チートで勇者な魔神様!〜世界殺しの魔神ライフ〜

solbird

天光

「ただいま戻りました」
「た、ただいま…」
「おかえりー…?どうしたフェン?」
「な、何でもねぇよ!」

怒られた。理不尽だ。

「楽しめたか?」
「ええ、ありがとうございます」
「いいんだよ。ずっと仕事だと嫌になるだろう?」

ツカサはアカツキにおかえりのキスをし、頭を一撫でするとフェンの方へ顔を向ける。

「なあフェン」
「な、なんだよ」

やはり様子がおかしい。
アカツキの口角が少し上がってるので悪い事では無いだろうが、何かあったに違いない。

「フェン、お前はよく俺達と一緒に付いてきてくれた。こんな追われる身の俺達にな。だから、これは感謝の印だ…受け取ってくれ」

ツカサはパンドラからフェンの新しい武器を取り出し、横にして両手で持つ。

「こりゃあ…」
「お前の新しい武器"天光(アマビカリ),,だ」

"天光,,はフェンの身長と同じくらいの大きさを持つ大剣だ。
白銀の刀身は分厚く、幅広い。
鳳凰の翼を思わせるような金のナックルガードと正義感を思わせるような青い布は装飾として完成度が高く、白い刀身との配色のバランスが素晴らしい。
そして、鍔に嵌め込まれている魔石は宇宙を思わせるように、黒の水晶の中で小さな光が幾つも瞬いている。
だが、見た目だけではない。

「天から降り注ぐ光…つまり、太陽の光や月の光を魔力に変換して刀身に貯められる。貯めた魔力は攻撃補助スキルの威力を増幅させたり、魔力の刃を出したり、刀身の修復に回せたりもできる。もちろん、魔道具としての性能だけでなく武具としての性能も完璧な仕上がりになってるぞ」
「おおおおおおおおおおおおお!!!!!」

フェンは大興奮だ。目をキラキラ輝かせて今にも飛びつきそうである。

(こんなに喜んでもらえると嬉しいな!…ちょっとテンション上がりすぎな気がするが)

フェンは"天光,,を手に取り、眺める。
フェンは無言でしばらく眺めると、構えてみたり、降ってみせたりし、ようやく口を開いた。

「この武器…"天光,,だったか?とんでもなく使いやすいな。握りの馴染み具合も完璧だ…なんか完璧すぎてちょっと気持ち悪いな…」
「おい!」

俺のプレゼントになんて事を言うんだ。
パンドラの肥やしにするぞ。

「冗談だよ!ありがとうな、ツカサ!」

フェンの満面の笑顔。いつも見ている表情でも、近いと顔が熱くなる。
(妙にドキッとしたな…)

気付いたらフェンはもう離れており、アカツキに見せびらかして喜んでいる。

「フゥ…」

ツカサは小さく息をつき、子供のように喜ぶフェンと微笑むアカツキを見て僅かに口角を上げた。

(本当にいい仲間を持った…俺は幸せ者だ)

「ほれ、夕食の時間だ。作ってやったから早く食えよ」

ツカサは机にいっぱいのご馳走をパンドラから取り出して広げる

「えっ!?ツカサ料理できたのか?」
「ツカサ様の料理は美味しいですよ。おそらく、あなたのために作ったものですから遠慮なく食べていいと思いますよ」

実はこの男、意外と料理ができる。
ツカサは地球にいた頃…「ハッ!?中華作れたらカッコよくね?モテるんじゃね?」…と、モテる気もないのにアホなノリで料理を練習した事があり、何気に上手い。
これまでフェンにお披露目した事が無かったのは単にめんどくさかっただけである。
だが、折角プレゼントを渡すのだ。
どうせならご馳走を…と作る気が起こったので作った。

ツカサはフェンへと"天光,,用に作った鞘を渡し、受け取ったフェンは"天光,,を鞘に入れて壁に立て掛ける。

「見た目は綺麗だな…味は……っ!?なんだよお前!うめぇじゃねぇか!!」
「クックック…そうだろうそうだろう…」

ツカサの料理は控え目に言って美味い。一流のプロと肩を並べられるほどだ。
1度ハマるとトコトンやる、それがツカサだ。
やる気を出してからが凄いのだ…逆に言えばやる気を出すまで大してスペックは高くないという事だが、それを自覚しつつも「やれば出来る子スタイル」をツカサは貫き通している。

「ところでよ…」
「なんだ?」

フェンは怪訝そうな表情を浮かべながらも食べ物を口に運んでは幸せそうに少し口角を上げる。
どっちかにせぇや。

「今日、記念日とかでも何でもないだろ?何でプレゼントやらご馳走やら用意してたんだ?」
「………………」
「それは私も気になりました。もし、記念日だったのなら教えていただけませんか?何の記念なのか教えていただけないと祝うものも祝えません」
「…………………」

ツカサはワクワクした目の2人を前にして視線を床に落とし、目を瞑り、息を一つ吐く。

そしてゆっくりと顔を上げ、目を開き、微笑んでこう言った。













「ごめん。何となく」

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コメント

  • 落合  葱

    なんとなくで大剣一振、相変わらずだな。

    1
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