チートで勇者な魔神様!〜世界殺しの魔神ライフ〜

solbird

膝枕

「魔王城だって…?なんでそんなとこにいるんだ俺達は……」

しかも室内を見回してみたところ、そこそこ豪華な部屋だ。不法侵入な訳があるまいし、血の匂いもしない。

「ああ、それはな…」

怪訝そうな表情のツカサにハンニバルはあの後の出来事を語っていく……



〜1日と数時間前〜〜

「ぐっ…はぁっ……はぁっ………やっと動けた」

ツカサの肉体と魂がグングニルの代償で汚染されていたため、助けるのには無理やりにでも侵食度を上げる必要があった。
魔力はもうカラカラだが何とか助かったようであり、ハンニバルは川から這いずり出る。
黒い機体は土や泥で汚れ、水に濡れた装甲が月明かりを反射する。

「流石に…これ以上動きたかねぇな…だが、コイツを何処か安全な場所まで連れてってやんねぇと…」

ハンニバルは結晶であるが、生命体でもある。当然疲労の概念もあり、ハンニバルは消耗していた。

ハンニバルはツカサが入っている自らの機体を見下ろす。
グングニルの代償で消耗しきっているツカサを早く安定させるには休ませる必要がある。
そこで、ハンニバルはいい事を思いつく。

「…そういやコイツは吸血神だったな……しかも侵食で人化のスキルもある…試す価値はあるか」

ハンニバルは自らが侵食している存在が疲れを知らない吸血神である事を思い出した。
可能性は低いが、人化すればそっくりそのままとは言わないまでも少しは特性を引き継げる事に賭けたのだ。

「《人化》」

ハンニバルの機体が淡い光に包まれ、一つの光の塊は分裂して二つとなった。
一つはツカサ。もう一つは…

「ふむ、成功みたいだな。さっきまでの疲れが一気に取れた!」

ツカサとよく似た白金色の髪に赤い瞳を持ったハンニバル。
お互い美形である事も相まって姉弟のようだ。

「さて、世話が焼けるな…ツカサは担いで行くか」

ハンニバルがツカサを肩に担ぐ。
美人で全裸の女がそっくりな見た目の男を肩に担ぐというシュールな光景。
そんな異様な空間に珍客が現れた。

「あ、あなた何で全裸なのよ!」
「誰だおめぇ」

その珍客は赤黒い髪の女。
頭から角を生やし、立派な仕立ての服を着ていた。
そう、彼女こそ…

「私?私は魔王!第15代目魔王のラトよ!」

この魔界を治める王、魔王その人であった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ま、その後何やかんやあってここに来たわけだ」
「その"何やかんや,,が聞きたいわけだが!?」
「細かい事は気にすんなよ〜ハゲるぞ!」
「余計なお世話だ!」
「失礼します〜…」
「…ん?」

声が聞こえた方を見ると、開いた扉の間からピョコンと顔を出すメイドの姿。
額に角が生えており、魔族か何かだとすぐ分かった。

「あ、起きられたのですね!魔王様に連絡して参りますので少々お待ちください!」
「あっ」

この城に来た経緯を聞こうとおもっていたのだが、メイドさんはトテトテと部屋を出て行ってしまった。

「行っちゃった…」
「詳しい事は魔王に聞けばいいだろ?」

それもそうだ。
ツカサはまた頭の上の大きなお山さんを眺める。

(うん、絶景)

この2文字に尽きる。
ツカサは揉みたい衝動を堪えながらハンニバルの膝枕から起き上がる。

「何だかんだで膝枕されたのアカツキ以外は初めてだな」
「そりゃよかったな」

ツカサはハンニバルと共に笑い合う。
ツカサはこの時知らなかった。
魔王にとって…否、魔族にとって魔神とはどういう存在なのかを。
ツカサは気楽に構えていたのだ。
ツカサが寝ていた部屋がどういった意味合いを持つ部屋かも知らずに。
そんなツカサにこの後あんな事が起こるなんて想像すらできなかったのだ。

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