チートで勇者な魔神様!〜世界殺しの魔神ライフ〜

solbird

決着

「危ねー」

ツカサはひょいとレシィの一撃を避け、レシィの聖剣を上に弾き上げる。すると背後から違う気配。

「おらあああああ!!!!」

斜め上からの飛び蹴り。
うるさい。

「叫んだら不意打ちの意味ねえだろ」
「ぐはっ!?」

ツカサは真斗のガラ空きになっている鳩尾にストレートを放ち、吹き飛ばす。

「さて、残りは…」
「《聖剣》!」
「何!?」

(イケメン君の魔力は尽きたはずだ!聖剣なんざ放てないはずだろ!)

ツカサは声のした方へ盾を構えるが、それは罠だったようで…

「はあ!」

背後から勇者君の攻撃。
ツカサは姿勢の関係上『仕方なく』ナルラトホテプで防ぎ…何も起こらなかった。

「なっ!?」
「これで良かったか?いい線行ってたぞ」

ツカサは勇儀の顔面に蹴りを入れ、勇儀の体が地面を転がる。
すると《スモーク》の魔法が解け、勇儀が周囲を見回すと全員倒されていた。

「どう…して…」
「答え合わせといこうか?」

ツカサは勇儀の元へ歩み寄り、しゃがんで語りかけた。

「お前らは俺が剣士と格闘家に挟撃された時、《ナルラトホテプ》を左手に持ち替えたのが引っかかったんだろ?そしてこの武器が斬撃に弱い事に気付いた。だから俺がこの武器で防がないといけない状況を作ろうとしたわけだ。合ってるか?」
「何故…斬れなかったんですか…?」

正解のようだ。
ツカサは勇儀を見下ろし、答えを教えてやる。

「確かに、この武器は斬撃に弱い。だが、この武器の特性は"無,,という現象を発生させるというもの。運動エネルギーをゼロにする事など容易い…最初に魔法の雨が掻き消えたのを不審がるべきだったな」
「なんで…僕の居場所が……」

ツカサは少し考え…

「悪いな企業秘密だ。だが、ヒントはくれてやる…俺は気配に敏感なんだよ。お前の声真似が聞こえた時にはお前の本当の居場所は分かってたよ」

忘れているかもしれないが、俺はトゥループラチナ。真祖の吸血鬼だ。
人間の匂いには敏感であり、犬のそれを遥かに上回る。
あながち嘘ではない。

「悪いな、俺に煙幕は通じないんだ」
「はは…」

?何がおかしいのか。
…まさか!

「俺は勇儀じゃないんでね。姿形は勿論、気配や匂いまで擬態できるんだ…一泡吹かせてやってくれ!勇儀!」

隠密職の勇者!
勇儀は…後ろ!!

「《聖剣》!」

ツカサが気付いた頃には勇儀の《聖剣》が放たれており、もう既にツカサの目の前まで来ている。

(避けられない!)

聖剣はツカサの体へ…

「なんてな」

当たる事は無かった。
聖剣はツカサの持つ《ハスター》に阻まれ、その光り輝く刀身は消え去った。

「すまないな。負けそうになる演技はしても、一撃入れられるつもりは最初から無いんだよ」
「くっ…そぉ…」

そもそもツカサは人間の匂いに敏感なだけではなく、鑑定も持っている。
ツカサを騙す事などできないのだ。

「本当にいい線行ってたぞ。訓練続けりゃお前らなら魔王くらいは倒せるだろうな」
「サカツキさん…」

この場で立っているのは勇儀のみ。
その勇儀すら魔力切れでフラフラだ。
勝敗は目に見えている。

「もう休め、今日の訓練は終わりだ。仕事終わったから帰るぞー」
「待っ…くぅっ……」

そして勇儀も地面へ倒れた。
勇者達は後にこう語る。あの人が僕らの高くなっていた鼻を折ってくれたお陰でこうしてここに居られる。もう二度と戦いたくはないけれど…と。


〜tips〜
《スモーク》
視界封じの為に用いられる初歩の魔法。
それ故に必要魔力が少ないので熟練の魔法使いもよく使う。

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