル

激しい爆発音と甲高い金属のぶつかる音がする。だが、それはあまりにも想像を絶する程のスピードによって黒板を爪で引っ掻くような音になっていた。

「貴様、村から逃げてからたったの2ヶ月でどうやってここまで強くなった!?村に居た頃はゴミ程度しか無かったというのに!」
「お前らのとこの人間が旅のお小遣いとして経験値をくれたからな!それがあってかなり楽させて貰ってるよ!じゃねぇと旅の途中で魔物に…いや、どの道アカツキいたから大丈夫だったか」

ゴロゴロと雷鳴轟く曇天の元で行われていた激しい戦闘音の中心にいたのは、災厄の魔神ツカサと雷神トール。
その力は拮抗し、戦闘は意外にも長引いていた。

「そういえば、トールと北欧神話の神の名前だな?それならお前らのボスの名前はオーディンか?さっきもオーズがいたし…」
「貴様、何故オーディンの名を……まさか!?」
「俺は元地球人だ」
「やはりか…なぜ我らに刃を向ける!地球人ならば元は我らの信者だったはずだ!それとも…」
「あー…いや、別にお前ら信仰してた訳じゃねぇしな…それに神同士のいざこざとかも関係ない。普通に俺の日常が脅かされそうだから抵抗してるだけだ」

ツカサはアカツキ達と幸せな日常を過ごせればそれでいいと思っていた。
だがそれは許されない事のようで、次から次へと変な事が起こって巻き込まれる。
非常に面倒だが、そういう物だと受け入れられるだけの器量の良さがツカサにはあった。

「だんだん話が見えてきたな…要するに、多分お前らこの世界に転移して来たんだろ?」
「!?」
「ま、誰かに呼ばれたのか次元がうんたらかんたらで突然転移したのかは良く分からんが…ま、オーディンに聞けばいいだろ」
「貴様…それを探るのは敵であるワシからも警告しておく…それは知り過ぎてはならない。禁忌だぞ…」
「何を今更…俺は禁忌を犯しまくってるよ」

ホムンクルスの作成にパンドラの箱の解放、世界殺しに魔神への変異…とツカサは禁忌を重ねまくっている。
今更また禁忌を犯したところで別にどうという事は無い。

「んじゃ、遊びは終わりだ。《侵食》」
「……!?貴様…ッ!!なぜその黒雷を手にしている!!それは我々が抹消した筈だぞ!貴様に到底扱えるものでは…」
「扱えるんだよなぁ…」

突如、ツカサの肉体へのハンニバルの侵食度が上がり、黒雷が体内から解放される。
ハンニバルの体内から放たれる赤黒い雷は『黒雷神話バウルの聖骸』を取り込んでから完全なる黒へと変わり、莫大な魔力をツカサは手に入れていた。
その魔力量…実に100兆以上。

「んじゃ、トール…さっき殺した神達によろしく言っといてくれ」
「貴様ああああああ!!!!」


                           「《轟》」







〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
side:【FREE】

「クッ…ここまで…ですか……」
「クソがっ…」
「あらあら。大したこと無いですね」

一方、こちらの戦況は最悪だった。
戦の神テュールや、豊穣の神フレイヤ率いるヴァルキュリアと下級神達は凄まじい力を発揮し、魔王軍が優勢であった戦況を大きく覆していた。

「これは…想像以上だな…」
「チート…こんなの」

人間の軍や勇者達に圧倒的な力を見せつけたナイツ・オブ・クロノスも今はボロボロ。
ヴァルキュリアが彼らの完全なる上位互換であったのである…もはや、絶体絶命だ。



「ツカサ様…」
「ツカサ…」



………だが、神は…否。
魔神は、彼女達を見捨ててはいなかった。

「何だ?この魔力は…」

遥か後方…トールが陣を引く神の軍勢が居たはずの方角には、禍々しくも神々しい何とも言えない魔力の波動が放たれ、空気を揺らしていた。

「…………っっっ!!!?」
「この魔力…まさか!!」

その魔力には、覚えがあった。
神界を震撼させたとある魔獣"黒雷のバウル,,
空気を…世界を揺らしていたのは間違いなくその魔獣の放つ神殺しの黒雷であった。

「退避ィィィィ!!!!」
「やばいぞ!全員死ぬ!!」
「ひぃぃぃぃぃ!!!!」

そうと分かればもう余裕など見せては居られない。何故なら奴は神界で平和ボケしていた神達の元に突然現れ、十数体という神を短時間で殺し尽くした恐怖の対象であるからだ。
その雷は神すらも容易に焼き尽くし、神聖なる魔力に伝導して魂を破壊するのである。
神達はその圧倒的かつ独特な魔力の波動に背を向けて逃げ出すが────

もう遅い。

「「「「「ぐあああああああああああああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああ!!!!!!?!?!!?!?」」」」」
「「「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁ!!!!」」」

視界の奥に1本の黒い柱…ツカサの放った《轟》が立った。
そして押し寄せる黒雷の波。
黒雷は神の肉体を打ち、神聖なる魔力を伝達して容易に魂を砕いた。

黒雷は神聖なる魔力を持つ者にしか影響しない。故に人間軍や魔王軍、魔神やナイツ・オブ・クロノス等には影響の欠片も無く、先程まで自らを苦戦…または勝利へと導いていた存在があっさり消滅する様を見た者達は呆然としていた。
だが、立ち直りが早かったのは魔王軍。
すぐさま正気に戻り、呆けた表情の人間軍を蹂躙していった。

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