チートで勇者な魔神様!〜世界殺しの魔神ライフ〜

solbird

お持ち帰り

その後…ツカサはエレナをお持ち帰りしてしまった。宿に連れて帰るつもりは無い。
何故なら、我が家のキツネ様が怖いしフェンが可哀想だからである。
かなりの間一緒に戦い、片想いしてきた人がぽっと出の知らない女を宿に持ち帰って来たら確実にフェンは枕を濡らす。
仲間を泣かせる事はしたくない。

「あの屋台の食べ物美味しそう…」
「買ってやろうか?」
「やった!」

というわけで今は城下町の道沿いにある屋台を回っている。自分の分とエレナの分の串焼肉を買って1本渡してやる。

「熱いから気を付けろよ」
「うん」

エレナがふーふーと串焼肉に息を吹きかけ、冷まして食べる。
すると目を輝かせ、満面の笑みを浮かべる。

「美味しい!」
「そりゃよかったよ」

ツカサも串焼肉にかぶりつく。
甘辛いタレがいい具合に肉の味を引き立てており、非常においしい。
何故屋台の串焼肉は美味いのだろうか。

「そういえば…」
「ん?」
「ツカサってイケメン?だったんだね!マント取った時びっくりしちゃった」
「ははは…ありがとう」

ツカサは今冒険者活動用のお兄さん系イケメンの姿になっている。
自分でもかなりの力作なので照れてしまう。

(ゲームのアバターとかってのはセンスの表れだからなぁ…キャラクリ厨の俺としては最高に嬉しいな!)

ゲームというのはゲームそのものも楽しいが、キャラクターの外見を決めてる時が一番楽しかったりするのだ。

「美味しい…」
「………」

幸せそうにモグモグと口を動かしている姿を見ていると、この少女がこの国の狂気の原因の一つだということを忘れてしまいそうになる。
ツカサはそんな必死に串焼肉を食べるエレナを見て思考を巡らせる。

(コイツは…信用してもいいのか?)

そこが疑問であった。
演技をしている可能性もまだ捨てきれないのだ。子供っぽく見えるが、何処と無く理性的な面も垣間見える。
エレナはそんな雰囲気だった。

(揺さぶりをかけてみるか…)

ツカサは「高い所で風に当たろう」とエレナに提案し、人気のない城壁の端の方へと移動する。
月明かりが地面の石畳を照らし、風が2人の髪をたなびかせる。
ツカサが振り返ると、彼女もツカサの雰囲気の変化を感じ取っていたのか真面目な表情になっている。
ツカサは空の月を見上げて息を吐き出す。

「なあ、エレナ」
「何?」

ツカサは少し間を空けて、また言葉を紡いだ。

「俺はな…平穏で暖かく、賑やかな生活を送りたいと思ってる。"幸せの国,,」
「もしかしたら本当にいい所で、幸せになれるかもしれないだろう?その為に俺はここに来たんだ」
「…うん」

ツカサはエレナが頷くのを確認し、続ける。

「だが、この国に来て最初に感じたのは…狂気だ」
「………」
「無理矢理捻じ曲げられた汚い笑顔の溢れる国。何処か狂気を感じずにはいられなかったよ」

ツカサは少し口が悪いかとも思ったが、ツカサはそんな素振りを一切見せずに淡々と言葉を紡ぐ。

「お前達は…いや、お前は…何故国民の娘を攫い、何故その親に笑顔で自分の娘が攫われた話をさせるんだ?」
「………え?」
「武器防具を大量に密輸入しているのも知ってる。恐らく戦争の準備でもしてるんだろうが…「ちょっと待って!」…?」

話の途中からエレナの目が見開かれていき、遂にはツカサの言葉を遮った。
エレナ本人は自らの口元に手を当て、独り言を呟いて考え込む。

「まさかあの人達はこの国の人…?でもヴェルちゃんはホムンクルスだって…いや、でも…」
「おい、大丈夫か?」

額から汗が溢れ、顔が青ざめていくエレナにツカサは駆け寄る。

「だとしたら…私とんでもない事を…」
「おい!しっかりしろ!」

ツカサはフラリと倒れそうになるエレナの肩を抱き、エレナを支える。

「ごめんなさい…ごめんなさい……」
「一旦連れて帰るか……」

ツカサは震える彼女をお姫様抱っこして城壁を飛び降り、彼女たちの待つ宿へ向かった。
その間も腕の中の小さな温もりは謝罪の言葉を呟き、震えていた。

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コメント

  • 真砂土

    あーツカサ女の子泣かしたー
    っていうシーンが欲しいw

    1
  • solbird

    やばい
    もうそろそろコメントが何処にあるのか分からなくなってきた

    1
  • ノベルバユーザー227460

    よくやった(誘拐)

    4
  • solbird

    今日のワンコさん

    ツカサが幼女に手を出すかは私の匙加減だァ!(未だに決めてない)

    3
  • 今日のワンコ

    あーあ
    遂に犯罪に走ったか

    2
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