チートで勇者な魔神様!〜世界殺しの魔神ライフ〜

solbird

サティナの実力

「よっしゃああああ!!!やってやるぜ!!!」
「ハハハ…」

さて、本戦だ。
ツカサ達や、予選を突破した選手達は現在闘技大会の本戦会場にいる。
ここからトーナメント形式で本戦が進み、2日に分けて行われるらしい。
予選を突破したのは20人、本戦初日は15戦までらしい。

闘技大会の本戦会場はスタジアムのようになっており、ランクアップ試験を思い出す。
だが、その時との違いが1つある。
それは…

『レディィィィィィス!アァンド!ジェントルマァァァァァァァン!!!闘技大会本戦だあああぁぁぁぁぁ!!!!』

司会がいる事だ。
正直うるさいが、闘技大会っぽさがあって嫌いではない。

『このスタジアムの中心、円形のバトルフィールドに足を踏み入れたるは予選を勝ち抜いた20人の戦士達!!知ってたかぁ?これ予選前は150人いたんだぜ?」

(そんなにいたのか…)

一応全員に鑑定しておいたが、数は数えていなかった…というよりも、途中でめんどくさくなってやめた。

『これから!君達にはこのリングに上がってもらい、トーナメントを組まれた相手と戦わなければならない!!勝利条件は2つある!ひとーつ!!相手が降参すること!
ふたーつ!!相手のシールドを割ること!
シールドはかけられた対象のHPと同じ耐久力となり、即死の一撃も1発まで防いでくれるから死ぬ心配はしなくていいぜ!!』

つまり、心置き無くやれるという事だ。
便利だな…それはつまり"厄介,,という事でもあるが。

『何っ!?おしゃべりはそこそこにしてさっさと始めろ?実況っぽい喋りなんてよく分からんからボロが出る前にさっさと始めろだ?オーケーーーイ!!!!』
「メタいわ!!」

思わずツッコんでしまった。

『それじゃ、5分後に第1回戦を始めるからその間にトイレ行ってこいよ!では、また5分後にお会いしよう!!サラバ!』

馬鹿でかい声と音楽が止まると観客はそのまま座っていたり、トイレに行くのか立ち上がったりと様々だ。
(すげぇ…これがここの当たり前なのか…)

司会がめちゃくちゃうるさかったので観客席から聞こえる話し声などの喧騒が静かに聞こえる。

「出場者の皆さん!まずは控え室までお戻りください!」

後方からスタッフの声が聞こえ、出場者は皆スタッフの背中に付いていく。
そして、控え室まで戻ると本戦のトーナメント表が貼り付けてあった。

「今回の闘技大会のトーナメントはこちらになります。第1回戦はアカツキ選手とマトン選手、第2回戦はアイカ選手とマタス選手です。それ以降の試合はご自身でご確認ください。それでは、アカツキ選手とマトン選手はこちらに」

第1回戦はアカツキのようだ。
相手のマトンという奴は…弓使いのようだが、弱い。

「アカツキ、頑張れよ」
「はい!」

アカツキとマトンがスタッフと一緒に扉の奥へ入って行くのを見届け、ツカサはフェンとサティナと共に観客席の方へ向かう。

「あわわわ…アカツキさん大丈夫でしょうか…」
「大丈夫だろ」
「ツカサさんはアカツキさんが心配じゃないんですか!?」

サティナがオドオドして落ち着きがない。
(そういえば、サティナは俺達が戦ってるの見せた事ないな…)

「ま、大丈夫だよ」
「そうだぞサティナ!ま、見とけって」







『第1回戦、勝者はアカツキィィィィィ!!!強い!強すぎる!!弓を構える事すらさせずにマトン選手をワンパンチィィィィ!!!』
「ほらな」
「ええええぇぇぇ…」

サティナが引くのも無理は無い。
だって他の選手と比べたら実力の差が一目瞭然なのだから。
これでもうちのパーティーじゃ魔法担当で近接戦闘は1番不得手だ。

「あの…ツカサさん達って一体…」
「ああ…自慢じゃないが、強えんだよ。驚いたか?」
「ええ…それはもう…」

(おっ…アカツキが手振ってる。振り返しとこう)

そして第2回戦、第3回戦…と進み、第5回戦。フェンの番もフェンのワンパンで勝利。
第6回戦はサティナの番だ。

「よ〜し!次はサティナか!」
「フェンおかえり」
「おかえりなさい」
「おう!」

そうこうしてる内にサティナが闘技場に出てきた。かなり緊張しているが、歩みは達人のそれだ。

(やはり…天才的だな……)

あれは熟練の戦士の歩き方だ。
死に物狂いで修練を積めば、自然と自信はつくものだ。
だというのにあの自信の無さ…まるで体だけが戦士のような。

「………」
「…ツカサ様?」
「ん?…いや、問題ない。お手並み拝見だな」

サティナの相手は35才の人族のオッサン。
武器は斧だ。
レベルも67でサティナとは差が大きいが、どうなるか…

「すまんな嬢ちゃん…1試合目で悪いが…」
「っ!」
「退場してもらう!」

オッサンは弾かれたように前傾姿勢でサティナに急接近、肩に置かれた斧を振り下ろす。


────しかし。

「速いぃ…」

サティナはビビりながらも避けてみせた。
レベルが10近く差のある相手の攻撃を最小の動きで躱したのだ。

「なっ…!?」

オッサンも驚いている。無理もない…俺達だって驚いているのだから。
掠るか掠らないかのギリギリ。
その動きに迷いは無かった。

「お前…どういう動体視力してやがんだ!」
「次…行きますよ」
「!?」

瞬間。サティナの眼光が急に鋭くなり、鋭いストレートがオッサンを襲うが、オッサンは予想外のスピードに焦りながらも見事避けた。

(やはり…おかしい)

戦いになる瞬間だけ、気配が鋭くなる。
まるで別人のように。
確かに、戦いになると気配が変わる者もいる。だが、あの変わり様は異常だ。

今も尚、サティナが攻め続けてオッサンは回避と防御しかできていない。
そして着々とオッサンのシールドは削られており、このままではジリ貧だ。

自身の敗北を悟ったオッサンは防御を解き、開き直って突撃する。
…それが勝負を分けた。
オッサンのこめかみ、みぞおち、顎。それぞれの箇所に空気が弾けたような音を立ててサティナの拳が叩き込まれ、オッサンのシールドは崩れた。
ちなみに、最後の顎への一撃はオッサンのシールドを貫通して直接叩き込まれている。

『勝者、サティナ選手ぅぅぅ!!!サティナ選手といい、アカツキ選手といい、フェン選手といい、なんてレベルの高い女性が集まっているんだあああああ!!!しかも美人!これは告白待った無しですね〜!!!』

(うっわ…痛そうだな…あと司会死ね)

サティナの雰囲気は既に戻り、スタッフ達がオッサンを運ぶのをサティナは手伝って控え室の方まで消えていく。

「いやー…サティナの戦闘!予想以上に凄かったな〜!!」
「ええ、そうですね。かなり腕がいいのは分かっていましたが、まさかあれほどとは」
「………………」
「どうかされましたか?ツカサ様」

(体術Lv.5であの体捌き…?ありえない)

《体術》というスキルは、まさに近接戦闘を行う際に必須となるスキルだ。いくらステータスが高かろうと、いくら戦闘スキルを持っていようと、体の動かし方を知らないと意味が無い。

(どういう事だ…?)

《体術》のレベルというのは近接戦闘系を伸ばそうとすると必然的に上がっていくものだ。
サティナの体捌きは《体術Lv.MAX》と言われても違和感無く受け止められる…それくらい完成度が高かった。だというのに《体術Lv.5》は不自然すぎる。

(本人が自覚してるかはともかく、何かあるな…?)

ツカサは探偵気分になり、僅かに口角を上げる。

(お前の中にある秘密、暴いてやる)

ツカサは次が自分の試合だと思い出し、立ち上がる。

「2人とも、行ってくる」
「行ってらっしゃいませ」
「いってらー」

2人に背を向けてツカサは歩み出す。
その青の瞳の中に赤き煌めきが走り、流れ星のように一瞬で消えた。

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