チートで勇者な魔神様!〜世界殺しの魔神ライフ〜

solbird

予言は真実から嘘へと

side:レシィ

私は陛下が呼んだ白金ランク冒険者が謁見室から出て行くのを見送り、陛下のいる方へと振り返る。

「それで、何故あの者を呼んだのですか?陛下」
「何故…とは?」

陛下はとぼけているようだ。
陛下はこの国の誰よりもずっと聡明だ、きっと私には想像もしていないような理由があるのだろう。
それは私にも知る権利があるはずだ。

「この勇者に稽古をつけるという風に伺いましたが、正直まだ早いと思います。
まずは上金ランクの冒険者から徐々に強い師に変えていってもよかったのでは?国の予算で彼の報酬支払っていますよね?白金ランク冒険者の報酬って馬鹿になりませんよ?」
「ふむふむ成程…確かにそうだな」

そう思うなら何故あの者を呼んだのか。
私にはどう考えても理由が思い付かない。

「私はな、あのサカツキ殿を呼ぶ事で異世界の勇者達だけではなく、お主にもいい影響を与えるかもしれないと思って呼んだのだ」
「私に……?」
「ああ、お主には力がある。この国最強と呼ばれる程にな。だが、圧倒的に高く、分厚い強大な壁との出会いという経験が少ない。それは異世界の勇者達と同じ…いや、今はお主がその役目を果たしてくれているから彼ら以下かもしれんな」
「うっ……」

確かに、私は強敵や分厚い壁とぶつかった事が少ない。だが、あの者がそんな壁に成り得るのだろうか?
強いのは分かった。だが、異世界の勇者全員を一度に相手して倒す事くらいは私でもできる。

「レシィ殿、お主は『星が降る街』という絵本を知っているか?」
「…村にいた頃、友達だった男の子にオススメしてくれていたのは覚えていますが、本は苦手で…」
「はははは!そうかそうか…」

頭の後に手をやって苦笑いを浮かべる私を見て陛下が笑う。
何故か少しだけ恥ずかしい。

「この絵本はな、別名『予言書』と呼ばれる絵本でな…魔力を流すと魔法文字で記された予言が現れる絵本なのだ」
「へぇー…絵本にそんな凝った仕掛けをするとはこの絵本の作者は相当ひねくれてたんでしょうね…」
「まあ、そうだな…この絵本の仕掛けが発見された当時からごく最近まではこの予言はデタラメだと言われていたのだが、最近この予言が本物だと証明されたのだ」

私は思わず目を見開いてしまう。
まさか本物だったとは…一体どんな予言だったのだろうか。

「予言には何と記されているのですか?」
「ん?…ああ、今読みあげよう」

陛下は懐から絵本を取り出し、魔力を流すと絵本が光り輝いた。
陛下は予言を読み上げる。


『光の街に眠りし魔神の卵が降る。其れは大地に蔓延る魔の力を吸い上げる。その魔神、力を蓄え大地に解き放たれるは、すなわちこの世の終わり也』
「なっ!?!?」

陛下の言葉を疑うつもりはないが、これがもし本当ならとんでもないことになる。

「陛下!魔神!?この世の終わり!?これは一体どういう事ですか!?」
「まあまあ落ち着け。この予言は本物だが、ある一点を除いては予言を外している」
「…それは?」

私は陛下に続きを促すと、陛下は笑みを浮かべてこう言った。

「『この世の終わり』という箇所だ。はて、サカツキ殿が最初に上げた大きな功績は何だったか忘れてしまった。レシィ殿、教えてくれないか?」
「このタイミングでですか?えーっと…フウの街でのスターライトドラゴン事件単独解決です。この功績が要因となって世界に彼の名が広まり始めたと…まさか!」
「そのまさかだ。スターライトドラゴンは討伐難易度判断不能なバケモノ。魔神だったとしてもおかしくない」

そんなわけがない。魔神なんて私達が討伐しようとしている魔王よりも遥かに強大な存在だ。それも我が国が討伐を諦めるほどの。
そんな存在にたった1人で勝てる訳がない。

「ですが…「レシィ殿」!」

陛下の真面目な声色に背筋が伸びる。
それだけ陛下があの男を信じているという事だ。

「世界は広い。彼のような存在がいてもおかしくないのだ。魔神をたった1人で狩れるような現人神と言っても過言ではない人間がな」
「………」
「お主もあの者に揉まれてこい。いい刺激になるはずだ」

陛下は私の肩にポンと手を置くと、「公務に戻る」と言って謁見室を後にした。

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コメント

  • 颯爽

    陛下が、まとも………だと……………よかった。

    1
  • O53478

    (胸を)揉まれてこい、と捉えたスケベは俺以外に居るはず

    9
  • solbird

    ノベルバユーザー190048さん

    おつあり!!

    1
  • ノベルバユーザー190048

    おつかれ❕❕

    3
  • solbird

    知ってたか?この回本来は文字数が倍はあったんだぜ?

    5
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