チートで勇者な魔神様!〜世界殺しの魔神ライフ〜

solbird

侵食

(ここは…どこだ?)

精神世界だろうか。
闇の中でフワフワと浮かんでいる感覚。
今いるのは恐らくハンニバルの内部だろう。

「おい、やっと呼んでくれたなぁ?」
「ん?」

後方から威勢のいい女性の声が聞こえ、振り返るとそこには赤い結晶のようなものが浮かんでいた。
ツカサはそれを睨みつける。

「…お前はハンニバルか」
「カカッ!別に取って食うわけじゃねぇんだ。そう警戒なさんな!」

ひとまずは友好的なようなので少し警戒を解いた。ハンニバルはツカサの目の前でフヨフヨと浮いており、こんなものがパンドラに封印される程のものなのかと疑問に思う。
魔力も一切感じないのだ。仕方ない事ではある。

「あ!お前、今ちょっと失礼な事考えただろ!俺はこう見えて結構凄いんだからな!…ま、侵食に失敗したからこんな格好でご対面になってるわけだが……」
「失敗?」
「ああ、お前の肉体への侵食は表面だけ。
2割までしか侵食出来なかったんだ。てか神々の伝説にある吸血神の肉体とかどんな人生送ったらそんなになるんだ?魂も変な8体の竜が守ってるしよ…」

8…?ツカサは疑問に感じる。

「8体…7体じゃなくてか?」
「ああ、8体だったぞ。一体だけマジで規格外だったけどな」

どうやら心当たりの無い竜がツカサの魂に住み着いているようである。
だが、重要なのは今ヴェルスターがどうなっているかだ。

「ハンニバル、今戦闘はどうなってる?」
「あ?そうだな…見せた方が早いか。視界を繋げる…ぞっ!」

目の前の結晶が少し光り、バチン!と何かが切り替わる音がした。
そしてツカサが目を開くと、そこにはバケモノの姿になったヴェルスターが映っていた。

「今ちょっとやべえんだよ…何とか渡り合ってるけどちょっとキツい。お前の肉体が便利だから何とかなってるが…このままだとヤバいな」

ヴェルスターの動きは変身前と明らかに違う。ステータスも100倍程になっていた。
目の前ではヴェルスターに傷を追わせるハンニバルの腕が映っているが、少し押されている。確かにこのままでは負けるだろう。

「このままだとアイツに負けちまう。だからよ、取引といかねぇか?」
「…言ってみろ」
「肉体の侵食度を上げたい。俺を受け入れろ」

ハンニバルはとんでもない事を言い出した。
(肉体の侵食度を上げる…?それは大丈夫なのか?)

「それで俺にメリットは?」
「強くなれる。後、勘違いしてるみたいだから弁明しておくが、肉体の侵食度は都度変更できる。今までの肉体のままで動きたければ侵食度が1%なら胸に赤い結晶が埋め込まれてるだけだし、ステータスを底上げしたけりゃ侵食度を上げればいい。肉体の侵食度を上げても精神まで侵食出来るわけじゃない。なら別にデメリットは無いだろ?」
「なるほどな…」

嘘はついていないようだ。
ツカサは少し考え、頷く。

「なら、今は信用しよう…だがもし裏切れば…」
「分かってるよ!んじゃ、受け入れろよ!」

ツカサの全身にドクンと何かが侵入する。
これが侵食。全身に異物感が這い廻り、肉体が別のものに染まっていく。
そして異物感が落ち着き、全身の侵食が終わった。

「よっしゃぁぁ!!ギア上げていくぜぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」

ハンニバルの機体から尋常では無い量の赤黒い雷が放出され、肉体に収まりきらない魔力が全身から溢れ出した。

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