チートで勇者な魔神様!〜世界殺しの魔神ライフ〜

solbird

理想郷の魔神

「お前…何者だ」
「私が先に質問してたのに…」

少女は…エレナは眠たげな眼をコシコシ擦りながら答えた。

「私はエレナ、理想郷の魔神だよ。貴方は?」
「……ツカサ、災厄の魔神だよ」

ツカサは少し悩んだが、本当の事を言うことにした。相手が自分を魔神だと名乗っている時点で嘘を言う必要はない。

「エレナ、もしかしてお前がこの街の洗脳の張本人か?」

ツカサは気になった事を問いただした。
その理由は、エレナが持っているユニークスキルにある。

《エレナの理想郷》
スキルレベル×100mの範囲で自分よりレベルの低い存在に対して自らの望んだ感情を植え付ける。

このスキルが街の人々の笑顔の原因だと踏んだのだ。そしてそれは事実だったようで、あまり表情の動かない顔のエレナが少しジト目になって答える。

「洗脳とは心外…私はただ、『ヴェルちゃん』にお願いされて皆が笑顔でいられる国を作っただけ。洗脳なんてしてない」
「ヴェルちゃん…?」

聞き覚えのない名前。
エレナの仲間か、ボスだろうか。

(高位の吸血鬼、魔神、ヴェル…ヴェル?)

ツカサはエレナが呼んだ名前に引っ掛かりを覚える。だが、いくら考えても思い出せない。ツカサは早々に思い出す事を諦め、エレナに向き直る。

「んで、俺の事をヴェルとやらに報告するのか?それならば少女の姿をしていたとしても容赦はしないぞ」
「ううん、報告なんてしないよ。ヴェルちゃん最近機嫌悪いから」
「そうか…」

パッと見た限りでは嘘をついていないようで、何処か悲しそうな表情を浮かべるエレナにツカサは疑問を投げ掛けた。

「エレナ、なんでお前はヴェルってやつについて行ってるんだ?」
「…えーっと……」

エレナは顎に手を当て、考え込む。
そして5秒ほど考え、笑顔で答えた。

「仲間だから」
「…そうか」

ツカサは振り返って歩き出すとエレナは不思議そうな表情を浮かべる。

「もう行くの?」
「ああ、またな」
「うん、また」

ツカサは小さく手を振るエレナに背を向け、心の中で謝罪する。

(すまんな、俺はお前の仲間を殺す事になるだろう…その時は存分に恨めよ)

ツカサは銀色の仮面の奥で少しの憐れみと固い意思をその眼に宿し、トイレから城の外へ脱出した。

「チートで勇者な魔神様!〜世界殺しの魔神ライフ〜」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

  • solbird

    台無し

    4
コメントを書く