チートで勇者な魔神様!〜世界殺しの魔神ライフ〜

solbird

アカツキvsフェン

『さてさて!!やって参りましたぁぁぁぁぁ!!!!!!闘技大会最終日!!!リングに上がるは現在大注目中の選手4名!サカツキ選手、フェン選手、アカツキ選手、サティナ選手!!…ちなみにもう1名選手がいましたが、お腹が痛いとのことで棄権されてしまいました!チビって逃げたみたいですね〜!!!!』

やめてやれ。

『本日のスケジュールは!!第1試合、アカツキ選手vsフェン選手!第二試合、サカツキ選手vsサティナ選手!!そして、勝ち残った2人による決勝戦だああああ!!!!」

ツカサは横目でサティナを見る。
瞳に光は無く、一切言葉を発さない。

(今、お前は何を考えているんだ?)

何も考えていないかもしれない。
だがこの場に来ているという事は、ある程度の思考は働いているはずだ。

(もう少し待ってくれ…必ず救ってみせる)

実況の馬鹿でかい声を聞き流しながら、闘志を研ぎ澄ませる。
友の、明るい未来のために。




『さああああて!!!本日の1試合目!アカツキ選手vsフェン選手ゥ!!ここまでの戦いを全て一撃で終わらせてきた強者同士の対決!一体、どんな試合になるんでしょうか!!』

まあ、まずはサティナを救う前に2人の試合だ。折角なので楽しませてもらおう。

フェンとアカツキはいつも通りの格好で睨み合っており、緊迫した空気が二人の間で流れている。

『どちらが勝つにせよ、歴史に残る一戦となること間違い無し!それでは…試合、開始ィィィィィ!!!!』

────刹那、フェンがアカツキに突撃。
「ハァァァ!!!!!!」
「《幻術》、《炎魔のカーテン》」

それに対し、アカツキは幻術と炎魔術を同時発動して対応。
アカツキの目の前に炎の壁が何枚も現れるが、フェンは臆さず"天光,,を壁代わりにするように構え、炎の壁に突撃する。

「グゥッ!」

フェンは一瞬よろめくが、すぐに立て直して壁を突破。

「なっ!?…くっ!」

アカツキはそのまま突っ込んできたフェンに少し驚きながらも冷静にフェンの右斜め上からの一撃を避けてフェンの顔面に拳を入れるが、ダメージは軽く、フェンの体当たりを受けて少し後ずさる。

「やるな」
「…フゥ……そちらこそ」

お互いダメージは軽い。
2人とも興奮して魔力がダダ漏れだ。

(これ魔力を隠蔽する指輪でも作らないとやばいかもな…)

とりあえず昨日の夜作っておいた内部の魔力を隠蔽する結界魔道具を密かに展開し、闘技大会会場内の魔力を隠蔽する。
かなり魔力察知能力が高いと異常に気付かれるかもしれないが、多分大丈夫だ。
…多分。

とりあえずは2人の試合に集中しよう。
アカツキとフェンは2、3度言葉を交わし、再び激突。
今度はアカツキからの攻撃だ。

「《ファイアジャベリン》《インビジブル》」

アカツキは前傾姿勢でフェンへと突撃しながら炎魔法でフェンの視線を誘導し、幻術で姿を隠す。

「クソっ!どこだ!?」
「《深炎》」

フェンの背後に突如現れたアカツキは黒い炎を腕に纏わせ、後ろに振り向いたフェンの顔面を掴み…突如、炎が爆ぜた。

「ぐあああああああああああ!!!!」
「くっ…!」

黒い炎で燃え上がるフェンは左拳と"天光,,に《竜牙》を纏わせ、暴れ回る。
フェンが腕を一振りする度に風圧でリングの床が抉れ、瓦礫が銃弾のように飛び散る。
アカツキも瓦礫に何発か被弾したようで、堪らずフェンから距離を取る。

「はぁ…はぁ……顔を焼くとか鬼か!!」
「魔力を焼く炎です。肉体にダメージはありません。そもそも、シールドがあるじゃないですか」
「……許してやる」

フェンとアカツキは気を取り直し、激突。
激しい戦闘が続く。

「魔法使いの癖に戦闘能力高ぇな!!早くバテろや!」
「あなたこそ、魔力を焼いたというのになんでそんなにスキル連発出来るんですか?ちょっと自信無くしますよ」

アカツキとフェンは笑顔で激しい攻防を繰り返す。アカツキがフェンの魔力とシールドをジリジリと焼いていき、フェンもアカツキに攻撃を当ててシールドを確実に削っていく。

だが、そんな攻防もそろそろ終わりに近付いていき、ようやくアカツキとフェンが1度戦闘を止める。

「アカツキ」
「フェン」

2人は向かい合い、微笑み合う。

「そろそろ俺達のシールドも壊れちまう」
「そうですね。あと数発入れられると終わってしまいます」
「ああ…だから、次はお互い『全力の一撃』を撃って決着付けようぜ」
「いいですよ。望むところです!」

2人は互いにバックステップで距離を取り、ツカサにアイコンタクトを送る。

(ふぅ…仕方ねぇな。どうせもうすぐ使うし、今使っても問題ねぇか…)

ツカサはパンドラから1つの結晶を取り出し、握り潰す。
すると魔力隠蔽の結界の内側、観客とリングの境界線に見えない結界が展開される。

ツカサは2人にサムズアップをし、合図する。
するとアカツキが軽く頭を下げ、フェンに向き直るとすぐに詠唱を始めた。

「広大な大地の底のまた底、地の獄に広がりし炎の海。その源泉は1つの力也。我、獄炎の海の力を借りて至高の炎を呼び起こさん……」

そんなアカツキを見てフェンはツカサにサムズアップを返し、"天光,,の刃を天に掲げて魔力を込める。

「はあああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

フェンの持つ"天光,,に周辺の光が吸収されて周囲が少し暗くなるが、それは一瞬。
すぐに"天光,,の輝きが周囲を照らす。
その光はまるで聖剣の輝きであり、彼女のまっすぐな心を表しているかのようだ。

一方、アカツキも負けていない。
アカツキの詠唱が進むにつれて、どんどん周辺の魔力が濃くなっていき、漏れ出たように赤黒い炎のような魔力が立ち込める。

「我こそが頂点、我こそが最強。その事実を世界へ轟かせんと真の獄炎をこの世に呼び起こさん!!」

アカツキの詠唱が終わり、ほぼ同時にフェンの"天光,,の魔力充填も終わったようだ。

アカツキの右掌の上には直径10cmほどの赤黒い炎の塊が浮いており、額に汗が浮かんでいる。
炎の塊は見た目にそぐわず凄まじい魔力を放っており、ツカサの張った結界が無ければ観客全員の精神力は擦り切れて死体が大量生産されていただろう。
一方、フェンの方は変わらず"天光,,の刃を天に掲げているが、迫力が最初とは違う。
"天光,,は凄まじい魔力を放出し、その濃密な魔力は天へと伸びるオーラとなり、光り輝いている。
どちらの魔力も凄まじい。
まともにこれがぶつかれば、地球なら滅びるだろう。

(結界張っててよかった…)

ツカサは心底安堵する。
ツカサが張った結界は、接触時魔力完全霧散と接触時物理威力減衰の結界だ。
この結界さえ貼っていればまず余波で死者が出ることは無いだろう。

「フェン!!」
「アカツキ!!」

2人が互いの名を叫び、同時に最後の攻撃を放つ。

「《獄炎陽》!!!」
「《サンライトセイバー》ぁぁぁぁぁ!!!!!!」

────爆発が起こった。

「うおっ!?」
「キャーーーー!!!」
「なんだ!?どうなってんだ!?!!?」

2つの力がぶつかった余波は凄まじい爆風となって会場を襲った。

(結界を張ってもここまで強い爆風が起こるとは…あいつら予想以上に強くなってんな…)

サティナの方へ視線を向けると、何処と無くサティナの表情も驚きが浮かんでいる気がする。

(…やるじゃないか、アイツら!)

ツカサの口角が自然と上がり、獰猛な笑みを浮かべる。強い存在を見て嬉しくなってしまうのは戦士の性であり、仕方ない事である。
もちろん2人の成長が嬉しいというのもあるが、獰猛な笑みを浮かべている事実からは逃れられない。

(さて…どうなった?)

リングには土埃が舞い、どちらが勝っているのか判別できない。
そしてだんだんと土埃が晴れていき、そこに立っていたのは…

「いたた……容赦ないですね、フェンは」
「当たり前だ、立てるか?」
「ええ、ありがとうございます」

フェンの差し出した手を握り、アカツキは立ち上がる。
アカツキに貼られていたシールドは破れ、フェンのシールドはヒビが全面にはいっているが、なんとか耐えている。

『しょ、勝者!!フェン選手ぅぅぅぅ!!!!!』
「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」

瞬間、この大会で一番大きな歓声が響いた。
拍手や指笛の音が交じり合い、まるで1つのオーケストラのようだ。
フェンと目が合う。

満面の笑顔。
その笑顔に不覚にもドキッとしたツカサは、少しの恥ずかしさを押し込めて微笑み、拍手した。

ふと、視線を感じてそちらに目を向ける。
サティナだ。サティナがこちらを見ている。

(次は自分らだ…ってか)

どうやら、もう思考能力が安定してきたようだ。やはり、サティナは天才だ。

(末恐ろしいな…おっと)

またニヤつきかけていた。
これではただの変態だ、早く治さねば。
ツカサは頬をパシンと叩き、気を引き締め直す。

そしてサティナが立ち上がるのとほぼ同時にツカサも立ち上がり、控え室へと向かう。


さあ、新人魔神に格の違いを見せてやろう。


〜tips〜
《獄炎陽》
炎海と呼ばれる地獄の海の核を呼び起こし、現世に顕現させる魔法。
その炎は死者に無限の苦しみを与え、生者の命を燃やし尽くすと言われている。

《サンライトセイバー》
フェンの持つ武器"天光,,の特殊能力、日光から魔力への変換を用いて扱えるスキル。
その凄まじい破壊力は貯めた日光の魔力の量によって変動し、貯め込んだ量によってはツカサの《The Sun》すら上回る。

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